川や公園の池で見かける茶色いカモ。「カルガモ? それともマガモのメス?」と迷ったら、まずくちばしの色の入り方を確認しましょう。
似た鳥との違いを詳しく比べたい方は、マガモとアオクビアヒルの違い・識別・見分け方もあわせてご覧ください。
まず覚えたい見分け方
カルガモ:くちばしは黒く、先端が黄色。明るい頬に、目を通る濃い線が目立ちます。
マガモのメス:くちばしは橙色と黒色。顔は茶色っぽく、細かな模様があります。
くちばしだけで決めにくいときは、顔の模様と、翼をたたんだときに見える羽も合わせて比べます。

この記事では、姿がよく似たカルガモとマガモの成鳥メスを中心に比較します。カルガモはオスとメスの姿がよく似ているため、ここでは両方をまとめて「カルガモ」としています。マガモのオスや夏の姿との違いも、後半で確認できます。
カルガモとマガモのメスの違い【早見表】
| 見るところ | カルガモ | マガモのメス |
|---|---|---|
| くちばし | 黒色が主体で、先端が黄色~橙色 | 橙色と黒色。黒い部分の広さには個体差 |
| 顔 | 頬が白~クリーム色に見え、目を通る線が濃い | 茶色みがあり、細かな斑模様が見える |
| 三列風切 | 白い部分がはっきり見えることがある | 茶色から淡い色への変化が比較的なだらか |
| 全長の目安 | 約61cm | マガモは約59cm |
| 日本で見られる時期 | 多くの地域で一年中。北海道では冬に少ない | 主に秋~春。一部は国内で繁殖 |
全長は種の目安です。距離・姿勢・個体差で大きさの印象が変わるため、この2種を体格だけで見分けるのは難しいでしょう。
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① くちばしの違い:黄色が「先端」かを確認

カルガモのくちばしは、大部分が黒く、先端に黄色い部分があります。横向きになったときに、「黒いくちばし+黄色い先」の組み合わせを探すと分かりやすくなります。
一方、マガモのメスのくちばしには橙色と黒色が混じります。黒色が広く、遠くからはほとんど黒いくちばしに見える個体もいます。逆に橙色が目立つ個体もいるので、「くちばしが黒いからカルガモ」とは決めず、先端と側面を見比べましょう。
なお、くちばし全体が黄色っぽい茶色いカモなら、マガモのオスのエクリプスも候補です。詳しくは夏のオスの見分け方で説明します。
② 顔の違い:頬の明るさと目を通る線

カルガモは頬が明るく、目を横切る黒っぽい線との対比が目立ちます。この目を通る線を「過眼線(かがんせん)」といいます。
マガモのメスにも目を通る線はありますが、顔全体は茶色みを帯び、細かな模様が見られます。カルガモに比べると、頬と線の境目がやわらかく見えることがあります。
線があるかどうかだけでなく、頬の明るさと線の濃さをセットで見るのがポイントです。逆光や日陰では顔が暗く見えるため、鳥が向きを変えたときにもう一度確かめてください。
③ 羽の違い:三列風切は補助の手掛かり

