ムクドリとツグミを見分けるなら、最初に「胸の模様」、次に「顔」と「足」を見ましょう。ムクドリは灰色っぽい胸と白い頬、黄橙色のくちばし・足が目印。ツグミは白っぽい胸に黒褐色のまだら模様があり、目の上の白い眉のような線が目立ちます。
どちらも全長約24cmで、冬の公園や庭、田んぼで地面を歩く身近な鳥です。大きさや「地面にいる」という条件だけでは区別しにくいため、同じ部位を順番に比べるのがコツです。

まず覚えたい3つの違い
- 胸:ムクドリは灰色系。ツグミは白い地に黒褐色の斑。
- 顔:ムクドリは頬の白い部分。ツグミは目の上の白い線。
- 足:ムクドリは黄橙色。ツグミは淡い肉色〜褐色系。
1か所が見えにくいときは、残りの特徴を組み合わせて確かめてください。
ムクドリとツグミの違い一覧
まずは次の比較表で確認してみましょう。羽色には個体差があり、逆光や日陰では色が変わって見えます。色の濃さだけでなく、模様が「どこにあるか」を見ると判断しやすくなります。
電線にとまる鳥を見分けるときは、電線にいる鳥12種類の見分け方で大きさ・姿勢・群れ方も確認してみてください。
| 見るところ | ムクドリ | ツグミ |
|---|---|---|
| 胸・お腹 | 灰色〜灰褐色。ツグミのような目立つ黒い斑はない | 白っぽい地に黒褐色の斑。胸や脇で目立つ |
| 顔 | 目の周りから頬に不規則な白い部分 | 目の上に白〜クリーム色の眉斑 |
| くちばし | 黄橙色。先端が黒っぽい個体もいる | 黒っぽく、根元や下側に黄色い部分 |
| 足 | 黄橙色が目立つ | 淡い肉色〜褐色。暗く見えることもある |
| 背中・翼 | 灰褐色〜黒褐色 | 褐色系で、翼に赤茶色が見える |
| 大きさ | 全長約24cm | 全長約24cm |
| 地面での動き | 左右の足を交互に出して歩く | 小走りや跳ねる動きのあと、胸を張って止まる |
| 見られる季節 | 多くの地域で一年中。北日本などでは季節による移動もある | 日本では主に秋〜春の冬鳥 |
胸・顔・足・翼の違いを写真で見分ける
胸とお腹|黒っぽいまだら模様があるのはツグミ

ムクドリの胸からお腹は灰色や灰褐色で、胸側が濃く、お腹側が淡く見えることがあります。ツグミのように、白い地の上へ黒っぽい斑が並ぶ模様はありません。
ツグミは、胸から脇にかけて黒褐色の斑があり、うろこ状のまだら模様に見えます。お腹の中央が白く見えても、胸と体の両側に斑がないか確認してください。模様の濃さや広がりは個体によって異なります。
草で下半身が隠れているときや枝にとまっているときも、胸が見えれば比較できます。ただし、暗くつぶれた写真では斑の有無を読み取りにくいため、顔の特徴も確かめましょう。
顔とくちばし|ムクドリは白い頬、ツグミは白い眉

ムクドリの顔には白と黒っぽい色が混じり、頬の白い範囲には大きな個体差があります。一方、ツグミでは目の上を前後に通る白〜クリーム色の線が目立ちます。この眉のような模様を「眉斑(びはん)」といいます。
くちばしも補助になります。ムクドリは黄橙色が目立ち、ツグミは黒っぽい部分が多く、根元などに黄色い部分があります。ただし、ムクドリでも先端が黒いことがあるため、「黒い部分がある=ツグミ」とは判断できません。頬・眉斑・胸をセットで見ましょう。
足の色|ムクドリの黄橙色を手掛かりにする

ムクドリの足は黄色〜オレンジ色で、地面を歩くときによく目立ちます。ツグミの足は淡い肉色や褐色系で、光や影によって黒っぽく見えることもあります。
冬の芝生で迷ったら、「黄橙色の足とくちばし」「白い頬」がそろうか確認してみてください。泥が付いているときや足が草に隠れているときは、足の色だけに頼らず胸へ視線を戻しましょう。
背中と翼|ツグミは翼の赤茶色も目印

