コノハズクは、全長約20cmの日本で最も小さなフクロウの仲間です。代表的な鳴き声は「ブッ・キョッ・コー」。昔から「仏法僧(ブッポウソウ)」と聞きなされてきた声の主で、青緑色の鳥のブッポウソウとは別種です。
日本では主に夏鳥として北海道・本州・四国・九州の森林に渡来します。声を手がかりにするなら、春の終わりから夏の繁殖期が目安。姿を見分けるときは、黄色い目・小さな羽角・樹皮に似た羽模様を確認します。

コノハズクを知る、5つのポイント
- 鳴き声
- 「ブッ・キョッ・コー」「ブッ・ポー・ソー」と聞こえる声
- 生息地
- 大木と樹洞のある森林。北海道から九州に分布
- 見られる時期
- 主に春~秋。繁殖期の声は初夏~夏が手がかり
- 大きさ
- 全長約20cm。日本最小のフクロウ類
- 見分け方
- 黄色い目と小さな羽角。オオコノハズクは橙色系の目
フクロウの仲間を広く比べたい方は、日本のフクロウ11種類一覧|鳴き声・生息地・見分け方もあわせてご覧ください。
コノハズクの鳴き声|「ブッポウソウ」と鳴く鳥の正体
「ブッポウソウ」と聞こえる声で鳴くのは、コノハズクです。「ブッ・キョッ・コー」「ブッ・カッ・コー」などとも表され、同じような節を繰り返すのが特徴です。文字の印象だけでなく、声の区切りと繰り返し方に耳を傾けると覚えやすくなります。

なぜ「声のブッポウソウ」と呼ばれるの?
昔は「仏法僧」と聞こえる夜の声を、ブッポウソウという別の鳥が出していると考えられていました。1935年に声の主がコノハズクと確認され、コノハズクを「声のブッポウソウ」、青緑色の鳥を「姿のブッポウソウ」と呼び分けるようになりました。
実際のブッポウソウは「ゲッ」「ゲエッ」と聞こえる濁った声で鳴きます。二種の姿と声の対応は、ブッポウソウの鳴き声とコノハズクとの違いで詳しく比較しています。
鳴く時間帯は夜?昼間にも鳴く?
繁殖期には夜中から夜明けにかけて声を聞く機会があります。コノハズクは夜行性ですが、繁殖期に昼間も鳴くことがあります。「昼に聞こえたからコノハズクではない」とは言い切れません。
声の表し方には個人差があり、距離や周囲の音によっても聞こえ方が変わります。二声ずつの「ホッホー」や、切れ目の少ない「キョキョキョ」が気になる場合は、夏の夜に鳴く鳥7選|鳴き声の正体と見分け方から候補を比べてみてください。
三音の節ではなく、一定のリズムで「キョキョ」と続く場合は、ヨタカの鳴き声とフクロウ類との違いも確認すると、声だけで迷ったときの手がかりになります。
コノハズクの生息地|日本のどこにいる?
日本では北海道・本州・四国・九州の森林に、主に夏鳥として生息します。本州から九州では大木の残る丘陵・山地の森林が主な環境です。北海道や本州北部では、より低い標高の林でも記録されています。

好む環境は、大木と樹洞のある林
コノハズクの暮らしを考えるうえで重要なのは、巣に使える樹洞と、餌になる昆虫がいることです。樹洞とは、幹や太い枝にできた穴のこと。コノハズクはその空間を繁殖に利用します。
森林の穴には、木が傷んで自然にできるものや、キツツキが掘ったものがあります。樹洞を使う鳥の暮らしに興味があれば、日本のキツツキの種類と特徴も参考になります。
北海道・本州・四国・九州で環境は同じ?
| 地域 | 手がかりとなる環境 |
|---|---|
| 北海道・本州北部 | 山地林に加え、低い標高の林でも記録がある |
| 本州中部以南・四国・九州 | 大木のある丘陵上部~山地の森林が主な環境 |
| 春・秋の渡りの途中 | 繁殖地以外の平地の林などで一時的に確認されることもある |
同じ地域でも、どの森林にもいるわけではありません。関東でも「フクロウを見た」という情報だけでは種を特定できないため、季節・目の色・羽角・鳴き声を組み合わせて確認しましょう。地域の仲間を整理したい方は、関東で見られる野生のフクロウの種類と見分け方へどうぞ。
コノハズクは何月に見られる?季節と渡りの目安
日本では主に春から秋に見られ、声を手がかりにしやすいのは初夏から夏の繁殖期です。多くの地域では春に渡来し、森林で繁殖したあと、秋に南方へ移動します。

