オオワシとオジロワシの違い・見分け方【初心者向け識別ポイントと観察ガイド】

オオワシとオジロワシの違い

日本には冬になると「オオワシ」と「オジロワシ」というとても大きなワシが姿を現します。その雄大な飛ぶ姿や凛々しい立ち姿は一度見たら忘れられない感動がありますよね。ただ、初心者さんにとってはこの2種類のワシの違いが分かりにくく、「どっちがオオワシでどっちがオジロワシ?」と戸惑うことも多いでしょう。また、オオワシとオジロワシの見かけ方(どこでどうやって出会えるのか)も気になるところだと思います。

この記事では、オオワシとオジロワシの違いを丁寧に解説し、初心者の方向けに見分け方のコツ(識別ポイント)をまとめます。それぞれの基本情報から、外見や生態・行動の違い、実際に野生で観察するときのポイントや季節ごとのおすすめ観察スポットまで、幅広く紹介します。さらに、貴重な猛禽類である彼らを観察・撮影する際のマナーについても触れます。この記事を読めば、オオワシとオジロワシの特徴がしっかり頭に入り、実際のフィールドでも自信をもって識別できるようになるはずです。それでは、さっそくオオワシとオジロワシの魅力と違いを一緒に見ていきましょう!


スポンサーリンク

オオワシの基本情報

オオワシとオジロワシの違いと見分け方 オオワシ

ここではまず「オオワシ」という鳥について、基礎的な情報を整理します。オオワシは日本で見られるワシの中でも最大級の種類で、その堂々たる姿から“猛禽類の王者”とも呼ばれます。漢字では「大鷲」と書き、文字通り非常に大きなワシです。

  • 分類・英名など:オオワシはタカ目タカ科に属する猛禽類で、英名は Steller’s Sea Eagleといいます。学名はHaliaeetus pelagicusです。日本では国の天然記念物および国内希少野生動植物種に指定されており、環境省のレッドリストでも絶滅危惧種となっています。世界的にも生息数が少なく、全個体数は約5,000羽ほどとも言われています。
  • 大きさ:オオワシは日本に飛来・生息する鳥類の中で最も大きな部類です。体長(くちばしから尾までの長さ)は約90〜100cmほどにもなり、メスの方がオスより一回り大きい傾向があります。翼を広げた翼開長は約2.4〜2.5mに達し、畳1枚分ほどにもなる迫力です。まさに「大鷲」の名にふさわしいスケールですね。
  • 全体の印象・羽の色:成鳥(大人の個体)のオオワシは、遠目にもはっきり分かる黒と白の体色をしています。肩や背中、腰から脚(ももにあたる部分)にかけて白い羽毛があり、尾羽も純白です。翼の一部(翼の前縁部分)も白いため、飛んでいるときにも黒白のコントラストがとても目立ちます。その他の部分(背中や羽の大半、腹部など)は黒褐色で、白とのコントラストが鮮やかです。この白と黒のはっきりした模様のおかげで、成鳥オオワシは遠くからでも見つけやすいと言われます。
  • 顔つきとくちばし:オオワシの顔を見れば、その特徴が一目瞭然です。太くて大きな鮮やかなオレンジ色(黄色)のくちばしはオオワシ最大のチャームポイントでしょう。横顔を捉えると、額(おでこにあたる部分)の羽毛も白くなっているのが分かります。目の虹彩は明るい黄色で精悍(せいかん)な顔立ちをしています。この立派なくちばしは、鋭い鉤爪とともに大物の獲物を捕らえるのに役立っています。
  • 幼鳥の姿:オオワシは生まれてから成鳥の羽毛になるまでに約6〜8年かかります。若い個体(幼鳥〜亜成鳥)は成鳥とは見た目が異なり、全身が黒褐色の羽毛で覆われ、所々に白っぽい斑(まだら模様)が入ります。幼鳥の尾羽はまだ完全な白ではなく、茶色に白が混ざったような色です。ただしオオワシ幼鳥の場合、尾羽には比較的白い部分が多めに残る傾向があります。くちばしも幼いうちは先端が黒っぽく、成長に従って鮮やかなオレンジ色に変わっていきます。幼鳥の目の色は暗褐色です。成長につれて徐々に羽色が変化し、立派な白黒の体になるまで気長に成長を見守る必要があります。
オオワシとオジロワシの違いと見分け方 オオワシ
  • 生息地・分布:オオワシは世界でも限られた地域にしか生息しない「極東のワシ」です。繁殖地は主にロシア極東(カムチャッカ半島やオホーツク海沿岸、千島列島など)で、日本には冬鳥として渡ってきます。毎年秋の終わり頃から冬にかけて、寒さとともにシベリア方面から南下して日本に飛来し、北海道や東北の一部で越冬します。日本国内では繁殖はほとんど確認されておらず、基本的には冬にだけ姿を見せる渡り鳥です(ごくまれに北海道の千島列島寄りの地域で繁殖例があるとも言われますが非常に例外的です)。北海道では11月下旬〜12月頃に飛来し始め、真冬にかけて各地で見られ、春が訪れる3月頃には北へ帰って行きます。生息環境は川沿い・湖沼・海岸沿いといった水辺が中心です。オオワシは主に魚を捕えて食べる「海ワシ」の仲間なので、餌となる魚類が豊富な水辺に生息するのですね。実際、北海道でも沿岸部や大きな川の河口、湖の岸辺などでオオワシを見ることができます。
  • 食性・習性:オオワシの主なエサは魚類です。北海道・知床の沿岸では、漁で網からこぼれたタラなどを狙って集まる姿がよく見られます。また、氷の海で魚を捕まえにくい真冬には、流氷上に乗って獲物を探したり、岸に打ち上がった海洋生物の死骸や時にはアザラシ等の死骸を食べることもあります。内陸部では湖に回遊してきたサケ・マスの死体を餌にする様子も観察されています。オオワシは基本的に縄張り意識があまり強くなく、冬の間は集団で生活する傾向があり、夜間には決まった大きな木や崖に何羽もが一緒にねぐらをとることもあります。ただしエサが絡むと話は別で、魚の奪い合いになると大きな足で相手を蹴り合ったり、空中で激しく追いかけ合ったりと迫力満点の争いを繰り広げます。体が大きく力も強いため、獲物の争奪戦ではオオワシがオジロワシを圧倒する場面も見られます。こうした荒々しい一面もありますが、人里近い湖沼に飛来する個体は、人間の存在にある程度慣れているものもおり、遠くから静かに見ている分にはあまり人影を気にしない様子で佇んでいることもあります。
  • 鳴き声:オオワシの鳴き声は、「キャッキャッキャッ」と見た目に似合わず、高い声で鳴きます。「グワッ、グワッ、グワッ」というような濁った声で鳴くこともありますが、観察していてもしょっちゅう鳴く鳥ではなく、基本的には静かに空を舞い、獲物を見つけたときや縄張り争いのときに鳴き声をあげる程度です。
スポンサーリンク

