ハシボソガラスは「細いくちばし・ガーガーと濁る声」、ハシブトガラスは「太いくちばし・カーカーと澄んだ声」が見分ける目安です。姿が見えるときは横顔を、鳴いているときは声と動きを一緒に確かめると、判断しやすくなります。
どちらも黒いカラスですが、大きさやおでこだけで決めると迷うこともあります。この記事では、イラストで違いを比べながら、鳴き声・くちばし・歩き方などの見分け方と、間違えやすい例を紹介します。

ハシボソガラスとハシブトガラスの違いを比較
見分けるときに優先したいのは、くちばしの太さと、普段の鳴き声です。おでこ・大きさ・歩き方・いた場所は、それを補う手がかりとして使いましょう。
| 比べるところ | ハシボソガラス | ハシブトガラス |
|---|---|---|
| くちばし | 比較的細く、すっきり見える | 太く厚みがあり、上側の丸みが目立つ |
| おでこ | くちばしから頭へなだらかにつながる | 盛り上がり、段差があるように見える |
| 普段の鳴き声 | 「ガー、ガー」と濁る | 「カー、カー」と比較的澄む |
| 鳴くときの動き | 頭や尾を下げ、お辞儀をするように動く | 頭を前に出し、のどを膨らませる |
| 全長の目安 | 約50cm | 約57cm |
| 地上での移動 | 足を交互に出して歩く姿が多い | 両足で跳ねる姿もよく見られる |
| よく利用する環境 | 農耕地・河川敷など開けた場所 | 森林・公園の林・市街地など |
表は典型的な特徴をまとめたものです。角度や姿勢、鳴いている状況で見え方・聞こえ方は変わります。一つだけ当てはまっても、すぐに決めつけないのがコツです。
くちばしとおでこは、横顔で見比べる
くちばしが細いのがハシボソ、太いのがハシブト

名前の「ハシ」は、くちばしのこと。ハシボソガラスはくちばしが比較的細く、顔全体がすっきりした印象です。ハシブトガラスはくちばしが太く、上側が大きく丸みを帯びて見えます。
正面からでは太さをつかみにくいので、鳥が横を向いたときに、くちばしの付け根の厚みを見てください。写真で調べる場合も、横顔が写ったものから確認すると違いを見つけやすくなります。
おでこの出っ張りだけでは決めない

ハシボソガラスは、くちばしからおでこへ滑らかにつながって見えます。ハシブトガラスは、おでこが盛り上がり、くちばしとの間に段差があるように見えるのが典型です。
ただし、おでこが平らに見えるハシブトガラスもいます。下の写真はその一例です。「出っ張っていないからハシボソ」と判断せず、くちばしの太さも併せて確かめましょう。

鳴き声の違い|ハシボソは「ガーガー」、ハシブトは「カーカー」
ハシボソガラスの普段の声は「ガー、ガー」と濁って聞こえます。ハシブトガラスは「カー、カー」と、比較的澄んでよく響く声です。大きな声か小さな声かより、声に濁りがあるかに耳を傾けてみてください。
鳴くときにお辞儀をするのは?
ハシボソガラスは、鳴くときに頭や尾を下げ、お辞儀をするように体を動かすのが目安です。一方のハシブトガラスは、頭を前へ突き出し、のどを膨らませるように鳴きます。
遠くてくちばしが見えにくい場面でも、鳴いている個体が分かれば、声と動きの組み合わせが助けになります。「濁った声+お辞儀のような動き」がそろうかを確認しましょう。
声だけで分からないときは、鳴いている鳥を確認
カラスはいつも同じ声で鳴くわけではありません。警戒しているときや他の鳥と争っているときは、普段と違う声になることがあります。一声だけで決めず、落ち着いて鳴いているときの声と横顔を照らし合わせましょう。
また、カラス科のオナガなども濁った声を出します。長い尾や青灰色の翼が見えた場合は、オナガの鳴き声・特徴と似た鳥との違いも確認してみてください。実際のカラスの声を聞きたい方は、記事末尾の日本野鳥の会の各種ページで音声を確かめられます。
大きさの違い|ハシボソ約50cm、ハシブト約57cm

ハシブトガラスの方が大きく、全長の目安には約7cmの差があります。ただし、これは一羽ずつを正確に見分けるための境界値ではありません。
近くにいる鳥は大きく、遠くにいる鳥は小さく見えます。単独のカラスを見て「大きいからハシブト」と決めるのは難しいため、大きさは補助的な情報と考え、くちばしや声を優先しましょう。
歩き方・生息地にも違いはある?
ハシボソは歩く姿、ハシブトは跳ねる姿が目立つ
地面で餌を探すハシボソガラスは、左右の足を交互に出して歩く姿がよく見られます。ハシブトガラスでは、両足をそろえて跳ねるように移動する姿も目立ちます。
ただし、歩き方は行動の一場面です。短い動画の一動作や一枚の写真だけで種類を決めず、顔の形や鳴き声を確かめるきっかけとして使ってください。
「都会ならハシブト、田舎ならハシボソ」とは限らない
ハシボソガラスは農耕地や河川敷などの開けた環境を好みます。ハシブトガラスは森林や公園の林に加え、市街地でもよく見られます。
とはいえ、同じ地域で両種が見られることもあります。河川敷にいるからハシボソ、街にいるからハシブトと決めることはできません。場所は候補を考える手がかりにとどめ、鳥そのものの特徴を確認しましょう。
見分け方に迷ったら、この順番で確認
- 横顔を見る。くちばしが細いか、厚みがあるかを確認する。
- 普段の声を聞く。「ガーガー」と濁るか、「カーカー」と澄むかを確かめる。
- 鳴くときの動きを見る。お辞儀のような動きや、のどの膨らみを参考にする。
- 他の特徴を重ねる。おでこ・大きさ・歩き方・環境に矛盾がないか確認する。
逆光で顔が真っ黒につぶれている、正面しか見えない、鳴いていないといった場面では、無理に種類を決めなくても大丈夫です。横を向いた瞬間や、次に鳴いたときに確かめると判断材料が増えます。
ハシボソガラスとハシブトガラスのよくある疑問
一番簡単な見分け方は?
近くで姿を見られるなら、横から見たくちばしの太さです。細めならハシボソ、太く厚みがあればハシブトが候補になります。声も聞こえれば、濁りの有無を合わせて確認すると判断しやすくなります。
おでこが平らなカラスは、必ずハシボソガラス?
必ずそうとは限りません。ハシブトガラスでも、角度や姿勢によっておでこが平らに見えることがあります。額だけではなく、くちばしの形や声も見比べてください。
飛んでいる姿だけでも見分けられる?
遠くを飛ぶ黒いシルエットだけでは、初心者には判断が難しい場面があります。この2種を覚える段階では、止まったときの横顔や鳴き声を確かめる方が分かりやすいでしょう。
日本で見られる黒いカラスは、この2種類だけ?
ほかにもミヤマガラスやコクマルガラスなどが見られます。冬の農耕地などで、くちばしの根元が白っぽい個体や小柄なカラスを見つけたら、ミヤマガラスとコクマルガラスの違いと見分け方も参考になります。
カラスかどうか分からない黒い鳥は、体形や水辺にいたかどうかも手がかりです。カラス以外の黒い鳥と見分け方で候補を比べてみましょう。
身近な鳥を、もう一種類見分けてみよう
カラスの違いが分かると、いつもの散歩でも一羽ずつ顔や動きを見たくなります。次に出会った鳥の名前が気になったら、以下のガイドも役立ちます。