ヤブサメが見られる生息地と探す際のポイント
ヤブサメは主に夏鳥として山地の林などに飛来します。「ヤブ」と名の付く通り、藪の中を好み開けた場所に出てくることはあまりなく、キクイタダキやミソサザイなどに次いで小さな野鳥なので、その小さな体を活かしてかなり密集した藪の中でも素早く動き回ります。そのため、姿をはっきりと見ることは非常に難しい野鳥です。
鳴き声が非常に特徴的で、「シシシシシシシ・・・・」と初めて聞く人には虫の鳴き声に聞こえるように鳴きます。似た声で鳴く野鳥は日本にはいないので、まずは鳴き声を覚えておくといいでしょう。
ヤブサメをじっくりと観察したい場合は、周囲に藪の多い渓流沿いなどが水場にヤブサメがやって来ることがあるためおすすめです。
また、同じく藪の中でよく見られるウグイスと見た目が似ているので、識別には注意しましょう。
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高尾山【東京都】
東京都西部にある高尾山には主に夏鳥としてヤブサメが生息しています。
高尾山でヤブサメを探す際は各所にある沢沿いの登山道を中心に探すといいでしょう。おすすめはリフトで途中まで登って、2号路→4号路→5号路→3号路→2号路→リフトと戻るコースです。足場はかなり悪いですが、通行量の多い1号路に比べて比較的人が少なく、 特に平日などはゆっくりとヤブサメを探すとことができます。
また、リフトに乗っている際は足元からヤブサメのさえずりが聞こえてくることもあります。
体力に自信のある方は、沢沿いを歩くことができる6号路で探すのもおすすめです。
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八王子城跡【東京都】
東京都八王子市にある八王子城跡には主に夏鳥としてヤブサメが生息しています。
八王子城跡では入り口から沢沿いを歩いて行くことができます。この道は城山林道として御主殿跡を過ぎた先も続いているので、自分の体力に合わせて進んでいくといいでしょう。ヤブサメは入り口から御主殿跡までの間でも、よくさえずっているので、林道の奥まで行かなくても観察できる可能性は十分にあります。
沢沿いはヤブサメの好む藪が非常に多くなっています。沢沿いの少し開けた場所で声を頼りに探していくといいでしょう。
ヤブサメが見られる時期の林道は非常に虫が多く、少し立ち止まると顔の周りを虫がブンブン飛び回ります。足元には、毛虫も多いので虫が苦手な人は注意した方がいいでしょう。
八王子城跡に一番近い駐車場は利用時間が限られているので、早朝などの駐車場開場時間外に車で行く場合は、少し手前にある臨時駐車場を利用しましょう。
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ひので野鳥の森自然公園【東京都】
東京都日の出町にあるひので野鳥の森自然公園には主に夏鳥としてヤブサメが生息しています。園内に複数の遊歩道が通っていますが、ヤブサメを探す際はトイレのある管理棟から谷ノ入川沿いを歩くコースがおすすめです。
谷ノ入川沿いのコースはアップダウンもほとんどなく、道幅も広いのでヤブサメを始めとした野鳥を探しやすいポイントです。ヤブサメは沢沿いの藪の中で鳴いていることが多いので、沢沿いの藪を上から見渡せるポイントを中心に探すといいでしょう。管理棟から30番の道標までの間を往復するのがおすすめです。
遊歩道は舗装されておらず雨上がりなどはかなりぬかるむので、なるべく晴れた日に行くといいでしょう。
梅ヶ瀬渓谷【千葉県】
千葉県市原市にある梅ヶ瀬渓谷では主に渓谷沿いの藪にヤブサメが夏鳥として生息しています。