オジロワシの基本情報

オオワシとオジロワシの違いと見分け方 (6) オジロワシ

続いて、もう一方の主役である「オジロワシ」について基本情報を押さえましょう。オジロワシはオオワシと並んで日本で最大級のワシであり、その名のとおり尾羽が白いことが特徴の猛禽類です。漢字では「尾白鷲」と書き、「尾が白いワシ」という意味ですね。英名は White-tailed Eagleで、学名はHaliaeetus albicillaです。オオワシと同じくタカ目タカ科の猛禽類で、環境省レッドリストの絶滅危惧種、国の天然記念物に指定されています。世界的な個体数はオオワシよりは多いとされますが(およそ2〜4万羽程度)、それでも減少傾向にあり保護が必要な希少種です。

  • 大きさ:オジロワシも非常に大型のワシです。体長はオスで約80cm、メスで約90〜95cmほどあります。メスはオスより一回り大きくなる点はオオワシと似ています。翼を広げると翼開長は約1.8〜2.2m程度になり、ほぼ畳1枚分弱くらいの迫力です。オオワシよりわずかに小柄とはいえ、十分に「巨鳥」の風格があります。
  • 体の色と模様:成鳥のオジロワシは、全身が茶褐色〜暗褐色の羽毛に覆われています。頭部や首元はやや淡い褐色で、体の下部(お腹や足に近い部分)ほど黒っぽい褐色が強くなるグラデーションのような配色です。尾羽は名前の由来通り真っ白で、この白い尾が飛翔時にはよく目立ちます。ただし、オオワシほど体の他の部分に白い斑は入らないため、全体としては茶褐色一色の印象が強いでしょう(※実は「尾が白いワシ」という和名ですが、成鳥ではオオワシの方が白い部分の面積が多く、オジロワシの成鳥は尾以外はほぼ茶褐色なのです)。オジロワシも成鳥になるまでに羽色が変化し、若いうちは羽にまだら模様があります。
  • 顔つきとくちばし:オジロワシの顔立ちはオオワシに比べると少し穏やかな印象かもしれません。くちばしは黄色ですが、オオワシほど太く大きくはなくやや細めで淡い黄色です。成鳥になると頭部全体の羽が白っぽく(薄いベージュのような色)なる個体もいますが、真っ白になるわけではなく薄い褐色止まりです。瞳(虹彩)の色は黄色〜淡褐色で、鋭い眼光は猛禽類らしさ十分です。
  • 幼鳥の姿:オジロワシも生後すぐは全身が暗褐色の羽毛で覆われ、ところどころに白や淡い斑点模様があります。特に翼の雨覆(うこう:羽の一部)などに白い斑が散らばる個体が多いです。幼鳥の尾羽は茶色に白が混じったまだら模様です。成鳥になるにつれて斑模様は消えていき、全体的に均一な褐色になっていきます。くちばしも幼鳥時は先端が黒く、年齢とともに黄色味を帯びていきます。成鳥羽に生え変わるまでに6年前後かかる点もオオワシと同じです。なお、オジロワシの尾羽は古来より縁起物として扱われており、例えば日本では神事に用いる矢羽(やばね)にオジロワシの羽が使われた歴史もあります。それだけ人々の目を引く立派な白い尾であるということですね。
オオワシとオジロワシの違いと見分け方 (6) オジロワシ
  • 生息地・分布:オジロワシはユーラシア大陸北部に広く分布する種です。北欧からロシア極東まで広い範囲に生息しますが、日本では留鳥および冬鳥です。北海道では一部のつがいが少数ながら繁殖しており、そうした留鳥(年間を通じて北海道にいる個体)もいます。ただし個体数は多くなく、ほとんどのオジロワシは秋から冬にかけてロシア方面(サハリンやカムチャツカ半島など)から渡ってくる冬鳥です。北海道では毎年、多くのオジロワシがオオワシとともに飛来し越冬します。東北地方北部や日本海側沿岸にも寒い季節には飛来しますが、数はさらに少なくなります。分布的には北海道が中心で、まれに本州中部以南にも迷行個体(たまたま飛来したもの)が観察される程度です。例えば滋賀県の琵琶湖には、近年毎年冬になると1羽のオオワシ(有名な越冬個体)が飛来しますが、それを追うようにオジロワシが見られる年もあります。とはいえ、本州で見られるオジロワシ・オオワシはごく少数で、やはり観察するなら北海道や東北が主な地域となるでしょう。オジロワシも水辺を好む性質があり、海岸、河口、湖沼、水田地帯など魚や水鳥が多い環境で暮らします。
  • 食性・習性:オジロワシは「海ワシ類」として分類され、基本的には魚類を好んで捕食します。沿岸部では海面近くを低空飛行し、水面に浮いた魚や弱った魚を狙って大きな足で掴み取る姿が観察されます。また、大型の水鳥(カモ類など)や小型の動物を襲うこともあり、内陸の湖や沼に営巣しているペアではカモ類や淡水魚(例えばウグイなど)をヒナに運ぶ餌として捕らえることも報告されています。さらに、オオワシ同様に漁船の落とす魚を餌にしたり、ほかの猛禽類(ミサゴなど魚を捕る猛禽)から獲物を横取りしようとすることもあります。賢いワシですから、楽に手に入る餌があれば利用するのですね。秋にはサケ・マスが川を遡上する季節に、成鳥も幼鳥も河川に集まり、遡上後に力尽きたサケやマスの死体を盛んについばんでいる姿も観察されます。 オジロワシは社交的な面があり、単独でいることはまれで、冬場は特に集団で生活する傾向があります。昼間はそれぞれ餌を探しますが、夜になると大きな木や人里離れた森に何羽かが集まって休むこともあります。北海道で越冬するオジロワシはオオワシと同様に縄張り意識が弱く、流氷の上や大木にオオワシと混じって一緒にとまっている姿もよく見られます。ただし、やはり餌場では競争が起こり、オジロワシ同士やオオワシとの間で激しい奪い合いになることもあります。オジロワシはオオワシより少し小柄で力も劣るため、大きな獲物を目の前でオオワシに横取りされてしまう場面もあります。それでも、生態的な役割は似ており、両者は混群状態で北海道の冬の生態系を担っています。
  • 鳴き声:オジロワシは繁殖期以外ではあまり鳴き声を発しませんが、「クワッ、クワッ、クワッ」と連続で鳴くことがあります。冬に観察しているだけでは滅多に鳴かないので、オジロワシの声を耳にする機会は少ないかもしれません。
  • その他の特徴:オジロワシは寒風が吹き荒れる厳冬の空を力強く舞う姿が印象的です。流氷や強風に乗りながら、大きな翼を巧みに操って悠々と飛翔します。その様子は風格があり、「空の王者」と呼ぶにふさわしいものです。一見、体が重そうなので動きが鈍いように思われがちですが、実は地上を歩くスピードも意外と速く、小走りで動き回ることもできます。これは獲物を素早く追ったり、危険を感じた際に素早く飛び立つための能力で、俊敏さも兼ね備えているのです。
スポンサーリンク

オオワシとオジロワシの違い(外見・生態・行動など)

オオワシとオジロワシの違い

オオワシとオジロワシ、それぞれの基本情報を見てきました。ここからは両者を直接比較する形で、どんな違いがあるのかを具体的にまとめます。外見上の特徴から生態・行動面まで、ポイントごとに違いを整理してみましょう。

外見の違い(サイズ・羽色・くちばしなど)

