
春先に梅の花とメジロが一緒に写る光景は、季節を感じられる魅力的な瞬間です。鮮やかな梅の花に黄緑色のメジロが映える姿は、初心者のバードウォッチャーや写真愛好家にも人気があります。実はメジロは花の蜜が大好物で、梅や桜の開花時期には積極的に花の蜜を吸いにやって来る習性があります。特に梅の木は高さが低めで観察しやすいため、梅林ではメジロを目線の高さで見つけやすいのも嬉しいポイントです。一方で、昔から「梅に鴬(ウグイス)」という表現がありますが、実際には梅の花によく現れるのはウグイスではなくメジロです。ウグイスは藪の中に隠れることが多く、人前に姿を見せにくい鳥なので、梅の花に蜜を求めて飛び回るメジロと混同しないよう注意しましょう。今回は、神奈川県内で梅の花とメジロを同時に観察・撮影できるスポットを、初心者向けにたくさんご紹介します。それぞれのスポットについてアクセス情報やおすすめ時期、観察のコツや撮影マナーも詳しく解説しますので、双眼鏡やカメラを片手に春の訪れを楽しんでみましょう!
生田緑地(川崎市)

川崎市多摩区にある生田緑地は、都会とは思えないほど広大な緑地公園で、四季折々の自然が楽しめる探鳥地です。園内には「梅園」と呼ばれる梅林があり、例年2月頃になると紅白様々な梅の花が咲き誇ります。梅の開花時期には、園内の至る所で可愛らしいメジロの姿を見かけることができます。特に梅園付近では、花の蜜を求めて飛び回るメジロたちを間近に観察できます。丘陵地帯の公園でもあるため、園内の高台から斜面の林を見下ろすと、木の上の方にいるメジロを自分の目線で観察できるポイントもあります。生田緑地ではメジロは一年中見られる留鳥ですが、梅と一緒に写真に収めるなら2月中旬~3月上旬がおすすめです。この時期は梅の花が見頃を迎え、メジロが蜜を吸いに集まりやすくなります。
アクセス情報: 最寄り駅は小田急線の「向ヶ丘遊園駅」です。駅南口から生田緑地東口まで徒歩約15分ほどでアクセスできます。駅からはバス(向丘遊園~生田緑地入口行き)も出ているため、徒歩が難しい場合はバス利用も良いでしょう。公園の東口・中央エントランス付近には有料の駐車場も整備されていますので、車で行く場合も安心です。園内各所に公衆トイレがあり、設備面も整っています。
おすすめの撮影時期: 2月中旬~3月上旬にかけて梅園の梅が満開になります。梅の花が咲き始める頃からメジロの活動が活発になるため、この時期が絶好のシャッターチャンスです。特に朝の早い時間帯は人が少なく、鳥たちも活発に動き回るので狙い目です。梅の蜜を求めてメジロが群れでやって来ることもあり、運が良ければ枝という枝に何羽ものメジロが並ぶ光景に出会えるでしょう。
観察・撮影のコツ: 生田緑地の梅園は斜面に位置しており、周囲を木々に囲まれています。メジロは梅の木だけでなく梅園周囲の林の中も飛び回っているため、梅の花にとまっていない時も少し目を凝らして周囲の木を探してみましょう。園内には「野鳥観察小屋」もあり、水場に集まる野鳥を静かに観察できるスポットですが、メジロは園内全域で見られるので梅園周辺の散策路を歩きながら探すのがおすすめです。梅の木は背が低いので、立ち位置によってはメジロとちょうど目線が合う高さで撮影できます。日の光を背に受けた梅とメジロを撮ると、花びらと羽毛が透けて美しく写るので順光になる時間帯を狙うのも良いでしょう。また、生田緑地は起伏が多いため、斜面の上から下の梅の木を見るようにするとメジロの正面から撮影しやすいです。足場は舗装されていますが坂道もあるので、歩きやすい靴で行きましょう。
撮影マナー: 生田緑地は週末には家族連れなど一般の来園者も多い公園です。梅園付近の通路はそれほど広くありません。立ち止まっての撮影は、他の来園者の通行の邪魔にならないよう十分配慮しましょう。特に梅の見頃の時期は観光客も増えますので、狭い場所では長時間立ち止まらない、道いっぱいに機材を広げないといった心遣いが必要です。また、野鳥を驚かせてしまわないようフラッシュ撮影は避け、静かに行動してください。梅の枝に近づきすぎて揺らしたり折ったりすることは厳禁です。メジロが逃げてしまうだけでなく、公園の自然環境にも悪影響を与えます。複数のカメラマンがいる場合は譲り合い、「撮らせてもらっている」気持ちを忘れずに、鳥にも他の人にも優しい撮影を心がけましょう。
