
ブッポウソウは「ゲッゲッ」「ゲゲゲー」と濁った声で鳴く、青緑色の夏鳥です。「ブッポウソウ(仏法僧)」と聞こえる声の主は、別の鳥であるコノハズク。名前から想像する鳴き声と、実際の鳴き声が違うのが、この鳥を知る最初のポイントです。声の主については、コノハズクの鳴き声と生態で詳しく紹介しています。
日本では本州・四国・九州の限られた地域に渡来し、岡山県や長野県などで繁殖します。この記事では、声と姿の見分け方、生息地、何月に見られるかを順番に解説します。
まず知りたい3つの答え
- どんな声? ブッポウソウは濁った「ゲッゲッ」。コノハズクは高い「ブッ、キョッ、コー」。
- どこにいる? 岡山・広島などの中国地方や長野県をはじめ、林と開けた場所が接する環境。
- いつ見られる? 渡来は5月ごろ。観察計画は5〜7月を中心に、地域の繁殖状況と合わせて考えます。
ブッポウソウの鳴き声は?「仏法僧」と鳴くのはコノハズク

青緑色のブッポウソウの声は、「ゲッゲッ」「ゲェー、ゲゲゲゲ」などと表されます。澄んださえずりというより、喉を鳴らすような濁った音が特徴です。聞きなしには個人差があるので、文字だけで覚えるより、実際の音と結びつけるとわかりやすくなります。
一方、コノハズクの声は「ブッ、キョッ、コー」。この区切りのある声が「仏・法・僧」と聞きなされてきました。「ブッポウソウ」と鳴く鳥を調べているなら、探しているのはコノハズクかもしれません。
実際の声は、記事末の「ブッポウソウ」「コノハズク」の鳴き声付き資料で聞き比べられます。
ブッポウソウとコノハズクの違いを比較
| 比べる点 | ブッポウソウ | コノハズク |
|---|---|---|
| 分類 | ブッポウソウ科 | フクロウ科 |
| 全長 | 約29〜30cm | 約20cm |
| 姿 | 青緑色の体と赤いくちばし。翼に白斑 | 木肌に似た褐色系の模様。小さなフクロウ |
| 代表的な声 | 「ゲッゲッ」などの濁った声 | 「ブッ、キョッ、コー」という高い声 |
| 呼び分け | 姿のブッポウソウ | 声のブッポウソウ |
なぜ別の鳥なのに「ブッポウソウ」と呼ばれる?
昔は「仏法僧」と聞こえる声を、青緑色のブッポウソウが発していると考えられていました。のちに声の主がコノハズクだと判明したため、姿と声を分けた呼び方が残っています。コノハズクはブッポウソウのメスでも幼鳥でもありません。
夜の森で声を聞いた場合も、時間帯だけで判断せず、音の高さや区切りを確かめてください。フクロウの仲間を比べたい方は、日本のフクロウ11種類の鳴き声・見分け方も参考になります。
ブッポウソウの生息地|日本のどこで見られる?

日本では本州・四国・九州に夏鳥として渡来しますが、分布は局地的です。生息環境の手がかりは、里山の林と、田畑や川沿いなどの開けた空間の組み合わせ。木々に囲まれた場所だけでなく、虫を捕るために飛び出せる空間にも目を向けましょう。
岡山県・広島県など、中国地方の生息地
岡山県・広島県・鳥取県などの中国山地は、国内の重要な繁殖地域です。岡山県の吉備中央町では巣箱を利用した子育てが知られ、町の資料で飛来から巣立ちまでの流れを確認できます。
吉備中央町への観察を考えるなら、地名だけで決めず、見たい行動に合わせて時期を選ぶのがコツです。高い場所に止まる成鳥を探すのか、親鳥の餌運びを見たいのかによって、計画の立て方が変わります。
長野県の天龍村・栄村|当サイトの観察記録
長野県では南部の天竜川沿いや、北部の栄村が知られています。当サイトにも、季節の異なる2つの観察記録があります。
- 天龍村の観察記録(2018年5月16日):川沿いで声や飛ぶ姿を確認した記録。渡来後の様子を知る手がかりになります。
- 栄村の観察記録(2017年8月28日掲載):8月下旬、声を頼りに探し、最終的に高い電線上で姿を確認した記録です。
いずれも過去の観察例です。同じ月でも年によって状況は変わるので、現在の飛来状況と合わせて読みましょう。
関東・神奈川・千葉でも見られる?
関東で日常的に出会える鳥とはいえません。環境省の資料では、関東周辺の繁殖地はきわめて少ない状況が示されています。神奈川県や千葉県の目撃情報を見つけても、一時的な飛来の記録なのか、継続的な繁殖の記録なのかを区別して読む必要があります。
「青い鳥を見た」という場合は、まず体の大きさ、くちばし、腹の色を確認してください。日本で見られる青い鳥8種類の見分け方で候補を比べると、ブッポウソウ以外の鳥も調べられます。
ブッポウソウが見られる時期は何月?観察は5〜7月が目安