  • 体のサイズ:オオワシの方が少し大きいです。体長・翼長ともにオジロワシよりもやや上回ります。個体差もありますが、メス同士で比べるとオオワシのメスはオジロワシのメスよりも明らかに大柄です。翼を広げた大きさ(翼開長)はオオワシで約2.5m、オジロワシは約2.2mとされています。ただ、どちらも非常に大きな鳥なので、遠目にはサイズだけで判別するのは難しいかもしれません。
  • 羽の模様と色合い:両者とも成鳥は尾羽が白いのですが、その他の体の模様が大きく異なります。オオワシ成鳥は黒と白のツートンカラーで、翼の一部・肩・腰・脚(モモ部分)・尾・そして額に白い羽毛があります。一方、オジロワシ成鳥は尾羽以外ほぼ褐色で、頭〜首が淡褐色、体〜翼は濃褐色、翼下面に白斑が入る個体も少ないため、全体的に茶色一色の印象です。飛んでいる姿を見ると、オオワシは翼の前縁や尾が白いのが目立つのに対し、オジロワシは翼も体も暗褐色で尾だけが白く見えます。この違いは成鳥であれば比較的分かりやすいポイントです。
オオワシとオジロワシの違いと見分け方 (6) 顔の違い
  • くちばしと顔つき:オオワシはくちばしが非常に太く大きく、色は鮮やかなオレンジ色(山吹色)や黄色です。遠くからでも顔がオレンジ色に見えるほど立派なくちばしなので、双眼鏡で観察すると「くちばしがデコボコしてゴツい方がオオワシだ!」と分かります。オジロワシのくちばしも黄色ですがオオワシより細く小ぶりで、色もやや薄めです。また、オオワシの成鳥は額の羽まで白いため顔まわりが明るく見えますが、オジロワシ成鳥は頭部が淡い茶色なので顔全体が茶系に見えます。横顔を見られればこのへんの雰囲気の違いで判別できることもあります。
  • 脚(足)の羽毛の違い:意外なポイントですが、脚の部分にも違いがあります。オオワシは腿(もも)から足首にかけて生えている羽毛が真っ白です。対してオジロワシの脚の羽毛は体と同じ茶褐色です。ワシ類は足に「モンペ」を履いたような羽毛がありますが、その色を見るのも識別のヒントになります。足先(指)は両者とも黄色ですが、これもオオワシの方がくちばしと同様に色濃く鮮やかに見える傾向です。
  • 尾羽の形状:尾羽は両者とも大人になると白一色になりますが、形が少し異なります。オオワシの尾羽は先が尖った楔形(くさび形)で、オジロワシよりも尾が長めです。飛翔時に尾羽を広げると、オジロワシは扇形に丸く広がるのに対し、オオワシはやや細長く尖ったシルエットになります。ただ、この違いは飛んでいる姿をしっかり観察できないと難しいポイントかもしれません。鳥が止まっているときには尾羽の形は分かりにくいので、飛翔中の写真などで比べると良いでしょう。
  • 幼鳥同士の見た目:初心者泣かせなのが、幼鳥や若鳥の識別です。オオワシもオジロワシも若いうちは全身が褐色でまだら模様があり、一見とてもよく似ています。どちらも尾羽がまだ茶色っぽく、頭も黒っぽいので、「茶色い大きなワシがいるがどっちだろう…?」と悩むことが多いでしょう。そんな時は、尾羽の白の量くちばしの大きさに注目してみてください。一般にオオワシ幼鳥の方が尾羽に白が多く残り、くちばしも親譲りで太めです。一方、オジロワシ幼鳥は尾羽の白が少なめで全長も少し長く、くちばしは相対的にスリムです。ただし個体差もあり、完全に見分けるのは熟練者向けの難題です。初心者のうちは「幼鳥は判別が難しいもの」と割り切り、できれば成鳥の特徴で見分けるようにすると良いでしょう。

生態・行動の違い