ムクドリの背中や翼は灰褐色〜黒褐色。ツグミは褐色の背中に加え、翼の赤茶色が手掛かりになります。後ろ向きで胸が見えないときは、翼を見てから横顔が見えるのを待つと、特徴をつなげて確認できます。
ただし、ツグミには赤茶色があまり目立たない個体もいます。ムクドリの幼鳥も成鳥より茶色っぽく見えるため、「茶色い鳥だからツグミ」と決めないことが大切です。
大きさはほぼ同じ|歩き方と立ち姿で補う
ムクドリとツグミはどちらが大きい?
全長はどちらも約24cmで、スズメより大きい鳥です。全長とは、くちばしの先から尾の先までの長さ。離れた場所にいる2羽は距離によって大きさが違って見えるため、見た目のサイズだけでは見分けにくい組み合わせです。
ムクドリは尾が短めで、ややずんぐりした印象。ツグミはムクドリよりすっきり見え、止まったときの胸を張る姿が目立ちます。羽を膨らませていると体形も変わるので、輪郭だけで決めず、胸や顔も確認しましょう。
歩き方は「進んだあとにどう止まるか」を見る
ムクドリは左右の足を交互に出し、地面を歩きながら食べ物を探します。ツグミは数歩進んでは止まり、胸を起こすような姿勢を繰り返すことがよくあります。
ツグミは跳ねるだけでなく歩くこともあるため、「歩いたからムクドリ」「跳ねたからツグミ」という分け方はできません。移動と静止のリズムを見て、止まった瞬間に眉斑と胸の斑を確かめると観察しやすくなります。
鳴き声の違い|ムクドリとツグミはどう鳴く?
ムクドリは「キュルキュル」「リャー」などと聞こえる声を出し、群れではいくつもの声が重なります。ツグミは「クィクィ」「キュッキュー」など、短い2声に聞こえる地鳴きが手掛かりです。地鳴きとは、普段の連絡などに使う声のことです。
鳴き声の聞こえ方は、距離や周囲の音、鳥の状態でも変わります。声は姿を探すきっかけにして、見つけたら胸と顔の模様で確かめてください。静かにしているツグミもいますが、冬にまったく鳴かないわけではありません。
見られる季節と群れ方の違い
冬の公園ではムクドリとツグミの両方が候補
ムクドリは本州・四国・九州の多くの地域で一年を通して見られます。北海道では主に夏鳥として見られるなど、地域によって季節性が異なります。
ツグミは日本では主に秋から春に見られる冬鳥です。渡来・渡去の時期には地域差や年による違いがありますが、冬の公園の芝生、庭、田んぼ、河川敷では、ムクドリと同じ場所で見かけることがあります。
そのため、「冬の地面にいる、スズメより大きい茶色い鳥」という情報だけでは決まりません。夏の観察なら通常ツグミは候補にしにくくなりますが、季節はあくまで外見を補う手掛かりです。
群れならムクドリ、1羽ならツグミとは限らない
ムクドリは群れで行動する姿がよく見られます。ツグミは冬の開けた地面では1羽ずつ間隔をあけて採食することがありますが、秋の渡来時や春の渡り前には群れにもなります。
群れの大きさは観察のヒントにとどめ、見やすい1羽の胸・顔・足を確認しましょう。同じ広場にいる鳥を、すべて同じ種類と考えないこともポイントです。
ヒヨドリ・シロハラとも迷ったときの見分け方
ムクドリ・ツグミ・ヒヨドリの違い
灰色や茶色でスズメより大きい鳥なら、ヒヨドリも候補です。ヒヨドリは頬の茶色い部分と長めの尾が目印。ムクドリの黄橙色のくちばし・足、ツグミの白い眉斑・胸の黒斑と見比べてみましょう。
- 白い頬+黄橙色のくちばし・足:ムクドリの特徴。
- 白い眉斑+胸や脇の黒褐色の斑:ツグミの特徴。
- 茶色い頬+長めの尾:ヒヨドリの特徴。
ヒヨドリとの区別を写真で確認したい方は、ツグミとヒヨドリの違いと見分け方へどうぞ。
冬の茶色い鳥で、胸の斑が目立たなければシロハラも確認
ムクドリにもツグミにも特徴が合わない場合は、シロハラも比べてください。シロハラの成鳥は茶褐色の背中と淡いお腹を持ち、ツグミのような目立つ胸の黒斑がありません。落ち葉のある地面で食べ物を探す姿もよく見られます。
細かな模様はツグミとシロハラの違いで比較できます。候補がまだ絞れないときは、似ている野鳥の比較記事一覧も活用してください。
ムクドリとツグミの見分け方でよくある疑問
くちばしが黒い鳥はツグミですか?
黒いくちばしだけでは判断できません。ムクドリにも先端が黒い個体がおり、ツグミは根元などに黄色い部分があります。胸の黒褐色の斑と、目の上の白い眉斑がそろうかを確認しましょう。
茶色いムクドリは、ツグミやメスと見分けられますか?
ムクドリの幼鳥は全体に茶色っぽく、顔の白さが目立たないことがあります。また、羽色には性別や個体による違いもあるため、茶色という理由だけで幼鳥・メス・ツグミのいずれかに決めることはできません。まずは種の区別として、胸の斑と顔の模様を優先してください。
ツグミのオスとメスで、見分けるポイントは変わりますか?
ムクドリと区別する基本は同じです。ツグミの白い眉斑や胸の斑を確認しましょう。羽色の濃淡には個体差があるので、翼の赤茶色が薄いという理由だけでメスと断定したり、別の鳥と判断したりしないようにします。
遠くて顔や足が見えないときは、どうすればよいですか?
地面を進んだあとに止まる様子を観察し、正面や横向きになったときの胸を確認します。写真で調べる場合は、顔・胸・足がそれぞれ見えるカットを見比べると役立ちます。暗い写真1枚で模様が読み取れないときは、無理に名前を決めず、見えた特徴を残しておきましょう。
迷ったら、胸→顔→足の順に確認しよう
- 胸を見る:白い地に黒褐色の斑が目立つならツグミを検討。
- 顔を見る:ツグミの白い眉斑か、ムクドリの白い頬かを確認。
- 足とくちばしを見る:両方が黄橙色ならムクドリの特徴と照らし合わせる。
- 動きと季節で補う:胸を張って止まる姿や、見かけた時期も確認する。
ムクドリとツグミは、同じくらいの大きさでも模様が違います。次に地面を歩く鳥を見かけたら、全体の色を眺めるだけでなく、胸の斑と白い部分の位置を探してみてください。