ムナグロとダイゼンの違いとは?冬羽・夏羽の見分け方5つ

翼を広げたムナグロとダイゼン。ムナグロの灰色の脇とダイゼンの黒い脇斑を比較

ムナグロとダイゼンの違いを見分けるうえで、特に頼りになるのは翼を広げたときの脇の色です。ダイゼンには翼の付け根に黒い部分があり、ムナグロの同じ部分は灰色がかっています。

地上にいるときは、背中の色、くちばしの太さ、体の大きさを順に見ていきましょう。ムナグロは黄褐色や金色がかった印象で比較的すっきりした体形、ダイゼンは灰色や白黒を基調に、くちばしも体つきもがっしりして見えます。

最初に覚える見分け方

飛んだら脇、止まっていたら背中とくちばし。
胸や腹が黒いことだけでは見分けられません。夏羽では、ムナグロもダイゼンも胸から腹にかけて黒くなるためです。

この記事では、成鳥の冬羽と夏羽を比べながら、観察中に確認しやすい5つの違いと、迷ったときの見直し方を紹介します。

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ムナグロとダイゼンの違いを比較表で確認

上段に夏羽、下段に冬羽を並べたムナグロとダイゼンの比較イラスト

どちらもチドリ科の鳥ですが、羽の色や体形、生息環境に違いがあります。まずは次の5項目を見比べてみてください。

見るところムナグロダイゼン
① 翼の付け根の脇灰色がかる。黒い脇斑はない黒い脇斑が目立つ
② 背中の色黄褐色・金色がかった斑が目立つ灰色や白黒が基調
③ くちばしダイゼンより細め太く、しっかりして見える
④ 大きさ・体形全長約24cm。比較的すっきり全長約29cm。比較的がっしり
⑤ よく見られる環境水田・農耕地・草地など。干潟にも飛来海岸の干潟や河口などが中心

大きさは目安です。距離や姿勢で印象が変わるため、体の大きさや場所だけで判断せず、複数の特徴を組み合わせます。

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ムナグロとダイゼンの見分け方5つ

翼を閉じて立つムナグロとダイゼン。背中の色、体形、くちばしの太さの違いを比較

① 飛翔時は「黒い脇」があるかを見る

ダイゼンが飛び立ったり翼を上げたりすると、翼の裏側の付け根に黒い部分が見えます。これは腋羽(えきう)と呼ばれる羽で、ムナグロとの識別に役立つ特徴です。

ここで見る「脇」は、地上で横から見える胴体の側面ではありません。翼と胴体がつながる、脇の下にあたる部分を確認します。ムナグロの翼の下面は灰色がかり、ダイゼンのようなはっきりした黒い脇斑はありません。

また、ダイゼンは飛ぶと腰の白さも目立ちます。脇の黒さと腰の白さを一緒に確認できれば、判断の助けになります。ただし、翼を閉じているときや翼の裏が見えない角度では、この特徴は確認できません。

② 背中は「黄褐色」か「灰色・白黒」か

ムナグロの背中には黄褐色や金色がかった斑があり、全体に暖かみのある色合いです。ダイゼンは灰色や白黒の印象が強く、夏羽では背中の白黒の模様が目立ちます。

ただし、羽の色は光の当たり方で印象が変わります。逆光や夕方の光では色だけに頼らず、くちばしや体形も確認しましょう。写真で比べるときも、明るさや色調が大きく違う2枚をそのまま比較しないことが大切です。

③ くちばしの「太さ」を比べる

ムナグロのくちばしは、ダイゼンに比べると細く見えます。ダイゼンはくちばしが太めで、頭部も大きく、顔つきに力強い印象があります。

確認しやすいのは横向きの姿です。正面や斜め向きでは長さや太さの印象が変わるため、向きが変わったときにもう一度見てみましょう。長さだけで決めず、付け根の太さを背中の色と組み合わせて判断します。

④ 大きさはムナグロ約24cm、ダイゼン約29cm

全長の目安はムナグロが約24cm、ダイゼンが約29cmです。ダイゼンのほうが大きく、体つきもがっしりしています。

2種が近い距離で並んでいれば比べやすいものの、1羽だけを見て数cmの違いを判断するのは難しいものです。遠近差があると大きさを見誤りやすいので、「小さく見えるからムナグロ」と早合点せず、くちばしや羽の色も見てください。