| 季節の目安 | コノハズクの様子 | 意識したいこと |
|---|---|---|
| 春(4~5月ごろ) | 渡来・移動の時期 | 渡りの途中には繁殖地以外の林でも記録がある |
| 初夏~夏(5~7月ごろ) | 繁殖期。声で存在に気づきやすい | 夜から明け方の、同じ節を繰り返す声が手がかり |
| 晩夏~秋(8~10月ごろ) | 繁殖後の移動・渡去の時期 | 繁殖期と同じ頻度で鳴くとは限らない |
| 冬 | 多くは日本を離れる | 一部の越冬例はあるが、全国で普通に見られる季節ではない |
月は全国共通の出現日程ではなく、大まかな目安です。緯度や標高、地域の記録によって前後します。京都では5月上旬の通過個体や、6~7月の山地での鳴き声が報告されています。見られる期間と、声を聞きやすい期間も分けて考えると観察の見通しが立ちます。
冬に鳴く小さなフクロウもコノハズク?
コノハズクは主に夏鳥ですが、西日本の暖地で越冬する個体も記録されています。そのため冬の記録を一律に否定することはできません。ただし、冬の小型フクロウはオオコノハズクなどの可能性もあり、鳴き声と姿を確かめる必要があります。
初夏の森林で声を覚えるなら、アカショウビンの鳴き声・生息地や、サンコウチョウの鳴き声と見られる時期も読むと、同じ季節の野鳥を聞き分ける手がかりが増えます。
コノハズクとオオコノハズクの違い|目の色・大きさ・声で比較
見分ける軸は、コノハズクの黄色い目と、オオコノハズクの橙色~赤橙色の目です。オオコノハズクは全長約24~25cmで、約20cmのコノハズクより一回り大きくなります。名前は似ていますが別種です。

| 比較する点 | コノハズク | オオコノハズク | アオバズク |
|---|---|---|---|
| 全長の目安 | 約20cm | 約24~25cm | 約29cm |
| 目の色 | 黄色 | 橙色~赤橙色 | 黄色 |
| 羽角 | ある。小さく、寝かせることもある | ある | ない。丸い頭 |
| 代表的な声の表現 | ブッ・キョッ・コー | ウォッ、ウォッなど | ホッホー、ホッホー |
| 日本での季節 | 主に夏鳥 | 通年見られる地域がある。移動する個体もいる | 主に夏鳥 |
暗い場所では目の色がわかりにくく、写真では光や色調によって印象が変わります。遠近によって大きさも違って見えるので、一つの特徴だけで断定せず、声や複数の写真も使って判断しましょう。
アオバズクとの違いは「丸い頭」と二声の鳴き方
アオバズクも黄色い目をしていますが、羽角がなく、頭が丸く見えます。白い腹に太い褐色の縦斑があること、二声ずつ繰り返す「ホッホー」も手がかりです。詳しくはアオバズクの鳴き声・生息地・フクロウとの違いで確認できます。
リュウキュウコノハズクやトラフズクとは?
南西諸島のリュウキュウコノハズクも別種です。コノハズクと似ているため、観察した地域と声が重要になります。また、長い羽角が目立つトラフズクは、コノハズクよりずっと大型です。トラフズクの特徴と見られる時期や、日本のフクロウ11種類の比較から、見た鳥に近い候補を絞り込めます。
コノハズクの大きさと名前|日本最小のフクロウ
コノハズクの全長は約20cm。フクロウ目フクロウ科に属する小型の鳥で、学名はOtus sunia、英名はOriental Scops-Owlです。日本で見られるフクロウ類の中では最も小さい種として知られています。

名前は「木の葉のように小さなミミズク」という意味に由来します。頭の上に見える耳のような突起は羽角(うかく)という羽毛で、本当の耳ではありません。羽角を寝かせると目立たなくなるので、見えない写真でもコノハズクの可能性はあります。
一般によく知られるフクロウと比べると、体格も顔の印象も大きく違います。大型の仲間の声や暮らしは、野生のフクロウの生息地・鳴き声・昼間の探し方でご紹介しています。
コノハズクの特徴|黄色い目・灰褐色型・赤色型
姿を確認できたら、まず黄色い目と小さな羽角を見ます。全身の羽には細かな縦斑やまだら模様があり、木の皮に似た見た目になります。雄と雌はほぼ同じ色で、外見だけからの雌雄判別は難しい鳥です。

赤いコノハズクは別の種類?
灰褐色の個体も、赤褐色の個体もコノハズクです。赤みの強い個体は「赤色型」と呼ばれ、別の種や雌雄の違いを示すものではありません。羽色だけでなく、目の色、羽角、体格を合わせて確認してください。
細長く見えたり、丸く見えたりする理由
警戒すると体を細く伸ばして羽角を立て、枝や幹に似た姿勢になることがあります。反対に、羽毛を膨らませて休むと丸く見えます。同じ鳥でも姿勢で印象が変わるため、「丸い」「細い」だけでは種を決められません。
コノハズクの食べ物と生態|昆虫を捕らえる夜行性の鳥
主な食べ物は昆虫類です。ガや甲虫などを捕らえ、空中を飛ぶ昆虫を食べることもあります。「フクロウの仲間はみんなネズミが主食」というイメージとは異なる食性です。