こども自然公園(横浜市旭区)

横浜市旭区にあるこども自然公園(大池公園)は、横浜市内でも屈指の規模を誇る緑豊かな都市公園です。広大な敷地の中に雑木林や池、湿地、小川など多彩な環境があり、通年で多くの野鳥が生息しています。園内南側には約130本もの梅が植えられた梅林エリアがあり、毎年2月頃に見事な梅の花が咲きます。冬から早春にかけてこの梅林周辺は野鳥観察の好ポイントになり、梅の花に集まるメジロはもちろん、運が良ければ瑠璃色のルリビタキ(冬鳥)に出会えることもあります。メジロは留鳥として園内に一年中いますが、梅と絡めて観察・撮影するなら2月中旬~下旬が狙い目です。満開の梅をバックに元気に飛び回るメジロの姿は初心者にも是非見ていただきたい光景です。
アクセス情報: 最寄り駅は相鉄本線の「二俣川駅」です。駅から公園入口までは徒歩約25分と少し距離がありますが、駅北口のバスターミナルから相鉄バスを利用すれば10分ほどで着きます。広い無料駐車場も園内に完備されており、週末は朝から多くの車が訪れます。できれば平日か、週末でも朝早い時間に到着すると駐車場もスムーズでしょう。公園内には各所にトイレが整備され、休憩所もあります。
おすすめの撮影時期: 2月中旬から下旬にかけて梅林の梅が見頃を迎えます。この頃になるとメジロの群れが梅の蜜を求めて集中的に姿を見せるようになります。特に天気の良い日の午前中は、日差しに誘われて活発に採餌するメジロが多く見られるでしょう。梅の開花に合わせてルリビタキなど冬鳥も来訪するため、梅と一緒に様々な鳥が観察できる絶好のタイミングです。混雑を避けたい場合は平日の早朝が狙い目です。
観察・撮影のコツ: こども自然公園は非常に広いため、梅林周辺にポイントを絞って探鳥するのがおすすめです。梅林では人が少ない時間帯にメジロや他の野鳥が開けた場所まで出てきやすい傾向があります。平日の午前中など静かな時間帯に梅林を訪れ、まずは梅の木の周辺や下草のあたりをじっと観察してみましょう。メジロは動きが俊敏ですが、しばしば花に顔を突っ込んで蜜を吸うため動きが一瞬止まります。その瞬間を逃さずシャッターを切ると、梅の花に顔をうずめた愛らしい姿が捉えられるでしょう。背景に梅の花をふんわり入れたい場合は絞りを開放気味にして撮影し、メジロと花の柔らかな雰囲気を演出してみてください。梅林の周囲は林になっており、エナガ(柄長)やアオジ(青鵐)などの小鳥も姿を現すので、メジロ待ちの間に周囲の林もチェックしてみると思わぬシャッターチャンスがあるかもしれません。
撮影マナー: こども自然公園は「大池公園」という名前の通り、子ども連れのファミリーも多く訪れる憩いの場です。梅林で撮影する際も、周囲で遊ぶ子供達や散策する方の存在に配慮しましょう。メジロは人馴れしていますが、大勢が近づきすぎるとさすがに逃げてしまいます。むやみに追い回さず、鳥のペースに合わせて観察・撮影することが大切です。梅の木にも公園のルールにも優しい行動を心がけ、気持ちよく春のひとときを楽しみましょう。
三ツ池公園(横浜市鶴見区)

横浜市鶴見区に位置する三ツ池公園は、その名の通り上の池・中の池・下の池という3つの池を有する自然豊かな公園です。桜の名所としても有名ですが、実は梅の木も植えられており、冬の終わりから早春にかけては野鳥観察にも見逃せないスポットになります。園内の「花の広場」には梅をはじめ四季折々の花木が植栽されており、梅が少し咲き始めると早速メジロの群れがやって来る様子が観察されています。1月下旬のまだ肌寒い時期でも梅の花が咲けばメジロは敏感に察知して蜜を吸いに集まってきます。特に晴れた日には数羽~十数羽規模のメジロの群れが入れ替わり立ち替わり飛来し、梅の枝でにぎやかに動き回る様子が見られます。三ツ池公園の梅とメジロの組み合わせは、まだ春が来る前のひと足早い季節の便りとして、多くの写真愛好家に親しまれています。
アクセス情報: 最寄り駅はJR京浜東北線の「鶴見駅」やJR横浜線の「新横浜駅」ですが、いずれも駅から公園まではやや距離があります。鶴見駅東口または新横浜駅から臨港バス「三ツ池公園北門」行きの路線が出ており、終点下車ですぐ公園北門に到着します。所要は鶴見駅から約20分、新横浜駅から約15分程度です。車の場合、公園内に有料駐車場があります(北門駐車場・南門駐車場)。週末は午前中で満車になることもあるため、早めの来園がおすすめです。園内にはトイレも各所に整備されています。
