コウノトリは日本に生息しており、兵庫県豊岡市をはじめ、福井県越前市、徳島県鳴門市、栃木県の渡良瀬遊水地周辺などで野外繁殖が確認されています。田んぼや湿地、川の浅瀬で魚やカエルを探す、白と黒の大型の鳥です。
「大きな白い鳥を見たけれど、サギとの違いがわからない」「コウノトリは多摩川にも来る?」「カタカタという音は鳴き声?」。そんな疑問に、見分け方と日本の生息地から順に答えます。
コウノトリの特徴を先に確認
- 見た目:白い体、黒い風切羽、太くて黒いくちばし、赤い脚。
- 大きさ:全長約110cm。翼を広げると約200〜220cm。
- 飛び方:首をまっすぐ伸ばして飛ぶ。サギは通常、首を折りたたむ。
- 鳴き声:成鳥は声の代わりに、くちばしを打ち合わせる「クラッタリング」で音を出す。
- 日本の野外個体数:728羽(2026年8月31日現在、兵庫県立コウノトリの郷公園の集計)。

コウノトリはどこにいる?日本の生息地と関東の観察記録
日本のコウノトリは豊岡だけにいるわけではありません。野生復帰の取り組みと野外繁殖によって、各地で暮らすようになりました。定着して子育てをする地域がある一方、移動中の個体が一時的に現れる地域もあります。

日本で生息・繁殖に関わる代表的な地域
| 地域 | コウノトリとの関わり |
|---|---|
| 兵庫県豊岡市と周辺 | 日本の野生復帰の中心となった地域。2005年に最初の放鳥が行われ、野外繁殖が続いています。 |
| 福井県越前市 | 飼育・放鳥に加え、野外で生まれて巣立った個体もいます。田んぼや湿地の環境づくりが進められています。 |
| 徳島県鳴門市 | 2017年に、豊岡市とその周辺以外では全国初となる野外繁殖に成功しました。 |
| 栃木県・渡良瀬遊水地周辺 | 2020年に野外繁殖によるヒナが誕生。2026年もヒナの誕生が確認されています。 |
| 千葉県野田市 | 「こうのとりの里」で飼育・放鳥・野生復帰の取り組みが行われています。飼育展示と野外の個体は区別して見ると理解しやすくなります。 |
このほか、京都府、島根県、鳥取県、石川県、茨城県などにも野外繁殖の実績があります。ただし、地域名は毎回の観察を約束するものではありません。個体が移動するため、見られる状況は時期によって変わります。
多摩川にもコウノトリは来る?
多摩川での観察記録もあります。当サイトの2018年3月の多摩川六郷橋緑地の記録では、夕方にコウノトリが上空を飛び、ヨシ原の向こうに降りたように見えたと報告しています。着地点までは確認できていません。
多摩川六郷橋緑地でコウノトリが飛来したときの観察記録では、同じ日に見られたクイナや水辺の野鳥も紹介しています。過去の記録として読める記事で、現在の滞在情報とは異なります。
茨城県のハス田周辺にも観察例がある
当サイトの2016年9月の探鳥記では、茨城県稲敷市の浮島地区での探鳥中、近隣の西の洲でコウノトリを確認しています。水辺の農地が採食場所になることを知る手がかりです。
浮島のハス田周辺でコウノトリを観察した記録では、アカアシシギやトウネンなど、その日の野鳥の写真も見られます。
コウノトリが利用するのは、餌のある浅い水辺
主な生息環境は、田んぼ、湿地、河川、湖沼の岸辺、水路などです。水があるだけでなく、魚やカエルなどの餌を得られることが大切です。水辺を歩いて探すときもあれば、草地などで小動物を捕らえることもあります。
白い鳥の名前がまだわからない場合は、白い鳥18種類を、田んぼ・川・海・街で見分ける一覧も参考になります。観察した環境から候補を絞れます。
コウノトリとは?大きさ・学名・分類を確認
コウノトリはコウノトリ目コウノトリ科の大型の鳥です。長い首と脚を持ち、陸上を歩きながら水辺の小動物を捕らえます。ツルやサギに似た姿をしていますが、分類上は別の仲間です。