  • 渡り方と季節的な違い:オオワシは基本的に冬季にのみ日本に飛来する渡り鳥で、日本国内で繁殖することはありません。一方オジロワシは北海道で繁殖する留鳥でもありつつ、冬に渡ってくる個体もいるという点で、日本における立場が少し異なります。北海道では一年中オジロワシが見られる場所(繁殖地)もありますが、オオワシは夏場に日本で見ることは極めてまれです。このように、夏場に日本に残るのはオジロワシ(ごく一部)だけで、オオワシは基本的に全員いったん北へ帰ってしまうと覚えておきましょう。ただし冬に関しては両者とも同じ時期に飛来・越冬するため、「冬=両方いる」と考えて差し支えありません。
  • 生息環境の違い:どちらも水辺を好む似た環境にいますが、細かな違いもあります。オジロワシは沿岸部だけでなく内陸の湖沼や広い河川、湿地などにも入り込んで生活する傾向があります。北海道では釧路湿原や屈斜路湖・摩周湖周辺など、内陸の淡水域でもオジロワシを見かけます。一方のオオワシはどちらかというと海沿い・海岸近くを好む印象があり、流氷の来るオホーツク海沿岸や根室海峡沿い、海に近い湖(能取湖・風蓮湖など)で多く見られます。ただ、これも絶対ではなく、実際には両者一緒に同じ湖にいたりするため大差はありません。強いて言えば、「内陸深くではオジロワシの目撃例が多く、オオワシはやや沿岸寄り」という傾向がある程度です。
  • 社会性:オジロワシは群れで生活する傾向が強いとされています。越冬地でもオジロワシ単独でポツンといるケースは少なく、だいたい数羽以上が同じエリアにいて、お互い距離を取りながらも視界に入る範囲で生活しています。オオワシも冬季は群れ状に集まりますが、オジロワシ以上に単独行動も見られる印象です。とはいえ、オオワシも「ワシのなる木」と呼ばれるように、獲物が豊富な場所では何羽もが一本の木に密集してとまることもあります。結果として、冬の北海道ではオオワシ・オジロワシが一緒に多数集まっている光景がよく見られます。オオワシだけが単独ということはあまりなく、どちらも集団で現れる、と考えて差し支えないでしょう。
  • 捕食行動と力関係:オオワシとオジロワシはどちらも魚を主食にしますが、捕食スタイルに大きな差はありません。上空を旋回しながら獲物を探し、発見すると一気に降下して足で掴み取ります。ただし、海面から魚を狙う際にオジロワシの方が低空を滑空して素早く獲物をさらうのが得意で、オオワシはどちらかというと見晴らしの良い高所(高い木のてっぺんや崖上)に陣取って、じっと獲物を見定めてから急降下するスタイルが多いようです。また、エサの争奪ではオオワシが優位に立つ場面が多く見られます。実際、オオワシは自分が運びきれないほどの大きな魚を掴んで飛ぶ力持ちで、オジロワシが手を出せなかった獲物を豪快にさらっていくこともあります。そのため、一つの魚の死骸に両者が群がった場合、オオワシが先にたっぷり食べ、オジロワシはおこぼれに預かる、というような力関係が現れることも。もっとも自然界では餌が潤沢であれば大きな争いは起こらず、仲良く(?)同じ氷の上で並んで魚をついばむ姿もよく見られます。
  • 名前の由来:和名についての豆知識ですが、「オオワシ(大鷲)」はそのまま「大きなワシ」という意味であるのに対し、「オジロワシ(尾白鷲)」は「尾の白いワシ」という意味です。ところが先述の通り、成鳥で比べるとオオワシの方が体の白い部分が多く目立つため、少し不思議な感じがしますね。実際には、オジロワシは尾羽のみが白いことからその名が付き、オオワシはその巨体ぶりから名付けられています。どちらも名前に恥じない立派な風格の猛禽類と言えるでしょう。
スポンサーリンク

