ハシボソガラスは、濁った「ガーガー」という鳴き声と、細めのくちばしが特徴の黒いカラスです。横から見ると額の出っ張りが少なく、くちばしから頭へなだらかにつながります。田んぼや河川敷を歩いて餌を探す姿も、身近な手がかりです。
「ガーガー鳴くカラスの名前を知りたい」「ハシブトガラスとの違いが分からない」というときは、声・横顔・鳴くときの動きを一緒に確認してみましょう。イラストと比較表で、見分ける順番から生息地、季節、食べ物まで紹介します。

ハシボソガラスの鳴き声|「ガーガー」とお辞儀するように鳴く
代表的な鳴き声は、しゃがれた「ガー、ガー」「ガア、ガア」です。ハシブトガラスの「カー、カー」と比べると、濁りのある声に聞こえます。

頭を上下に動かす「お辞儀」のような鳴き方
鳴くときに胸をふくらませ、あごを引いて頭を上下に動かすことがあります。遠くからでも、声とこの動きが一緒に見えると手がかりになります。
ただし、いつも同じ姿勢で鳴くわけではありません。動きが見えなかったときは、横顔のくちばしと額を確認してください。
「ガーガー」と鳴くカラスは必ずハシボソガラス?
鳴き声だけでは断定できません。ハシブトガラスも、警戒するときなどには濁った声を出します。「濁った声だからハシボソ」と即決せず、実際に鳴いている個体の顔つきを合わせて見ましょう。
実際の鳴き声を音声で確認するには?
末尾の参考資料にあるサントリーの「日本の鳥百科」と、日本野鳥の会の「BIRD FAN」で、ハシボソガラスの鳴き声を確認できます。聞き比べるときは、鳴き声の文字表記よりも、声の濁り方や響きに注目すると覚えやすくなります。
ハシボソガラスの特徴と見分け方|くちばし・額・大きさ
姿から見分けるときは、横向きのくちばしを最初に見ます。黒い羽の色や、いた場所よりも、くちばしの太さと曲がり方を確かめるのが近道です。

くちばしは細めで、額との段差が小さい
ハシブトガラスに比べてくちばしが細く、上側のカーブがゆるやかです。額も大きく張り出さず、くちばしから頭頂へ緩やかな傾斜に見えます。名前の「ハシ」はくちばしを指し、「ハシボソ」はくちばしが比較的細いことを表します。
正面を向いている鳥は、くちばしの太さを判断しにくいものです。横を向いた瞬間に、くちばしの形と額のつながりを見てみましょう。
全長は約50cm。光が当たると羽に青紫色のつやが見える
| 分類 | スズメ目カラス科 |
|---|---|
| 全長 | 約50cm |
| 翼を広げた長さ | 約1m |
| 羽色 | 全身が黒く、青紫色の光沢がある |
| 日本での見られ方 | 九州以北では主に留鳥。沖縄ではまれな冬鳥 |
全長はくちばしの先から尾の先までの長さです。羽は黒一色に見えても、日が当たる角度によって青や紫の光沢が見えます。これはハシブトガラスにも見られるため、つやだけで種類を決めることはできません。
額の丸さや体の大きさだけで決めない
羽をふくらませると、ハシボソガラスも頭が丸く見えます。反対に、ハシブトガラスが額の羽を寝かせると、出っ張りが目立たないこともあります。大きさも距離によって違って見えるため、迷ったらくちばしの形へ戻って確認しましょう。
電線にとまる黒い鳥を調べている方は、電線にいる鳥12種類の見分け方で、体格や尾の形も比べられます。
ハシボソガラスとハシブトガラスの違いを比較
ハシボソガラスは「細めのくちばし・濁った声」、ハシブトガラスは「太いくちばし・澄んだ声」が基本の目安です。次の表で、顔と声を組み合わせて確認してください。

| 見るところ | ハシボソガラス | ハシブトガラス |
|---|---|---|
| くちばし | 比較的細く、上側のカーブがゆるやか | 太く、上側が大きく曲がる |
| 額 | なだらかで、出っ張りが少ない | 出っ張り、段差があるように見える |
| 代表的な声 | 濁った「ガー、ガー」 | 澄んだ「カー、カー」 |
| 全長の目安 | 約50cm | 約57cm |
| 見かけやすい環境 | 田畑や河川敷などの開けた場所 | 市街地や林など |
両方の種類が同じ場所にいることもあります。環境や大きさは補助の手がかりとして使い、横顔と声を優先しましょう。
歩き方や間違えやすい例まで比べたい方は、ハシボソガラスとハシブトガラスの違い・見分け方をご覧ください。太いくちばしのカラスだった場合は、ハシブトガラスの特徴・鳴き声・生息地で確認できます。
ハシボソガラスの生息地|田んぼ・河川敷で一年中見られる
北海道から九州にかけて、田畑、河川敷、草地、海岸などで広く見られます。九州以北では主に留鳥で、冬だけ訪れるカラスではありません。沖縄ではまれな冬鳥として記録されています。