| 和名・漢字 | コウノトリ/鸛 |
|---|---|
| 学名 | Ciconia boyciana |
| 分類 | コウノトリ目コウノトリ科 |
| 全長 | 約110cm |
| 翼開長 | 約200〜220cm |
| 主な食べ物 | 魚、カエル、昆虫、ヘビなどの動物 |
| 主な環境 | 田んぼ、湿地、河川など |
翼開長は、左右の翼を広げたときの端から端までの長さです。約2mの翼を広げるため、地上で見た印象以上に飛翔時の大きさが目立ちます。オスとメスの羽色はよく似ており、見た目だけで性別を判断するのは難しい鳥です。
コウノトリの見分け方|白い体・黒い翼・黒いくちばしに注目
見分けるときは、「白い体」「翼の黒い部分」「太い黒いくちばし」「赤い脚」を組み合わせて確認します。体の大きさだけでは、遠近によってサギと見間違えることがあります。

立っているときは、くちばしと翼を見る
成鳥のくちばしは長く、まっすぐで黒色です。翼をたたんでいても、体の後ろ側に黒い羽が見えることがあります。脚は赤く、目の周りにも赤い皮膚がありますが、遠くでは色がわかりにくいため、最初は白黒の配色とくちばしを確認しましょう。
飛んでいるときは、首の伸ばし方を見る
コウノトリは首を前に、脚を後ろに伸ばして飛びます。翼を広げると、白い部分と黒い風切羽がはっきり分かれます。首を折りたたんで飛ぶアオサギや白いサギとは、飛翔中の姿に違いがあります。
遠くの鳥では、1つの特徴で決めず、飛ぶ姿と着地後の姿を見比べると判断しやすくなります。
コウノトリとサギ・タンチョウ・トキの違い
サギとの大きな違いは、翼の黒い部分と飛ぶときの首の形です。タンチョウのように首を伸ばして飛ぶ鳥とは、頭や首、脚の色も比較します。

| 鳥 | 色とくちばし | 飛ぶときの首 | 見分ける手がかり |
|---|---|---|---|
| コウノトリ | 白い体と黒い風切羽。太い黒いくちばし。 | 伸ばす | 白黒の翼と赤い脚。 |
| アオサギ | 灰色の体。黄色系のくちばし。 | 通常は折りたたむ | 背や翼が灰色で、コウノトリより小さい。 |
| ダイサギ | 翼も白い。くちばしの色は季節で変わる。 | 通常は折りたたむ | 白い翼、細い首と黒っぽい脚。 |
| コサギ | 翼も白い。黒いくちばし。 | 通常は折りたたむ | 体がかなり小さく、黒い脚と黄色い足先が目印。 |
| タンチョウ | 頭頂が赤く、顔から首に黒い部分がある。 | 伸ばす | 頭・首の模様と黒い脚。 |
| トキ | 下向きに曲がったくちばし。顔が赤い。 | 伸ばす | くちばしの曲がりと翼の淡い朱色。 |
「白くてくちばしが黒い」だけでは決められない
コサギのくちばしも黒く、ダイサギは繁殖期にくちばしが黒くなります。くちばしの色に加え、翼に黒い羽があるか、飛ぶときに首を伸ばしているかを確認してください。
白いサギの候補が残る場合は、ダイサギ・チュウサギ・コサギの見分け方を写真で比較すると、体格や足先の違いを確かめられます。
灰色に見えた鳥はアオサギの特徴と見分け方を、小さめの白い鳥で黄色い足先が見えたときはコサギの特徴・生息地を参考にしてください。
曲がったくちばしが目立つ鳥については、トキの特徴・生息地・野生復帰のガイドで詳しく紹介しています。
コウノトリはいつ見られる?季節と繁殖期の目安
日本で定着している個体は、一年を通して見られる可能性があります。冬だけに渡ってくる鳥として考えると、日本での暮らしを捉えにくくなります。繁殖地で暮らす個体と移動する個体では、見られる時期が異なります。

日本の繁殖地では、冬から早春に巣の補修や巣作りが始まり、春に産卵・抱卵、春から夏に子育てが進みます。地域やペアによって前後するため、次の表は大まかな目安です。
| 時期 | 暮らしの目安 |
|---|---|
| 1〜3月ごろ | 巣の補修、巣材を集める行動など。 |
| 3〜4月ごろ | 産卵や抱卵。オスとメスで卵を温めます。 |
| 4〜7月ごろ | ヒナの成長と巣立ち。孵化から巣立ちまではおおむね約2か月です。 |
| 秋〜冬 | 餌を得られる田んぼ、湿地、河川などを利用します。 |
観察では月だけに注目せず、田んぼの水の状態や水路、浅瀬など、餌を探せる環境も見ておきましょう。訪問前には自治体や施設の最新案内を確認すると、その地域の状況をつかみやすくなります。
コウノトリは渡り鳥?日本では定着する個体も移動する個体もいる
大陸のコウノトリは、ロシア極東部や中国東北部などの繁殖地と、中国などの越冬地を移動します。一方、日本で野生復帰した個体には、地域に定着するものと広く移動するものがあります。

