
コミミズクは、黄色い目と短い羽角(うかく)が特徴の、全長約38cmのフクロウの仲間です。日本では主に冬鳥として渡来し、河川敷や草原、農耕地などでネズミを捕らえて暮らします。
「小さなミミズク」という意味に思えますが、名前が表しているのは耳のような羽の短さ。夜だけでなく、明るい時間に草地の上を飛ぶこともある鳥です。ここでは、姿の特徴からトラフズクとの違い、見られる時期、鳴き声までを紹介します。
コミミズクとは?草原で暮らす中型のフクロウ

コミミズクはフクロウ目フクロウ科に属する野鳥です。ハトより大きく、フクロウの仲間としては中型。木々が密集する林よりも、草地が広がる開けた環境を好みます。
| 和名・漢字 | コミミズク/小耳木菟 |
|---|---|
| 分類 | フクロウ目フクロウ科 |
| 学名・英名 | Asio flammeus/Short-eared Owl |
| 全長 | 約38cm |
| 翼を広げた長さ | 約95〜110cm |
| 見分ける目印 | 黄色い目、目の周囲の黒い模様、短い羽角 |
| 日本での季節 | 主に冬鳥 |
| 主な食べ物 | ネズミなどの小型哺乳類 |
名前の由来は「小さな耳のような羽」
頭にある耳のような羽を「羽角」といいます。コミミズクの羽角は短く、正面から見ても目立たないことがあります。「コミミ」はこの短い羽角に由来し、体が特別に小さいという意味ではありません。
羽角は羽毛で、本当の耳ではありません。英名のShort-eared Owlも、短い耳のような羽を持つ姿を表しています。
コミミズクの特徴は?顔・羽色・飛び方を見る

黄色い目と、その周囲の黒い模様
顔で注目したいのは、黄色い虹彩と目の周囲の黒い部分です。淡い色の顔の中で目元がくっきり見え、短い羽角と組み合わせると識別の手がかりになります。
遠くから見る場合は、まず頭の形や体の輪郭を確かめ、双眼鏡で目元を見てみましょう。逆光や暗い時間帯では目の色が分かりにくいため、顔だけで判断しないのがポイントです。
褐色の羽には個体差がある
体は黄褐色を基調とし、翼には濃い褐色の模様があります。白っぽく見える個体も、褐色が強く見える個体もいるため、「写真より白い」「色が濃い」という違いだけで別の鳥とは決められません。
オスとメスはよく似ています。羽色の濃淡だけで性別を判断するのは難しく、観察ではまず種を見分ける特徴を押さえるとよいでしょう。
長い翼で草地の上を低く飛ぶ
飛んでいるときは、長い翼と、ゆったりした羽ばたきに注目します。狩りでは地面に近い高さを飛び、草むらにいる獲物を探します。翼を広げると約1mになるため、止まっているときより大きく感じられるかもしれません。
低空を飛ぶ鳥はほかにもいます。飛び方に加えて、丸みのある顔、目元の模様、短い尾などを一緒に確認しましょう。
コミミズクとトラフズク・フクロウの違い

トラフズクとの違いは、まず「羽角の長さ」と「目の色」を見ると分かりやすくなります。コミミズクは短い羽角と黄色い目、トラフズクは長い羽角と橙色の目が目印です。
| 比べる点 | コミミズク | トラフズク | フクロウ |
|---|---|---|---|
| 全長の目安 | 約38cm | 約38cm | 約50cm |
| 羽角 | 短く、目立ちにくい | 長く、目立つ | ない |
| 目の色 | 黄色 | 橙色 | 黒く見える |
| 環境の手がかり | 草原・河川敷など | 林や周辺の草地など | 森林・里山など |
ここでいう「フクロウ」は、種名としてのフクロウ(Strix uralensis)です。コミミズクもトラフズクも、広い意味ではフクロウの仲間に含まれます。
コミミズクとトラフズクは全長がほぼ同じなので、大きさだけでは区別しにくい鳥です。また、羽角の見え方は姿勢で変わります。頭の形、目の色、周囲の環境を組み合わせて見分けましょう。
似た鳥を詳しく比べるなら、トラフズクの特徴・生息地・鳴き声と、野生のフクロウの生息地・鳴き声・昼間の探し方が参考になります。ほかの種類も含めて確認したい方は、日本のフクロウ11種類と見分け方をご覧ください。
コミミズクは日本でいつ見られる?主に秋から春の冬鳥