オオワシとオジロワシの見分け方のコツ(識別ポイント)

それでは、実際に野外でオオワシとオジロワシに出会ったときにパッと識別するためのポイントをまとめてみましょう。両者は生態も生活環境も似ているため、見分け方の鍵はやはり見た目の特徴にあります。以下に初心者の方でも押さえやすい識別ポイントを整理しました。

オオワシとオジロワシの違いと見分け方 (6) 顔の違い
  • くちばしの色と大きさ:まず注目したいのはくちばしです。オオワシはくちばしがオレンジ色または黄色で極めて大きく厚みがあります。遠目に見ても頭部がオレンジ色に光っているように見えるほどで、近くで見れば「まるでバナナのよう」と形容されることもあるほど立派です。一方、オジロワシのくちばしは黄色で細めです。双眼鏡で見た際に、嘴がゴツく存在感があるようならオオワシ、比較的すっきり細長く見えればオジロワシと判断できます。横顔を確認できるとベストですが、斜めからでも色味と大きさの差は割とわかります。
  • 体の白い模様の有無:成鳥であれば白い模様の有無が最大の手がかりです。オオワシ成鳥には翼や肩、脚に白い部分が明確にあります。止まっている姿なら肩や脚の付け根に白が目立ちますし、飛んでいる姿なら翼の前縁や尾の白がよく目立ちます。オジロワシ成鳥は尾以外ほぼ白がありませんから、背中から羽にかけてずっと茶色一色に見えます。「体に白がある → オオワシ」「尾以外ほぼ茶色 → オジロワシ」というのは初心者にとって分かりやすい判別法でしょう。ただし若い個体は両者とも体にまだら模様があるため、この方法は成鳥に限定されます。
オオワシとオジロワシの違い
  • 尾羽の色と形:尾羽は両方とも白くなりますが、見える範囲で違いがあります。飛んでいるときに尾羽の形を見るのがポイントで、オオワシの尾はくさび形で細長く、オジロワシの尾はやや扇状です。また、若い個体ではオジロワシの尾は褐色に白が混ざり、オオワシの尾はより白っぽい傾向にあります。高倍率の双眼鏡や写真で尾羽の模様を確認できれば重要な手がかりですが、野外で動いている状況ではなかなか難しいことも多いです。
オオワシとオジロワシの違い
  • 脚の羽毛の色:ワシが木に止まっているときを観察できれば、足の付け根(腿)に注目です。オオワシは腿の羽毛が白くフサフサしています。木に止まっているオオワシを横から見ると、胴体から下りてきた白い羽毛がモコモコしているのが分かります。オジロワシは腿の羽毛が茶色なので、全身茶色い中に紛れて目立ちません。双眼鏡で観察して「足まで白い毛ズボンを履いている」のが見えたらオオワシ確定です。
  • 複数羽いる場合の大きさ比較:もし幸運にもオオワシとオジロワシが同じ場所に一緒にいるときは、大きさの違いを見比べるチャンスです。近くに並んで止まっていれば、オオワシの方が頭一つ分くらい大きく見えるでしょう。翼を広げた場面で比べるのは難しいですが、止まり木などで並んでいると大きさの印象がかなり違います。ただし見る角度によって錯覚もありますので、他の特徴も合わせて確認すると確実です。
  • 周囲の状況や行動:外見以外では、観察している環境や行動から推測することもあります。例えば、内陸の淡水湖で遠くに1羽だけぽつんと留まっている場合、オジロワシの可能性が高いでしょう(オオワシは沿岸寄りに多いため)。逆に海沿いの流氷の上に10羽以上集まっているような場合は、混ざっている可能性が大きいですが、そこで双眼鏡をのぞいてくちばしの色がやたら派手な個体を探せばオオワシが見つかります。

見分け方のコツまとめ:初心者の方はまず「くちばしの色と大きさ」「体の白黒模様」という2点に注目してみましょう。これらが確認できれば高確率で判別できます。特にオレンジ色の大きなくちばし+体の白斑あり=オオワシ、黄色い細めのくちばし+全身ほぼ茶色=オジロワシと覚えておくと便利です。慣れてきたら尾羽の形状や幼鳥の特徴など細かな点にも目を向けられるようになりますよ。

スポンサーリンク

季節ごとの観察ポイントとおすすめスポット

オオワシ・オジロワシを実際に自然の中で観察したい!となったとき、いつ・どこに行けば出会えるのかを知っておくことは大切です。ここでは季節ごとの観察ポイントと、初心者の方にも行きやすいおすすめスポットを紹介します。季節によってワシたちの動きやすい場所が変わりますので、ぜひ計画の参考にしてください。