巣立った若い個体が都道府県を越えて移動することもあります。ふだん見かけない川や田んぼに現れるのは、こうした移動の途中かもしれません。多摩川などの観察記録も、コウノトリが広い範囲を利用することを知る手がかりになります。
脚の足環は何のため?
脚についている色のついた輪は足環(あしわ)です。個体を識別し、出生地や移動、繁殖などを調べるために使われます。鳥を見つけた場所が、その鳥の生まれた場所とは限りません。
足環の色がわかった場合も、近づいて読み取ろうとせず、望遠鏡や写真で確認できる範囲を観察記録に残しましょう。
コウノトリの鳴き声は「カタカタ」?クラッタリングの仕組み
成鳥のコウノトリは、声の代わりにくちばしを打ち合わせて音を出します。この動作を「クラッタリング」と呼びます。コウノトリの鳴き声として紹介される「カタカタ」という音は、くちばしをたたく音です。

ペアのあいさつや相手への働きかけ、威嚇などの場面で見られます。音を聞いたときに、くちばしの動きや姿勢まで確認できると、声を出す鳥との違いがわかります。
ヒナは声で鳴く
ヒナのうちは、餌をねだるときなどに声を出します。「コウノトリは鳴かない」という説明は、成鳥のコミュニケーションを指したものとして理解するとよいでしょう。
コウノトリは何を食べる?田んぼで魚やカエルを探す肉食の鳥
コウノトリは肉食性です。ドジョウやフナなどの魚、カエル、昆虫、ヘビなど、水辺から陸上までさまざまな動物を食べます。

浅い水の中や泥の上を歩き、長いくちばしで獲物を捕らえます。田んぼでじっと立っている姿も、しばらく見ていると、ゆっくり歩く、くちばしを水に入れる、獲物を飲み込む、といった一連の行動につながることがあります。
コウノトリが暮らすには、水辺に十分な餌があることが欠かせません。田んぼや湿地に魚、カエル、昆虫が暮らせる環境を整えることが、野生復帰を支えています。
コウノトリは珍しい鳥?日本には何羽いる?
コウノトリは、全国の水辺で日常的に出会える鳥ではありません。2026年8月31日現在、兵庫県立コウノトリの郷公園が集計した日本の野外個体数は728羽です。

この数には集計上の基準があり、巣内のヒナや識別できない個体などは含まれません。また、表に載っている地域は放鳥地や野外で巣立った地域を示しており、すべての個体が現在その場所にいるという意味ではありません。
環境省の第5次レッドリスト(鳥類、2026年公表)では「絶滅危惧ⅠB類(EN)」に評価されています。これは絶滅のおそれがあることを示す区分です。国の特別天然記念物にも指定されている、保護を続ける必要のある鳥です。
野外個体数と、レッドリストの評価に用いる成熟個体数は別の指標です。「羽数が増えたから、絶滅のおそれがなくなった」とは判断できません。
コウノトリはなぜ絶滅した?1971年の野生絶滅から野生復帰へ
1971年に姿を消したのは、日本の在来の野生個体群です。世界中で種そのものが絶滅したわけではありません。国外の個体をもとに飼育下での繁殖を進め、再び日本の野外へ戻す取り組みが行われました。

乱獲・営巣木の伐採・農薬などが重なった
日本のコウノトリが減った背景には、狩猟による乱獲、巣を作る大木の伐採、生息環境の変化、有機水銀を含む農薬の影響などがありました。餌になる生きものの減少やコウノトリ自身への影響が重なり、保護を始めても減少を止められませんでした。
放鳥と野外繁殖を積み重ねてきた
| 年 | 野生復帰につながる出来事 |
|---|---|
| 1971年 | 日本の在来の野生個体群が絶滅。 |
| 1985年 | 旧ソ連のハバロフスクから若いコウノトリ6羽を受け入れ。 |
| 1989年 | 飼育下での繁殖に成功。 |
| 2005年9月24日 | 兵庫県豊岡市で最初の5羽を放鳥。 |
| 2007年 | 国内の野外では46年ぶりとなるヒナが巣立ち。 |
| 2026年8月31日 | 野外個体数の集計で728羽を確認。 |
野生復帰は、鳥を放すだけでは続きません。野外で餌をとり、繁殖して次の世代が育つこと、その暮らしを支える水辺や農地があることが大切です。
同じように野生復帰の取り組みが続く鳥を知りたい方は、トキの野生復帰と日本の生息地もあわせて読むと、背景を比べられます。
初心者のコウノトリ観察|見つけ方と持ち物
コウノトリを見つけたら、まず双眼鏡で体の配色とくちばしを確認しましょう。鳥が自然に動く様子を見ると、立ち姿だけではわからない特徴も見えてきます。