田んぼや郊外で見つけやすいカラス
地面を歩いて、立ち止まってはついばむ姿に注目してみましょう。市街地でも見られますが、田畑や広い草地のある環境が探す目安になります。ハシブトガラスも田んぼに来るため、場所だけで見分けることはできません。
同じ田園で見かけたほかの鳥も調べたいときは、田んぼにいる鳥26種類の名前と見分け方が役立ちます。
春・夏・秋・冬で、どんな姿が見られる?
| 季節 | 注目したい姿 |
|---|---|
| 春〜夏 | 繁殖期のつがいや、巣立ち後の若い鳥 |
| 秋〜冬 | 地面での採食や、夕方にねぐらへ向かう群れ |
| 一年を通して | くちばしの形、声、鳴くときの動き |
季節や地域によって群れ方は変わります。秋から冬には、ハシブトガラスと一緒に大きな群れでねぐらをとることもあります。
冬の田んぼにいる黒い群れは、ミヤマガラスの場合も
冬の農耕地では、ハシボソガラスによく似たミヤマガラスも候補になります。成鳥のミヤマガラスは、くちばしの付け根が灰白色に見えるのが目印です。ただし若い鳥ではその部分が黒い羽で覆われるため、見分けが難しくなります。
群れの数だけで決めず、ミヤマガラスの見分け方とハシボソガラスとの違いで、顔つきと季節を合わせて比べてみてください。
ハシボソガラスの食べ物と行動|地面を歩いて餌を探す
ハシボソガラスは、昆虫、種子、木の実、小動物、動物の死骸などを食べる雑食性の鳥です。田畑や川原では、地面を歩きながら食べ物を探します。

歩いているところを見つけたら、何をついばんでいるか、立ち止まる間隔はどうかを見てみましょう。同じ黒いカラスでも、餌の探し方を観察すると行動の違いが分かります。
ただし、ハシブトガラスも地面を歩くことがあります。「歩くカラスは全部ハシボソ」という見分け方はできません。行動は、くちばしや鳴き声に加える手がかりとして使ってください。
ハシボソガラスの幼鳥・オスとメスなど、よくある疑問
ハシボソガラスの幼鳥はどう見分ける?
幼鳥は成鳥に比べて羽の光沢が弱く、褐色味を帯びることがあります。口の中が赤いのも特徴です。ただしハシブトガラスの幼鳥にも似た特徴があるため、年齢の手がかりと種類の見分け方を分け、くちばしの形も確認しましょう。
冬の農耕地では、口元が黒いミヤマガラスの幼鳥も比較候補になります。ミヤマガラスの幼鳥とハシボソガラスを見分けるポイントで、嘴基部の羽毛、くちばしの形、体格を確認してください。
ハシボソガラスのオスとメスは色が違う?
オスとメスは同じような黒い羽色です。羽の色だけで性別を判断することはできません。見た目の大きさにも距離や個体差が影響するので、野外で簡単に判別できるとは限りません。
ハシボソガラスは珍しい鳥?
九州以北では広く見られる身近なカラスです。見つけやすさは地域や環境で異なり、都心ではハシブトガラスの方が目につくこともあります。
ハシボソガラスは渡り鳥?冬だけいるの?
九州以北では主に一年中見られる留鳥です。冬に群れが目立っても、冬だけ来る鳥とは限りません。一方、沖縄ではまれな冬鳥として扱われます。
日本の黒いカラスは、ハシボソとハシブトの2種類だけ?
ほかにもミヤマガラスやコクマルガラスなどが見られます。身近な2種類以外も含めて比べたい方は、カラスの種類一覧|大きさ・鳴き声・見分け方で、小型のコクマルガラスや嘴の根元が白いミヤマガラスの特徴を確認してください。カラスより小さい黒い鳥や、黒い水鳥を見た場合は、カラス以外の黒い鳥の名前と見分け方から候補を探せます。
ハシボソガラスを見分けるなら、声と横顔を一緒に確認

ハシボソガラスの目印は、濁った「ガーガー」という声、細めのくちばし、なだらかな額です。鳴くときのお辞儀のような動きや、開けた地面で餌を探す姿も参考になります。次にカラスを見かけたら、横を向いたときのくちばしと、鳴くときの動きを確かめてみてください。


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