ホシハジロは、赤褐色の頭・赤い目・黒い胸が目印の潜水ガモです。日本では主に冬鳥として渡来し、湖や池、流れの穏やかな河口、内湾などで見られます。
オスは色の組み合わせで見つけやすい一方、褐色のメスや羽が生え換わる時期のオスは、ほかのカモと迷うことがあります。この記事では図解を使い、目・顔・くちばしの確認順から、似たカモとの違い、見られる季節、鳴き声まで紹介します。
まず押さえたい3つのポイント
- オス:赤褐色の頭、赤い目、黒い胸、灰色の背と脇。
- メス:褐色の頭と体、褐色の目、目の周囲やくちばしの付け根の淡い色。
- 時期と場所:秋から春の、湖沼や静かな湾のカモの群れを探す。

この記事の目次
ホシハジロのオス・メス・幼鳥の特徴と見分け方
成鳥のオスとメスは、頭の色と目の色を組み合わせると見分けやすくなります。遠くにいると目が見えないこともあるので、胸と背の配色も確認してください。

| 見る部分 | オスの成鳥(繁殖羽) | メスの成鳥 |
|---|---|---|
| 頭と首 | 赤褐色 | 褐色。顔に淡い部分がある |
| 目(虹彩) | 赤色 | 褐色 |
| 胸 | 黒色で、灰色の体との境界が明瞭 | 褐色で、色の境界は比較的穏やか |
| 背と脇 | 淡い灰色。細かな模様がある | 灰色と褐色が混じる |
| くちばし | 根元と先端が黒く、中央に青灰色の帯 | 黒っぽく、先端寄りに細い青灰色の帯 |
オスは「赤い頭・黒い胸・灰色の体」を先に見る
冬から春のオスは、頭・胸・体の3色がはっきり分かれます。まず配色で候補を絞り、双眼鏡で赤い目とくちばしの帯を確認すると、遠くの群れからも探しやすくなります。逆光では目の赤さが分かりにくいため、見える角度を変えて比べましょう。
メスは目の周りとくちばしの付け根の淡色部に注目
「茶色いカモ」という印象だけでは種類を決められません。ホシハジロのメスは、目の周囲から後方、喉、くちばしの付け根が淡く見える点が手がかりです。顔の模様、褐色の目、くちばしの細い帯をセットで確認します。
幼鳥はメスに似るため、羽色だけで年齢を決めない
幼鳥は地味な褐色で、成鳥メスに似て見えることがあります。写真1枚で「メス」「幼鳥」を決めず、顔と体の羽を複数の角度から見てください。同じ群れの成鳥と比較し、判断しにくい個体は性別や年齢を保留しておくと、観察記録が正確になります。
ホシハジロとヒドリガモ・キンクロハジロ・スズガモの違い
赤茶色の頭で迷ったらヒドリガモ、白黒の体で迷ったらキンクロハジロやスズガモと比較します。頭の色だけでなく、額の模様・目・胸を見るのが近道です。

| 種類 | 最初に見る目印 | ホシハジロと区別する部分 |
|---|---|---|
| ホシハジロ | 赤褐色の頭、赤い目 | 黒い胸と灰色の体。くちばし中央に淡い帯 |
| ヒドリガモ | 赤褐色の頭、クリーム色の額 | 額から頭頂の淡い帯。胸は赤みのある褐色 |
| キンクロハジロ | 黒い頭、黄色い目 | 後頭部の冠羽と白い脇 |
| スズガモ | 黒い頭、灰色の背、白い脇 | 赤褐色の頭を持たず、キンクロハジロのような冠羽もない |
| オカヨシガモ | 落ち着いた灰褐色の配色 | 黒いくちばしと黒いお尻。鮮やかな赤褐色の頭はない |
ヒドリガモとの違いは額・胸・くちばし
ヒドリガモのオスには、額から頭頂にクリーム色の部分があります。ホシハジロのオスは黒い胸が目立ち、くちばしは根元と先端が黒く、中央が淡くなります。両種の顔を拡大して確認したい場合は、ヒドリガモとホシハジロの違いと見分け方をご覧ください。
キンクロハジロとの違いは目の色と冠羽
キンクロハジロのオスは黒い頭と黄色い目、後頭部から伸びる冠羽が特徴です。メス同士でも、キンクロハジロの黄色い目や短い冠羽が手がかりになります。羽を伏せると冠羽が見えにくいことがあるため、目の色も合わせて比べます。詳しい雌雄の特徴はキンクロハジロの特徴と見分け方で確認できます。
スズガモのメスと迷ったら、くちばしの付け根も確認
スズガモのメスは、くちばしの付け根を囲む白い部分が目立ちます。ただし淡色部の見え方には個体差があるので、白い部分だけで決めないようにしましょう。スズガモのオス・メスの特徴と、キンクロハジロとスズガモの違いも、潜水ガモの群れを見分ける際に役立ちます。
灰褐色のカモが気になるときは、オカヨシガモの特徴と生息地も比べてみてください。
ホシハジロは何月に見られる?日本の季節と渡り
日本では主に10月ごろから4月ごろまで見られる冬鳥です。飛来や渡去の時期は、地域と年によって前後します。