- 姿を見る:白い体に黒い羽があるか、くちばしが太く黒いかを確認。
- 行動を見る:歩いて採食する様子、羽づくろい、翼を広げる動作を観察。
- 飛翔を見る:首を伸ばして飛ぶか、翼の白黒が見えるかを確認。
- 記録する:日付、環境、行動をメモ。見えた範囲で足環の色も記録。
持ち物は双眼鏡、飲み物、歩きやすい靴が基本です。水辺では日差しや風を遮るものが少ないため、帽子や季節に合った上着も役立ちます。撮影する場合は、鳥との距離を保てる望遠レンズを使いましょう。
バードウォッチングの必需品・持ち物で、初めての探鳥に必要な道具を確認できます。
コウノトリを観察するときの注意点
観察では、鳥が採食や休息を続けられる距離を保ちます。接近したことで歩くのをやめたり、人の方を見続けたりする場合は、それ以上近づかず距離を取りましょう。

- 双眼鏡や望遠レンズを使い、静かに観察する。
- 鳥を追いかけず、飛び立たせるために近づかない。
- 繁殖中の巣やヒナに近づかず、現地の観察ルールに従う。
- 餌を与えない。
- 田んぼや畦、私有地に無断で入らない。
- 農作業や通行を妨げず、駐車は指定された場所を利用する。
鳥を大きく写すことより、自然な行動を長く見られる位置を選ぶと、採食や飛び方をじっくり観察できます。
コウノトリのよくある質問

コウノトリは日本にいる?
はい。野生復帰した個体と、その子孫が日本の野外で暮らしています。豊岡市周辺をはじめ各地で繁殖し、移動中に別の地域で見られることもあります。
コウノトリはサギの仲間?
コウノトリ科の鳥です。サギとは別の仲間で、白黒の翼、太い黒いくちばし、首を伸ばす飛び方などが見分ける手がかりになります。
コウノトリとツルは同じ鳥?
別の鳥です。タンチョウなどのツル類と比べると、頭や首の模様、脚の色が違います。首を伸ばして飛ぶという共通点だけでは見分けられません。
コウノトリの寿命は何年?
兵庫県立コウノトリの郷公園は、飼育下で40年以上生きた個体がいると紹介しています。これは長寿の事例で、平均寿命を表す数値ではありません。野外の寿命はまだ十分にはわかっていません。
オスとメスは見分けられる?
オスの方が大きい傾向がありますが、羽色はよく似ています。1羽だけを遠くから見て性別を判断するのは難しく、足環による個体情報などが手がかりになります。
赤ちゃんを運ぶコウノトリは日本の鳥と同じ?
赤ちゃんを運ぶという言い伝えは、主にヨーロッパに生息するシュバシコウにまつわるものです。日本のコウノトリはくちばしが黒く、シュバシコウは赤いくちばしを持つ別の種です。
コウノトリは縁起がいい鳥?
幸せや赤ちゃんにまつわる言い伝えから、縁起のよい鳥として親しまれています。実際のコウノトリについては、田んぼや湿地の生きものを食べる大型の鳥として、その暮らしを知ると観察がより楽しめます。
コウノトリを見分けるなら、翼・くちばし・飛び方を確認

コウノトリは、日本で野生復帰が進む大型の鳥です。白い体と黒い風切羽、太い黒いくちばし、赤い脚、首を伸ばす飛び方を組み合わせると、サギやツルとの違いがわかりやすくなります。
日本の生息地は豊岡市周辺から各地に広がり、多摩川や茨城県の水辺にも過去の観察記録があります。定着と一時的な飛来を区別し、訪問前に最新の状況を確認しながら観察を楽しみましょう。


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