冬(11月~3月)— ベストシーズン!冬の北海道・東北

冬はオオワシ・オジロワシ観察の最盛期です。両種とも晩秋から冬にかけて北の国から渡ってきて、日本で越冬するため、寒い時期に出会えるチャンスがぐっと高まります。特に北海道はこの大型のワシたちが多数飛来する国内随一のエリアです。北海道では11月末頃から姿が見られ始め、1月〜2月にピークとなり、3月下旬には多くが去っていきます。

  • 北海道のおすすめスポット:東北海道(道東)エリアが一番の狙い目です。知床半島(ウトロ〜羅臼)は世界的にも有名なオオワシ・オジロワシの越冬地で、流氷が来る真冬には何百羽もの個体が集まります。羅臼では冬季に観光船が出ており、海上から流氷とワシの撮影・観察ができます(※詳しくは後述)。そのほか、野付半島〜風蓮湖周辺(根室管内)オホーツク海沿岸(網走湖・濤沸湖(とうふつこ)・能取岬など)も定番ポイントです。内陸では釧路湿原(シラルトロ湖・塘路湖など)や阿寒湖周辺屈斜路湖などでも姿が見られます。こうした地域では、水辺の高い木の上や、湖に張った氷の上にちょこんと佇むワシの姿を探してみてください。木の天辺で見張り台のように座っていたり、氷の割れ目付近で魚を狙っていることが多いです。東北海道以外でも、北海道日本海側(オロロンライン沿岸や天売・焼尻島周辺、胆振・日高地方の海岸など)にも飛来します。また、道北(稚内・サロベツ原野など)にも一部越冬個体が見られます。北海道内では、基本的に大きな川や湖、海沿いならどこでもチャンスがあると言えるでしょう。初心者の方はまず道東の有名スポット(知床や風蓮湖など)を訪れてみるのがおすすめです。
  • 東北地方のスポット:東北北部(青森・秋田)や北海道寄りの道南(函館周辺)にも少数が飛来します。特に青森県の陸奥湾沿岸、岩手県北部、秋田県の八郎潟(大潟村周辺)など、水鳥の多い冬の湿地や湖沼に現れることがあります。例えば秋田県の八郎潟干拓地では、冬にマガンやヒシクイ(大型のガン類)が何千羽と集まりますが、その周辺にオオワシ・オジロワシが休んでいる光景が観察されています。地元のバードウォッチャーによれば、2月上旬〜3月下旬にかけてが北日本でワシ類を探すベストシーズンとのことです。餌となる水鳥や魚が多い場所(冬の湖沼や渡り鳥の中継地など)を狙ってみましょう。
  • 本州中部以南の状況:本州では毎年必ず見られるとは言えませんが、ごく稀に飛来する越冬個体が知られています。特に有名なのが滋賀県・琵琶湖湖畔の山本山という場所です。ここには毎年1羽のオオワシが飛来し、それを目当てに多くのバードウォッチャーが集まります。オジロワシも年によっては琵琶湖で観察されることがありますが、頻度としてはオオワシほど定着していません。他には、新潟県や山形県など日本海側の一部で記録があります。関東以南では極めて珍しいですが、過去に茨城県や千葉県の利根川下流域で一時的に観察された例などが報告されています。もし本州で見られる情報が出た場合は貴重な機会ですので、最新の野鳥情報にアンテナを張っておくと良いでしょう。

▶ワンポイント:冬に北海道を訪れる際は、防寒を万全に!特に早朝や流氷クルーズ船上では冷え込みが厳しくなります。カメラや双眼鏡の操作のためにも、手袋やカイロなどで指先を冷やさない工夫をしましょう。また、道東エリアでは道路状況が悪い場合もあるので、安全第一で移動してくださいね。

オオワシとオジロワシの違い 流氷

春(4月~5月)— 北帰行と繁殖の季節

春になると、多くのオオワシ・オジロワシは繁殖地である北の大地へ帰って行きます。北海道にいた個体も3月下旬〜4月にかけて次々と旅立ってしまうため、4月以降に日本国内で見られる数は激減します。

  • 春先の観察ポイント:3月下旬〜4月上旬頃までであれば、北海道東部などで遅くまで残っている個体を見るチャンスがあります。春とはいえ北海道は雪解けの残る時期で、流氷が消えた後も沿岸や湖沼にワシたちがいることがあります。特に道東の根室方面では、4月上旬でも海岸沿いでオオワシ・オジロワシが見られた例があります。ただし日ごとに北帰行が進むので、4月中旬以降はほとんど残らないでしょう。
  • 繁殖地での様子(要注意):北海道では少数ですがオジロワシが繁殖しています。4月〜5月は繁殖期にあたり、つがいが山奥や人里離れた森林で巣作り・抱卵を開始します。繁殖期のワシは非常に神経質で、巣に人が近づくと巣を放棄してしまう恐れがあります。この季節に運良く繁殖中のオジロワシや巣を見つけても、絶対に近寄らないことが大切です。観察は遠くから双眼鏡や望遠鏡で行い、短時間で切り上げるようにしましょう。初心者の方は無理に繁殖期のワシを探そうとせず、ワシたちがいない間は他の季節の鳥見を楽しむのも手です。
  • 春の豆知識:北海道では雪解け後の川でサケ科の魚(サクラマスなど)が遡上する時期でもあります。春先に残っているオジロワシが川岸で魚の死骸をつついている姿が見られることがあります。また、3月になるとオジロワシのペアが上空でくるくる舞いながら「ペアリングフライト」と呼ばれる求愛飛翔を見せることもあります。繁殖期ならではの行動ですが、かなり山深い領域で行うため、普通はなかなか目にすることはありません。