三列風切(さんれつかざきり)は、翼をたたんだときに体の後方、尾に近い位置で見える翼の羽です。尾羽とは別の部分なので、上の図で位置を確かめてみましょう。
上の写真では、カルガモは白い部分がくっきり見えます。マガモのメスでは茶色から淡い色への変化がなだらかです。ただし、羽の重なり方や角度によって見える範囲は変わります。まずくちばしと顔を確認し、羽は最後の補助にすると迷いにくくなります。
マガモのオスはどう違う? 夏のエクリプスにも注意
繁殖羽のオスは緑色の頭・白い首輪・黄色いくちばし
マガモのオスは、繁殖羽になると頭が緑色に輝き、首に細い白い輪、胸に赤褐色が見られます。茶色いマガモのメスやカルガモとは、全体の配色が大きく異なります。
頭の光沢は光の当たり方で暗く見えることもあります。緑色だけに頼らず、黄色いくちばしや白い首輪も確認しましょう。
夏~秋の茶色いマガモは、オスの場合もある
マガモのオスは繁殖期後に、メスに似た地味な羽色になります。この姿をエクリプスと呼びます。秋にもこの姿や、繁殖羽へ換羽している途中の個体が見られます。羽色の変化や生態は、マガモの特徴と季節ごとの姿で詳しく確認できます。
この時期は「頭が緑色ではないからメス」とは判断できません。エクリプスのオスはくちばしが黄色っぽいことが手掛かりです。橙色と黒色が混じるメスや、黒いくちばしの先に黄色が入るカルガモと比べてください。
大きさ・季節・生息環境だけでは決められない
カルガモもマガモも、池や川などで出会う比較的大きなカモです。全長の目安はカルガモ約61cm、マガモ約59cmと近く、1羽だけを見て大きさで判定するのは難しい組み合わせです。同じ水辺にいるほかの鳥は、河川敷で見られる野鳥からも調べられます。
カルガモは日本の多くの地域で一年中見られます。マガモは主に冬鳥として渡来しますが、北日本などでは繁殖する個体もいます。「夏にいるから必ずカルガモ」「冬に群れているからマガモ」という決め方はできません。
同じ水辺に両種が混じることもあります。隣にマガモのオスがいても、茶色いカモがすべてそのメスとは限りません。1羽ずつ、くちばしと顔を確認しましょう。
見分けられないときの観察手順
- 横向きのくちばしを見る黒い部分と黄色・橙色の位置を確認します。水面にくちばしを入れているときは、顔を上げるのを待ちましょう。
- 顔を合わせて確認する頬の明るさ、目を通る線、細かな斑模様を見ます。暗くて分からなければ、向きが変わるまで待ちます。
- 体の後方の羽を見る三列風切が見えるときだけ、白い部分の出方を補助に使います。
- 特徴が合わなければ、候補を広げるエクリプスや若い個体、別のカモの可能性も考えます。写真なら顔の横と全身の両方が分かるカットを見比べましょう。
カルガモとマガモの特徴を合わせ持つ交雑個体も知られています。ただし、いつもと違って見えるだけで交雑とは断定できません。羽色やくちばしがよく見えない場合は、無理に名前を決めず、確認できた特徴を残しておくと後から比較できます。
カルガモとマガモの違いでよくある疑問
マガモのメスの特徴は?
全身が茶色系の細かな模様で、くちばしに橙色と黒色が見られます。カルガモと迷ったら、黒いくちばしの先に黄色がまとまっているか、頬と目を通る線の対比が強いかを確認してください。
カルガモはマガモのメスのこと?
いいえ、別の種類です。カルガモにもオスとメスがいて、両方とも似た茶色い姿をしています。マガモは繁殖羽のオスとメスで見た目が大きく変わります。
くちばしの先が黄色いカモはカルガモ?
黒いくちばしの先端が黄色く、明るい頬に濃い線が見えればカルガモが有力です。「黄色い」という点だけではなく、その色が先端に限られるか、くちばし全体に広がるかを見ましょう。
カルガモのオスとメスも見分けられる?
カルガモは雌雄の姿がよく似ています。このページのくちばしや顔の比較は、カルガモかマガモかを見分けるためのものです。カルガモ同士の雌雄を、このポイントだけで決めることはできません。
ヒナや幼鳥にも同じ見分け方を使える?
ここで比べているのは主に成鳥です。ヒナや羽の生えそろっていない若い個体には、成鳥の特徴をそのまま当てはめないようにします。大きさが小さいという理由だけで、別種の「コガモ」と決めることもできません。
鳴き声だけで見分けられる?
どちらも濁ったカモらしい声を出すため、鳴き声をカタカナに置き換えただけでは区別しにくいでしょう。鳴いている個体が見えるなら、声に加えてくちばしと顔も確認するのが確実です。
次のカモも見分けてみよう
カルガモとマガモのメスを比べるときは、くちばし → 顔 → 羽の順に見ると、確認する場所が整理できます。ほかのカモにも興味が広がったら、次の記事を使って比べてみてください。