日本でコミミズクを観察するなら、中心となる季節は冬です。主に秋に渡来して越冬し、春に渡っていく冬鳥として知られています。夏も同じ場所で見られる留鳥とは、探す季節が異なります。
何月から何月まで見られる?
渡来・渡去の時期は地域や年によって違います。例えば新潟県の解説では、県内への渡来は10月ごろとされています。ただし、この時期を全国共通の目安にすることはできません。まずは秋から春を候補にし、訪れる地域の記録で時期を絞るとよいでしょう。
ある冬に見られた場所でも、翌年に同じように出会えるとは限りません。過去の観察記録を読むときは、撮影・観察された年と月を確認すると、その地域での季節感をつかみやすくなります。
生息地は河川敷・草原・農耕地など
コミミズクが好むのは、草丈の低い草地や農耕地など、視界の開けた環境です。河川敷、海岸の草地、湿地周辺などでも見られます。森の枝ばかりを探すより、草地の上や地面近くにも目を向けてみましょう。
探鳥地の例と現地での探し方は、コミミズクの生息地と探す際のポイントで紹介しています。この記事で姿の特徴を押さえてから読むと、観察の準備に役立ちます。
コミミズクは昼間も飛ぶ?活動する時間帯と探し方

コミミズクは主に夜間に活動しますが、昼間に飛ぶこともあります。フクロウの仲間の中では、明るい時間に狩りをする姿も見られる鳥です。夕方や明け方は活動を探す手がかりになりますが、毎日決まった時刻に飛び始めるわけではありません。
草地全体を見渡し、低い位置の動きを探す
生息環境と狩りの行動から考えると、初めて探すときは次の順番が役立ちます。
- 開けた草地を見渡す。空高く飛ぶ鳥だけでなく、草のすぐ上を横切る動きにも注目します。
- 低い杭や地面付近を確かめる。飛んでいない時間にも、止まっている姿が見えることがあります。
- 見失ったら周辺を見渡して待つ。狩りで同じ草地を行き来する場合があり、戻ってくることもあります。
昼間は草陰で休んでいることも多く、飛んでいないからといって不在とは判断できません。草むらへ入って探し出そうとせず、通行できる道から双眼鏡で確かめましょう。
コミミズクの鳴き声・食べ物・巣の特徴

鳴き声は「ギャッ」など
コミミズクは「ギャッ」と表される声などを出します。鳥の声を文字に置き換えた表現は、聞き分けるための目安です。一声だけで決めず、声がした場所や、見えた鳥の姿も合わせて確認してください。
実際の声を確かめたい場合は、末尾の参考資料にあるサントリー「日本の鳥百科」の音源を、自宅などで聞いてみると印象をつかみやすくなります。
食べ物はネズミなど。草地を飛んで獲物を探す
主な獲物はネズミなどの小型哺乳類で、鳥を捕らえることもあります。開けた場所を低く飛び、発達した聴覚も使いながら獲物を探します。
コミミズクの個体数や分布は、餌となる小型哺乳類の増減とも関係します。観察場所を考えるときは、単に広い空き地があるかだけでなく、獲物が暮らせる草地が続いているかにも注目すると、生態への理解が深まります。
繁殖地では地面に巣を作る
コミミズクは、繁殖地で草や低い植物に囲まれた地面に巣を作ります。雌が浅いくぼみを作り、草などを敷くのが特徴です。日本で冬に見かける姿は主に越冬中のもので、草地で休んでいるからといって、そこに巣があるとは限りません。
コミミズクについてよくある質問

コミミズクは小型のフクロウですか?
全長約38cmで、フクロウの仲間では中型です。名前の「コミミ」は、体の小ささではなく短い羽角を表しています。
コミミズクとミミズクは違う鳥ですか?
コミミズクは一つの種の名前です。「ミミズク」は耳のような羽を持つフクロウ類の名前に使われる呼び方で、コミミズクと対になる一種類の鳥を指す言葉ではありません。
コミミズクのオスとメスは見分けられますか?
見た目がよく似ており、羽色にも個体差があるため、野外で外見だけから確実に区別するのは難しい鳥です。白っぽい、茶色っぽいという印象だけで性別を決めないようにしましょう。
コミミズクは毎年同じ場所に来ますか?
同じ地域で繰り返し見られることはありますが、毎年必ず飛来するとは限りません。餌の状況などによって分布や数が変わるため、その年の観察記録も参考にしてください。
参考資料

- コミミズク — BIRD FAN(日本野鳥の会)
- コミミズク — 日本の鳥百科(サントリーの愛鳥活動)
- 展示鳥類剥製(コミミズク) — 新潟県
- トラフズク — BIRD FAN(日本野鳥の会)
- フクロウ — BIRD FAN(日本野鳥の会)
- コミミズクがフクロウ舎に仲間入り — 東京動物園協会
- Short-eared Owl Overview — Cornell Lab of Ornithology
- Short-eared Owl Identification — Cornell Lab of Ornithology
- Short-eared Owl Life History — Cornell Lab of Ornithology


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