ブッポウソウは5月ごろに日本へ渡来し、夏に繁殖したあと、秋に南へ渡ります。観察を計画するなら、まず5〜7月を候補にしましょう。「日本にいる期間」と「姿を見つけやすい期間」は同じではなく、抱卵中や巣立ち後には見られ方が変わります。
| 時期 | 主な様子 | 注目すること |
|---|---|---|
| 5月ごろ | 渡来・営巣場所選び | 枝や電線に止まる姿、周囲を飛ぶ姿 |
| 5月下旬〜6月 | 産卵・抱卵・孵化 | 巣の外で見える鳥が少ない時間もある |
| 6月下旬〜7月 | 親鳥の餌運び・子育て | 昆虫をくわえて飛ぶ親鳥 |
| 7〜8月 | 巣立ち・巣立ち後の行動 | 親子の姿や餌を受け取る行動 |
| 秋〜冬 | 南へ渡り、日本では通常の観察期を終える | 夏の繁殖地で同じように探せるとは限らない |
観察しやすい時間帯は朝・夕方?
吉備中央町の観察マップでは、6月下旬〜7月中旬の朝・夕方を、親鳥の餌運びが盛んな観察しやすい時期として案内しています。日中にも観察できますが、これは同町での目安です。別の地域に、そのまま同じ日程が当てはまるわけではありません。
8月でも見られる?巣立ちはいつ?
8月にも観察例はあります。ただし、巣立ち後は親子が移動し、繁殖中と同じ場所で待っても姿が見えないことがあります。吉備中央町の資料では巣立ちは7月中旬〜下旬が目安ですが、個々のつがいで前後します。
夏の林でほかの鳥も探すなら、サンコウチョウの見られる季節・生息地・鳴き声もどうぞ。同じ夏鳥でも好む環境や声は違うため、鳥ごとに探す手がかりを持っておくと役立ちます。
ブッポウソウの特徴|赤いくちばしと飛翔時の白斑に注目

全長は約29〜30cm。頭は暗い黒褐色で、体は青緑色、くちばしと脚は赤色です。光の当たり方で青く見えたり緑に見えたりするため、色の印象だけでなく、体の形や模様も組み合わせて見分けます。
止まっているときは赤いくちばし、飛んだときは翼の白い斑に注目してください。遠くの個体や逆光の個体では、鮮やかな羽色がわからなくても、飛翔時の白斑が手がかりになることがあります。
オスとメスの違いは?
オスとメスはほぼ同じ色をしています。「青いほうがオス」「暗く見えるほうがメス」とは判断できません。写真の明るさや撮影角度でも印象が変わるので、外見だけで無理に性別を決めないことが大切です。
幼鳥の見分け方は?
幼鳥は、成鳥と比べた羽色やくちばしの色、親から餌を受け取る行動を合わせて確認します。吉備中央町の資料では、巣立ち直後の雛を、暗い青色の羽と黄色いくちばしで紹介しています。成長段階や光の条件で見え方が変わるため、くちばしの色を一色に決めつけず、成鳥と並んだときの違いも見てみましょう。
何を食べる?巣箱を使う理由と珍しい鳥とされる背景

食べ物は主に昆虫|空中で捕まえる
主な餌は甲虫などの昆虫です。見通しのよい枝先などで待ち、飛んでいる虫を捕らえて止まり木に戻る行動が見られます。森の中にいる鳥でも、周辺の開けた空間が重要なのは、こうした餌の捕り方とも関係しています。
樹洞や巣箱を使って子育てする
繁殖には木の穴やキツツキの古巣、人工構造物の穴、巣箱などを利用します。巣箱が使われるのは、もともと穴の中で子育てする鳥だからです。営巣に適した穴が減った地域では、巣箱の設置と管理が繁殖を支えてきました。
ブッポウソウは絶滅危惧種?
環境省の掲載資料では、絶滅危惧ⅠB類(EN)に評価されています。巣箱の設置によって繁殖数が回復した地域がある一方、全国に広く普通にいる鳥ではありません。餌となる昆虫が暮らす環境と、子育てに使える穴の両方が必要です。
ブッポウソウの声が聞こえたら、どこを見る?

声がするのに見つからないときは、林の奥を探し続けるより、木々の上部や周辺の見通しのよい場所も確かめてみましょう。
- いったん立ち止まり、声の方向を確かめる。 次の声も聞いて、おおよその位置をつかみます。
- 高い枝・枯れ木・電線を肉眼で探す。 鳥の位置がわかったら双眼鏡で確認します。
- 飛び立ったら翼の白斑を見る。 戻った止まり木を覚えておくと、その後の観察を続けやすくなります。
赤いくちばしが見えても、体が赤褐色ならアカショウビンの可能性があります。声も姿も違うので、アカショウビンの鳴き声・生息地・特徴と比べてみてください。
ブッポウソウについてよくある質問

ブッポウソウは漢字でどう書く?
「仏法僧」と書きます。鳥の名前と鳴き声の取り違えが、「姿のブッポウソウ」「声のブッポウソウ」という呼び分けにつながっています。
冬にも日本で見られる?
日本では夏鳥で、冬は通常の観察シーズンではありません。秋以降の探鳥なら、夏の生息地をそのまま訪れるより、冬に見られる鳥と環境を改めて選びましょう。
ブッポウソウとカワセミは同じ鳥?
別の鳥です。カワセミはブッポウソウより小さく、長いくちばしと橙色の腹が特徴です。青緑色の印象が似ていても、全身の配色や大きさに違いがあります。比較する際は、カワセミの特徴と見分け方も参考にしてください。
声だけで種類を決められる?
コノハズクとの聞き分けには声が役立ちますが、短い擬音だけで断定するのは難しいこともあります。声の区切りや繰り返し方、聞いた場所と季節、姿の特徴を合わせて確認すると確かめやすくなります。
声・場所・季節を組み合わせてブッポウソウを知ろう

覚えておきたいのは、濁った「ゲッゲッ」という声、青緑色の体と赤いくちばし、飛翔時の翼の白斑です。日本での観察は5〜7月を中心に、生息地域と子育ての進み方を組み合わせて考えましょう。声の正体を知りたい方も、実際に姿を見たい方も、この3つが手がかりになります。
ここで紹介した鳥に当てはまらない場合は、鳥の名前を色・大きさ・動きから探すガイドで候補を広げてみてください。
参考資料



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