夏(6月~8月)— 北国のごく一部で】

夏は基本的にオオワシ・オジロワシが日本にほとんどいない時期です。オオワシは全てロシア方面の繁殖地に滞在しており、日本国内では見られません。一方、オジロワシは北海道のごく一部で繁殖しているため、少数ながら北海道内陸の森や離島などに留まっています

  • 夏に見られる可能性がある場所:オジロワシの繁殖地として知られるのは、知床半島や阿寒・釧路地方の森林、道北の利尻島周辺などです。ただ、夏場は樹木が生い茂り視界が遮られるため、たとえ近くにいても姿を探すのは困難です。オジロワシの巣は高さ20〜30mもある高木の上に作られるため、人間の目線からは遥か上ですし、葉が茂っていると見えません。また繁殖期に近づくのはマナー違反ですので、夏は基本的に観察は控えるのが賢明でしょう。
  • 夏の観察は難易度高:どうしても夏に見たい場合、知床の遊覧船やクルーズで海から海岸線の木々を探すと、運が良ければ稀に飛んでいる姿が見られるかもしれません。しかし、個体数自体が少ないため、夏にワシを見るのは上級者コースと言えます。初心者の方は無理をせず、「冬までのお楽しみ」として待つことをおすすめします。

秋(9月~10月)— 再び飛来する季節

秋が深まる頃、再びオオワシ・オジロワシが日本に戻ってくるシーズンです。10月後半から11月にかけて、北海道各地で渡来第一号のニュースが聞かれるようになります。紅葉が終わり初雪が降る頃になると、湖沼や沿岸にワシたちの姿が増えていきます。

  • 秋の観察ポイント:10月下旬〜11月は、ワシ類がどの地点に飛来し始めたか、地元の野鳥情報をチェックすると良いでしょう。早い年は10月中旬に北海道稚内方面でオジロワシが確認されることもあります。一般にはオジロワシの方がオオワシよりやや早く飛来する傾向があり、オオワシは11月に入ってからという印象です。11月になると道東や道北の有名スポットで次々と姿が確認され、日に日に数が増えていきます。おすすめの場所は冬と同じく知床・根室・釧路地域やオホーツク沿岸です。例えば阿寒湖や屈斜路湖では、湖面が凍り始める前の時期に湖岸の木々にとまるオジロワシが見られたり、晩秋の川でサケの死骸を狙うオオワシが飛来したりします。
  • 紅葉とワシ:秋は背景の景色も美しい季節です。黄葉したカラマツ林や雪を被った知床連山をバックに、飛来したてのオオワシ・オジロワシが悠々と舞う姿は絵になる光景です。ただしこの時期はまだエサが豊富なためか、ワシ同士が点在していて密度は冬ほど高くありません。一箇所に留まらず広範囲に散らばっている印象です。観察するときは広い視野で探しましょう。
  • 日没に注意:秋が深まると日が短くなり、北海道では16時台には薄暗くなります。夕方にはワシたちも活動を終え、高い木や断崖に戻って休む準備をします。観察は日没前までに切り上げ、安全に撤収しましょう。

まとめ:オオワシ・オジロワシに確実に会いたいなら、やはり冬の北海道が一番です。特に1〜2月の道東では高確率で両種に出会えます。春・夏・秋にもチャンスはゼロではありませんが、初心者の方は無理せず冬の計画を立てることをおすすめします。「いつか生で見たい!」という夢をぜひ冬の北海道で叶えてください。

スポンサーリンク

写真・観察時のマナー

貴重なオオワシ・オジロワシを観察・撮影する際には、マナーを守ることがとても大切です。大型の鳥とはいえ、人間が近づきすぎたり無遠慮な行動をとれば、彼らに大きなストレスを与えてしまいます。彼らが安心して過ごせるよう配慮しつつ、私たちも気持ちよく観察を楽しみましょう。以下に野鳥観察・撮影時の基本マナーをまとめます。