| 時期 | 観察の目安 |
|---|---|
| 10〜11月ごろ | 飛来する時期。換羽途中の羽色にも注目 |
| 12〜2月ごろ | 越冬期。湖沼や湾の群れを探す時期の目安 |
| 3〜4月ごろ | 渡去が進み、群れの数や構成が変わる |
| 5〜9月ごろ | 日本の多くの地域では少ない。北海道東部には繁殖記録がある |
本州以南で初めて探すなら、まず冬の観察を計画するとよいでしょう。訪問前に現地の最近の観察情報を確認し、前の年の記録だけで飛来状況を判断しないようにします。夏の個体については、時期だけで別種と決めず、姿の特徴を確かめてください。
ホシハジロの生息地|日本ではどこにいる?
湖沼、池、貯水池、流れの穏やかな河川や河口、静かな内湾が主な生息地です。岸際の浅瀬だけでなく、開けた水面に浮かぶ群れも確認しましょう。

公園の池でも見られる?海にもいる?
どちらでも観察の機会があります。大阪の鶴見緑地では冬の大池で紹介されており、千葉県の三番瀬にも記録があります。池なら開けた水面、海なら波の穏やかな湾や河口を探すと、観察する範囲を絞れます。ひとつの水辺でも日によって群れの位置が変わるので、岸から見渡せる範囲を順に確認してください。
東京・千葉・神奈川で水辺を探す
水辺の候補を選びたい方は、地域別ガイドを使うと、周辺で見られるカモも一緒に調べられます。東京のガイドでは、皇居のお濠、不忍池、浜離宮恩賜庭園などを紹介しています。
各ガイドは探鳥地を選ぶための情報です。訪問する時期のホシハジロの飛来状況は、現地の観察情報と合わせて確認してください。
ホシハジロのエクリプスとは?メスとの見分け方
エクリプスは、オスが繁殖後の換羽で一時的に地味になる羽衣です。赤褐色・黒・灰色のくっきりした配色が弱まり、メスに似て見えることがあります。

秋に「頭が茶色いのに、体には灰色がある」という個体を見たら、換羽途中の可能性も考えます。目の色、胸と背の色、くちばしの帯を順番に確認しましょう。換羽の状態は個体ごとに違うため、色の濃さひとつで雌雄を断定せず、成鳥メスの顔の淡色部とも見比べてください。
ホシハジロとは?大きさ・学名・名前の由来

| 分類 | カモ目カモ科 |
|---|---|
| 学名 | Aythya ferina |
| 英名 | Common Pochard |
| 全長 | 約49cm(環境省・鳥類アトラスの目安) |
| 日本での渡り区分 | 主に冬鳥 |
| 餌の取り方 | 水中へ潜る潜水採餌 |
漢字では「星羽白」と書きます。サントリーの日本の鳥百科では、背の細かな模様を星屑に見立て、翼の白い帯と結び付けて名前を説明しています。泳いでいるときは翼を畳んでいるので、名前の「白」だけを目印にせず、頭・目・胸の配色で探すと覚えやすくなります。
ホシハジロの食べ物|なぜ水中へ潜るの?
水草や種子、貝類など、水中にある餌を取るために潜ります。植物だけを食べるカモではなく、食べ物の割合は水域によって変わります。

水草の葉や種子のほか、二枚貝、水生昆虫、甲殻類なども利用します。たとえば中海では貝類を食べることが研究されており、餌の残り方によって滞在の仕方も変わります。「ホシハジロの主食は必ずこれ」と一種類に決めないことが、生息地ごとの違いを知る手がかりになります。
潜水するときは頭から体を水中へ沈め、水かきで水を押して進みます。観察では、潜った場所と浮上した場所を見比べてみましょう。水面に姿がない間もその下で活動しているので、見失っても少し広い範囲を探すと、再び浮かぶ個体を見つけられます。
ホシハジロの鳴き声|昼間は何をしている?
ホシハジロの声は、「クルッ、クルッ」などと表されます。声の表記だけでは覚えにくいため、実際の録音と姿を合わせて確認すると分かりやすくなります。