渓谷のすぐ脇を歩けるため、渓谷の斜面の藪にいるヤブサメを目線の高さで観察できる可能性があります。ヤブサメが水浴びにやって来るような場所も数多くあるので、ヤブサメの声が聞こえる場所で流れのない水深の浅い水たまりを見つけたら少し待ってみるのもいいでしょう。ヤブサメの他にもキビタキやオオルリ、サンコウチョウなど多くの夏鳥が生息しているため、それらの野鳥が水浴びに来ることもあるでしょう。
渓谷沿いの歩道は舗装されておらず、雨上がりの次の日など水量の多い日は水辺を歩くことになる場合もあるので注意しましょう。また、梅ヶ瀬渓谷にはヤマヒルが多く生息しているので、必ず対策してから行きましょう。
妙義湖【群馬県】
群馬県安中市にある妙義湖には湖周囲の林にヤブサメが夏鳥として生息しています。
ダム湖の西側に道路が通っているので、そこを歩きながら藪にいるヤブサメを探すといいでしょう。道路と湖の間の藪は、藪を見下ろす形になるので、比較的ヤブサメを見つけやすくなります。
妙義湖の上流方面には中木川沿いを進んでいけるので、妙義湖から閉館した国民宿舎裏妙義の駐車場までを往復してみるのもいいでしょう。
妙義湖にはヤマセミが留鳥として生息しているので、ヤブサメを探しつつ水際もチェックするといいでしょう。
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吐竜の滝【山梨県】
山梨県北杜市にある吐竜の滝では、滝周辺の林にヤブサメが夏鳥として生息しています。
駐車場から吐竜の滝までの川俣渓谷遊歩道はヤブサメが好むクマザサが生い茂っている場所が多いので、それらの場所を中心に探すといいでしょう。渓流沿いは水の音が大きくヤブサメのさえずりが聞こえにくいので注意が必要です。
吐竜の滝よりも先はさらにクマザサが生い茂る場所になりますが、足場がかなり悪くなるので注意が必要です。
吐竜の滝は観光地としても人気なため、滝周辺や遊歩道に人が多い場合は駐車場周辺でヤブサメを探すのもいいでしょう。駐車場周辺も藪が多く、ヤブサメが好むポイントいくつもあります。駐車場から林道を登っていくのもおすすめですが、車の通行が多いのでヤブサメを探す際は車に十分注意しましょう。
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富士山吉田口登山道【山梨県】
富士山の山梨県側にある吉田口登山道にはヤブサメが夏鳥として生息しています。
ヤブサメを探す際は登山道の途中にある中ノ茶屋を中心に、茶屋周囲の藪を探すといいでしょう。中ノ茶屋からしばらくは登山道の両脇にヤブサメが好む藪が続きます。
中ノ茶屋の近くを流れる小川もヤブサメが出てくる可能性が高くおすすめのポイントです。
体力に自信のある方は、野鳥の多い中ノ茶屋~馬返し間を往復してみるのもおすすめです。
富士山須山口登山歩道【静岡県】
富士山の静岡県側にある須山口登山歩道にはヤブサメが夏鳥として生息しています。
ヤブサメを探す際は、登山道の途中にある弁当場の水場周辺がおすすめです。水場の周りはヤブサメが好む藪が広がっています。斜面になっているところは、目線の高さに藪が来て探しやすいので斜面沿いの藪を中心に探すといいでしょう。
また、水場にヤブサメがやって来る可能性もあります。水場にはキビタキやクロツグミなど多くの夏鳥がやってくる可能性があるのでしばらく待ってみるのもおすすめです。
中瀬沼探勝路【福島県】
福島県裏磐梯の中瀬沼にある中瀬沼探勝路にはヤブサメが夏鳥として生息しています。
中瀬沼探勝路は一部木道も整備されており、非常に歩きやすいコースになっています。
ヤブサメは歩道脇の藪の中でさえずっていることが多いので、探勝路を周回しながら探すといいでしょう。中瀬沼周辺や姫沼周辺でよく見られます。
中瀬沼探勝路はオオルリやキビタキ、ノジコなどの多くの夏鳥が観察できる探鳥地としても有名なので併せて探してみるといいでしょう。