夜行性で、日中は木の枝や幹のそばで静かに休みます。森の昆虫、狩りの足場になる枝、身を隠して休める木がそろう環境が、小さな体の暮らしを支えています。
夜の森林で昆虫を食べる鳥にはヨタカもいます。姿が見えず声だけ聞こえたときは、ヨタカの鳴き声・生息地・特徴も比べると、候補を整理しやすくなります。
コノハズクの繁殖|巣は大木の樹洞
コノハズクは森林の樹洞を巣に使います。自分で木に穴を掘るのではなく、すでにある空間を利用するため、大木の残る森林と深い関わりがあります。

繁殖期には、親鳥が餌を運んでヒナを育てます。巣立ったばかりの若鳥が周囲の枝にいることもありますが、外に出た直後から成鳥と同じように行動できるわけではありません。親鳥やヒナを見かけたら、普段の動きを続けられる距離から様子を見ます。
餌を持った親鳥がこちらを気にして止まっているときは、近すぎる可能性があります。少し離れて、落ち着いて餌を運べる状態に戻るのを見届けましょう。
コノハズクの見つけ方|昼間はどこを探す?
昼間は、横枝や幹のそばで休む小さな輪郭を探します。樹皮に似た羽色のため、丸いフクロウの形だけを探していると見落としがちです。まず季節・森林の環境・自然に聞こえる鳴き声から、候補を絞りましょう。

枝分かれや幹に寄り添う輪郭を見る
双眼鏡で木全体をゆっくり見て、枝のこぶのような形や、幹から少し張り出した輪郭を確認します。羽角が見えるか、目の色がわかるか、縦斑があるかを順に見ていくと、印象だけの判断を避けられます。
小鳥の警戒声も手がかりになる
小鳥が同じ木に集まり、警戒するような声を続けているときには、フクロウ類などの捕食者が近くにいる場合があります。ただし、それだけでコノハズクとは判断できません。観察路から周囲を見渡し、姿を確認できたらほかの識別点も照らし合わせます。
姿が見えないときは、声の記録を残す
声を聞いた時刻、天候、節の区切り、繰り返す間隔をメモすると、帰宅後に音源と比較しやすくなります。現地で声を聞くだけでも立派な観察です。フクロウ類を探す環境については、フクロウが見られる生息地と探す際のポイントも役立ちます。
コノハズクの観察・撮影のコツ
双眼鏡や望遠レンズを使い、休んでいる姿も自然な記録として楽しみましょう。目を開けさせるために音を出したり、葉や枝を動かしたりせず、鳥の普段の行動を待つのが基本です。

- 鳴き声の音源は自宅で確認し、現地で再生して呼び寄せない。
- 強いライトを直接当て続けず、フラッシュを使わない。
- 鳥がこちらを見続ける、移動するなどの反応があれば距離を取る。
- 歩けるルートと利用時間を確認し、暗い森では足元と帰路にも注意する。
撮影では、鳥に近づく前に手ぶれを抑えられる構えや設定を見直します。暗い場所で鳥が動くときは、シャッター速度と感度のバランスを調整してください。準備する道具は、バードウォッチングの必需品・持ち物で確認できます。
コノハズクのよくある質問

「コノハズク」と「このはずく」は同じ鳥?
はい。同じ鳥のカタカナ表記とひらがな表記です。全長約20cmで、黄色い目と小さな羽角を持つフクロウの仲間を指します。
コノハズクは「ホーホー」と鳴く?
代表的な鳴き声は「ブッ・キョッ・コー」などと表されます。「ホッホー」と二声ずつ聞こえる場合はアオバズクなども候補になります。声の文字表現だけで決めず、区切り方と音源を比較しましょう。
コノハズクの鳴き声を音源で確認するには?
末尾の参考資料「コノハズク|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動」で、さえずりの音源を確認できます。自宅などで小さな音量、またはイヤホンで聞いて、節の区切り方を覚えると役立ちます。
コノハズクとブッポウソウは同じ鳥?
別の鳥です。「仏法僧」と聞こえる声の主がコノハズクで、ブッポウソウは青緑色の羽を持ち、「ゲッ」「ゲエッ」と聞こえる声で鳴きます。
コノハズクは珍しい?姿を見るのは難しい?
見聞きできる機会には地域差があります。夜行性で、昼間は樹皮に似た羽色が背景に溶け込むため、姿の確認は簡単ではありません。繁殖期の声から存在に気づくことが、観察の入り口になります。
赤色型はメス?オオコノハズクとは違う?
赤色型はコノハズクの羽色の違いで、メスを示すものではありません。オオコノハズクとは別種です。羽色に加え、黄色い目か橙色系の目か、体格や声はどうかを確認しましょう。
コノハズクを覚える手がかりは、「約20cm」「黄色い目」「小さな羽角」「ブッポウソウと聞こえる声」「主に春~秋の森林」。声で気づき、季節と環境を確かめ、姿が見えたら複数の特徴を照らし合わせると、似た鳥との違いがつかめます。


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