鳴き声を聴きたい方は、文末の参考資料にある「ホシハジロ|日本の鳥百科」で録音を確認できます。室内で音量を抑えて聴き、観察中は自然に出す声を待ちましょう。
昼間に眠っているのはなぜ?
夜間に餌を取ることが多く、昼には水面で休む姿がよく見られます。日中に潜っていない個体でも、ホシハジロではないとは限りません。静かに見ていると、起きて羽繕いをしたり、翼を伸ばしたりする場面を観察できます。
ホシハジロの観察・撮影|見分けるための4つの手順

- 水面全体を見渡す。岸際だけを探さず、遠くに浮かぶカモの群れも確認する。
- 分かりやすいオスを探す。赤褐色の頭と黒い胸、灰色の体を目印にする。
- 目とくちばしを確かめる。見える範囲で赤い目と中央の青灰色の帯を確認する。
- 周囲の褐色の個体も見る。メスや幼鳥、換羽途中のオスを、同じ群れの成鳥と比べる。
撮影する場合は、全身が写る写真と顔が分かる写真の両方があると、帰宅後に見直しやすくなります。頭だけの写真では胸や背の特徴が抜けるので、まず横向きの全身を残し、羽ばたきや羽繕いを自然に始めるのを待ちましょう。
双眼鏡や望遠鏡を使い、群れが落ち着いて過ごせる距離から観察してください。鳥が岸から離れていくときは立ち止まり、追いかけずに待つと、その後の行動も見やすくなります。
ホシハジロは日本で繁殖する?巣と子育て

主な繁殖地はユーラシア大陸ですが、日本でも北海道東部に繁殖記録があります。繁殖期には湖沼の周辺の植物がある場所に巣を作り、メスが抱卵します。バードリサーチの生態図鑑では、抱卵期間は約25日とされています。
冬の日本で見られる群れは、主に越冬のために渡ってきた個体です。普段の観察で雛を見ないことと、日本に繁殖記録がないことは別なので、季節と地域を分けて考えると理解しやすくなります。
ホシハジロは珍しい鳥?日本での観察と世界の保全状況

日本では全国に冬鳥として渡来し、飛来する水辺と時期を選べば観察の機会があるカモです。ただし、どの池にもいるわけではなく、同じ場所の羽数も年や日によって変わります。
世界的には個体数の減少が懸念され、IUCNレッドリストの2021年評価では危急種(Vulnerable/VU)です。湿地の劣化や消失などが課題として挙げられています。冬の群れを見つけた際には、日付、羽数、分かった範囲の雌雄を記録すると、自分の観察場所の変化を振り返れます。
ホシハジロについてよくある質問

赤い目のカモはホシハジロですか?
ホシハジロの成鳥オスは赤い目を持ちますが、目の色ひとつでは断定できません。赤褐色の頭、黒い胸、灰色の体、くちばし中央の帯も確認してください。
ホシハジロのメスも目が赤いですか?
成鳥メスの虹彩は褐色です。赤い目は成鳥オスを見分ける手がかりになりますが、距離や逆光で見えにくいときは、顔と体の特徴も比べます。
ホシハジロはどのくらい潜りますか?
潜水時間は条件で変わります。一定の秒数を見分け方の基準にするより、何度も潜るか、どこから浮上するかを記録すると、その個体の採餌の様子を観察できます。
ホシハジロは飛べますか?
飛ぶことができ、長距離の渡りも行います。飛び立つときは水面を助走する姿が見られます。
ホシハジロとキンクロハジロは一緒にいますか?
同じ群れに混じることがあります。オスの頭の色と目の色が違うので、群れを一羽ずつ見比べると種類を探しやすくなります。
ホシハジロを見分けるポイントのおさらい

ホシハジロを探すときは、オスの赤褐色の頭と黒い胸を入口に、目とくちばしを確認しましょう。褐色の個体は、メス・幼鳥・エクリプスの可能性を考え、見える特徴をひとつずつ記録します。
次の観察に向けてカモの見分け方を広げるならカモ類の顔の特徴と違い、赤茶色の頭のカモで迷ったらヒドリガモとホシハジロの比較も役立ちます。


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