おすすめの撮影時期: 例年1月下旬から梅が咲き始め、2月中旬に見頃を迎えます。梅の開花が進むにつれてメジロの目撃頻度も上がるため、2月前半~中旬が撮影のピークと言えるでしょう。特に気温が上がり始める午前10時~正午頃は、寒い朝に比べてメジロの動きも活発になります。早春とはいえ風の冷たい日もあるので、防寒しつつ暖かな日差しが出るタイミングを狙って訪れると良いでしょう。なお、三ツ池公園は桜の時期も有名で3月下旬以降は花見客で賑わいますが、梅の時期は比較的ゆったりしています。梅とメジロ目当てなら、人出の少ない梅の季節にじっくり通ってみるのがおすすめです。
観察・撮影のコツ: メジロは梅の蜜を求めて群れで移動することが多いので、一度に複数羽が現れることも珍しくありません。花の広場では「少し咲き始めた梅の木」にまず注意を払いましょう。満開前でも咲いている花があれば、メジロが蜜を吸いに来る可能性大です。木全体ではなく咲いている部分にピンポイントで飛来することが多いので、咲き始めの枝を重点的に観察すると良いでしょう。「花の広場」は開けた場所なので、日中は明るい光の下で撮影できます。梅の花とメジロをクッキリ写すには、やや逆光気味に撮ってふんわりとした雰囲気を狙ったり、順光で羽毛の質感までシャープに捉えたり、光線の方向を工夫してみましょう。メジロは比較的人に警戒心が薄い鳥ですが、やはりある程度の距離は保った方が自然な仕草を見せてくれます。望遠レンズがあるとベターですが、公園の木々は低いためコンパクトカメラやスマホでも十分に撮影可能な距離にメジロが来てくれることもあります。音を立てずに静かに待っていれば、梅の枝先でじっと蜜を吸うメジロをしっかりフレームに収められるでしょう。なお、上池・中の池周辺ではカワセミやシジュウカラなど別の野鳥も観察できますので、移動の合間に池のほとりをのぞいてみるのも楽しいです。
撮影マナー: 三ツ池公園は地元の方々の散歩コースにもなっています。特に花の広場周辺は園路が狭い箇所もあるため、複数人で撮影する場合は横に広がりすぎず、道を塞がないようにしましょう。梅の木はデリケートですので、枝先にとまったメジロを追って不用意に木に近づきすぎないことも大切です。公園全体が野鳥や人々にとって居心地の良い空間であるよう、ゴミの持ち帰りや植栽エリアに立ち入らない等の基本マナーも徹底しましょう。静かな環境だからこそ鳥たちものびのびと活動しています。私たちもマナーを守り、梅の香る穏やかな空間でメジロとの出会いを満喫したいですね。
まとめ ~梅とメジロの魅力を楽しもう~
梅の花とメジロの取り合わせは、早春ならではの美しく微笑ましい光景です。神奈川県内には今回ご紹介した生田緑地、こども自然公園、三ツ池公園のほかにも、梅林のある公園や寺社が点在しています。いずれのスポットでも、梅が咲けばメジロがやって来る可能性大です。初心者の方はまずアクセスしやすい都市公園から訪れてみて、メジロの動きや撮影のコツに慣れてみましょう。メジロは一年中見られる身近な野鳥で、人のいる場所にも比較的よく姿を見せてくれるため、観察経験が浅い方でも出会いやすいはずです。梅とメジロの写真がうまく撮れたら、ぜひ家族や友人にも見せてあげてください。その可愛らしい姿と春らしい彩りは、きっと見る人の心を和ませてくれるでしょう。
寒い冬を乗り越え、梅の花とともに現れるメジロの姿は、春の訪れを告げる小さな使者です。最初はうまく撮れなくても、観察を重ねるうちに「あ、次はあの枝にとまりそうだな」と動きが予想できるようになるかもしれません。何より大切なのは、フィールドで過ごす時間そのものを楽しむことです。鳥たちと向き合っていると、季節の移ろいや自然の豊かさを肌で感じ取ることができます。梅の芳香を感じながらメジロを追いかけた思い出は、きっとあなたのバードウォッチングライフの素敵な一歩になるでしょう。ぜひマナーを守って、安全に楽しく、梅とメジロの魅力を満喫してくださいね!これから始めるあなたの野鳥観察・撮影に、幸せな出会いがたくさんありますように。

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