⑤ 水田・農耕地か、海岸の干潟か

日本での観察では、ムナグロは水田や農耕地、草地など、ダイゼンは海岸の干潟や河口などで見られる傾向があります。鳥を探す際には、この環境の違いが手がかりになります。

ただし、ムナグロも干潟に飛来します。海辺にいたという理由だけでダイゼンとは決められません。環境から候補を考え、最後は体の特徴で確かめましょう。

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ムナグロとダイゼンの冬羽の見分け方

冬羽のムナグロの黄褐色の背中と、ダイゼンの灰色の背中を横向きで比較

冬羽では、どちらも夏羽のような黒い胸や腹が目立たなくなります。「胸が黒くないからムナグロではない」とは判断できません。

地上では、まず背中の黄褐色の斑と、くちばしの太さを見ます。ムナグロは背中に金色がかった斑が残り、胸や腹は灰褐色系の落ち着いた色合いです。ダイゼンは背中が淡い灰色を基調とし、体下面も灰色から白っぽく見えます。

全体が灰色に見えて迷うときは、色の印象だけを繰り返し比べるより、横向きのくちばしや体つきなど別の部分を確認しましょう。自然に飛び立ったときには、ダイゼンの黒い脇斑が冬羽でも識別の手がかりになります。

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ムナグロとダイゼンの夏羽の見分け方

夏羽のムナグロとダイゼン。両種の黒い胸と背中の斑の違い

夏羽では、両種とも顔から胸、腹にかけて黒くなります。名前に「胸黒」とあるムナグロだけの特徴ではないため、胸の黒さ以外に目を向けるのが近道です。

ムナグロは背中の金色がかった斑が目立ち、ダイゼンは白黒のコントラストが強くなります。くちばしの太さや体形の違いも合わせて確認すると、胸だけを見るより識別しやすくなります。

補助的に見たいのが、尾の付け根の下面にある下尾筒(かびとう)です。ダイゼンはこの部分が白く、ムナグロは白地に暗色の斑が入ります。横向きだけでは見えにくいので、見える範囲の特徴から順に確認しましょう。

また、夏羽でも雌雄や換羽の進み具合によって黒色部の見え方に差があります。胸や腹に白い羽が混じっている場合も、背中・くちばし・脇の特徴を組み合わせる考え方は同じです。

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写真や観察中に迷ったときの確認順

上がムナグロ、下がダイゼン。くちばし、背中、脇の確認箇所を並べた比較図

見分けに迷ったら、一つの特徴にこだわらず、次の順に確認すると整理しやすくなります。

  1. まず、背中とくちばしを見る。黄褐色の斑と細めのくちばしか、灰色系の背中と太めのくちばしかを確かめます。
  2. 次に、体形と周囲の環境を確認する。体がすっきりしているか、がっしりしているか。水田や干潟という環境も補助にします。
  3. 翼が開いたら、付け根の脇を見る。黒い脇斑がはっきり見えれば、2種の比較ではダイゼンを判断する強い手がかりになります。

写真では、影になった翼の裏を黒い脇斑と取り違えないようにしましょう。翼の付け根に限られた黒い部分なのか、別の写真や違う角度でも確認できるかを見ると判断しやすくなります。

脇が写っていない写真では、「黒い部分が見えない」と「黒い部分がない」は別です。確認できる特徴が少ないときは、無理にどちらかに決めず、次に横向きの姿や翼の裏が見える機会を待ちましょう。

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ムナグロとダイゼンの違いでよくある疑問

くちばしを少し開いたムナグロとダイゼンの顔と胸の色鉛筆画

ムナグロとダイゼンは鳴き声でも見分けられる?

鳴き声も補助になります。ムナグロは「キュピッ」「キュピッ」といった声、ダイゼンは「ピーウィー」と尻上がりに聞こえる声が知られています。聞こえ方には幅があるため、声だけで決めず、姿と合わせて確認しましょう。

見られる時期に違いはある?

日本では、どちらも春と秋の渡りの時期が観察の機会になります。冬も見られる地域があり、ダイゼンは関東以南で越冬するものがいます。ムナグロも沖縄諸島や小笠原などで越冬します。「冬にいるからダイゼン」とは限りません。

干潟にいるムナグロとダイゼンはどう見分ける?

同じ干潟にいる場合は場所の違いが使えないため、背中の色、くちばしの太さ、翼の付け根の脇に注目します。ムナグロの黄褐色の斑と、ダイゼンの黒い脇斑が確認の手がかりです。

胸が黒い鳥は、すべてムナグロ?

いいえ。ダイゼンも夏羽では胸や腹が黒くなります。胸の色だけで見分けようとせず、背中の金色がかった斑や、くちばし、翼を開いたときの脇まで確認してください。

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田んぼで採食するムナグロと干潟に立つダイゼンを描いた生息環境のイラスト

田んぼや干潟では、ほかにもさまざまな鳥に出会えます。見つけた環境や、次に知りたいことに合わせてご覧ください。

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参考資料

ムナグロとダイゼンの顔を描いた観察ノートと双眼鏡の色鉛筆画
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