  • 適切な距離を保つ:ワシたちとの距離は十分すぎるほど離れてちょうど良いと思ってください。野鳥がこちらに気づいて飛び立ったり落ち着かない様子を見せた場合、それは人間との距離が近すぎるサインです。オオワシ・オジロワシは鋭い視力を持ち、人の存在に敏感です。双眼鏡や望遠鏡、望遠レンズを活用し、遠くから静かに観察しましょう。特に休息中や採食中の個体を驚かせて飛ばしてしまうことは避けるべきです。一度飛び立つとエネルギーを消耗しますし、再び降りてくるまで時間がかかることもあります。「近づきすぎない」ことが彼らへの思いやりです。
  • 静かに行動する:観察ポイントでは大声を出さない・物音を立てないように注意します。会話は必要最低限の小声で、携帯電話もマナーモードにしましょう。車から降りるときもドアの開閉音に気をつけて静かに。特に複数人で観察する場合、盛り上がって声が大きくなりがちですが、そこはぐっと我慢です。人間の声や物音は野生の生き物にとって脅威となります。静かな環境を保つことで、ワシたちものびのびと自然な姿を見せてくれるでしょう。
  • 三脚や機材の取扱い:カメラで撮影する場合、機材の扱いにも配慮しましょう。三脚の脚をバタバタ広げたり、金属音を響かせたりすると驚かせてしまうことがあります。地面に置くときも静かに設置し、観察中にぶつかって倒したりしないよう足元に注意です。また、撮影マナーとして他の観察者の視界を塞がないよう配慮しましょう。人気スポットではカメラマンが多数集まることもありますので、お互い譲り合って場所を確保してください。
  • 車を活用する:オオワシやオジロワシは、自動車を「ひとつの物体」として認識しているためか、車内からの観察には比較的警戒心を示しにくい傾向があります。もし車道沿いなどで観察する場合、急に車から飛び出したりせず、車内から双眼鏡で観察するのも手です。ただし、路上駐車は交通の妨げになりますので、安全に停車できる場所(駐車帯や駐車場)を選びましょう。車がブラインド(隠れ蓑)の役割を果たし、人影を見せないことでかなり接近した距離でも落ち着いて観察できる場合があります。
  • 立ち入り禁止区域に入らない:野鳥観察スポットによっては柵や看板で立入禁止が示されている場所があります。ワシのねぐら周辺や農地・私有地など、許可なく踏み込まないようにしましょう。特に農地や集落内で無断で双眼鏡やカメラを向けると、地元の方の生活の邪魔になったり、不安を与えてしまうことがあります。観察する際は周囲の土地の所有や住民のプライバシーにも十分配慮し、公の道路や展望スペースから観察するようにしてください。
  • 野鳥への餌やり禁止:オオワシ・オジロワシを間近で撮影したいからといって、勝手に餌を置いておびき寄せるような行為は厳禁です。野生動物に人為的に餌付けをすることは生態系に悪影響を及ぼす可能性がありますし、何より法律で禁止されている場合もあります。個人が餌付けすることはやめましょう
  • フラッシュ撮影・ドローン禁止:写真撮影の際、夜間や薄暗い時でもフラッシュ(ストロボ)は使用しないでください。動物に強烈な光を当てることはストレスになります。同様に、近年普及しているドローン(無人航空機)による接近撮影も禁止です。上空から大きな音を立てて接近するドローンは猛禽類にとって天敵(他の大型猛禽)と錯覚させる恐れもあり、大きな混乱を招きます。法律的にも国立公園内ではドローン禁止区域がありますので注意しましょう。
  • 防寒・安全対策もマナーの一部:直接のマナーとは少し違いますが、観察者自身が万全の装備で臨むことも大事です。特に冬の北海道では寒さ対策が不十分だと体調を崩したり、その場で耐えられずに車のエンジンをかけっぱなしにしてしまったりと、周囲に迷惑をかける事態にもなりかねません。暖かい服装・装備で来場し、自分の体調管理をしっかりすることも、結果的に落ち着いた観察につながります。

以上のようなマナーを守れば、オオワシ・オジロワシも人間もお互いハッピーです。特に希少な野生動物である彼らにとって、日本の冬は生き残りをかけた大事な季節。その邪魔をしないよう心がけつつ、その雄大な姿を見せてもらうという「拝見させていただく」気持ちで臨みましょう。マナー良く観察すれば、きっとまた次の年も彼らは安心して同じ場所に来てくれるはずです。

ここに双眼鏡で遠くのオオワシ・オジロワシを観察しているイラストを挿入(マナー良く観察している人の様子)

スポンサーリンク

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。今回はオオワシとオジロワシの違いについて、初心者の方向けに見分け方のポイントや生態の違い、そして観察のコツなどを詳しく解説しました。おさらいすると、オオワシは黒白の体色に大きなオレンジ色のくちばしが特徴で、オジロワシは全身褐色で尾だけ白いという見た目の違いがあります。慣れないうちは混同しがちですが、ポイントさえ押さえればきっと判別できるようになるでしょう。

両者は日本の冬に現れる鳥類最大級の猛禽であり、その勇壮な姿は誰もが一見の価値ありです。特に北海道の冬景色の中で見るオオワシ・オジロワシは格別で、流氷や雪原とともに記憶に残る体験になることでしょう。ぜひ本記事で紹介した観察スポット季節ごとの狙い目を参考に、実際のフィールドに出かけてみてください。運が良ければ、青空を背景に優雅に旋回するオジロワシや、氷上で堂々と羽を広げるオオワシの姿に出会えるはずです。

また、観察や撮影の際には生きものへの敬意周囲への配慮を忘れずに。オオワシ・オジロワシは私たち人間にとってかけがえのない自然の宝物です。マナーを守って観察することで、彼らの営みを末永く見守り続けることができます。あなたもぜひ、この冬は双眼鏡を片手にオオワシとオジロワシを探しに出かけてみてくださいね。最初は遠くに小さな点でしか見えなかったワシが、見分け方を知っていると「あれがオオワシだ!」「こっちはオジロワシだね」と分かる瞬間は、とても嬉しく感動的なものです。その経験ができたら、あなたも立派な“ワシウォッチャー”の仲間入りですよ。

雄大なオオワシ・オジロワシとの出会いが、あなたのバードウォッチングライフをさらに楽しく豊かなものにしてくれますように。ぜひ防寒とマナーをしっかり準備して、冬のフィールドへ出かけてみましょう!素敵な出会いと観察ができますように。これからも安全に、そして楽しくバードウォッチングを続けてください。

スポンサーリンク
スポンサーリンク