
日本で「カラス」と呼ばれる鳥は、街で見かける黒い1種類だけではありません。身近なハシブトガラスとハシボソガラスのほか、冬に群れで渡ってくる種類や、青・白・褐色をまとうカラス科の仲間もいます。
この記事では、日本で継続的に見られる代表的なカラス科10種を取り上げます。まず黒いカラス類5種を整理し、続いて黒一色ではない仲間5種を紹介します。大きさ、くちばし、額、鳴き声、いる環境を順に見ると、初心者でも候補を絞りやすくなります。
日本で見られるカラスの種類は大きく2グループ

日常会話でいうカラスは、主にカラス属の黒い鳥を指します。一方、鳥の分類でいうカラス科には、カケス、オナガ、カササギ、ホシガラスなども含まれます。姿は違っても、丈夫なくちばしをもち、食べ物を足で扱ったり蓄えたりする種類が多い点は共通しています。
この記事で紹介する黒いカラス類は、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ミヤマガラス、コクマルガラス、ワタリガラスの5種です。黒一色ではないカラス科は、カケス、ルリカケス、オナガ、カササギ、ホシガラスの5種です。さらにまれな記録としてニシコクマルガラスなどもありますが、まずはこの10種を覚えると、日本の野外で出会うカラス科を整理しやすくなります。
家の周りで見られる鳥を広く比べたいときは、庭に来る野鳥18種類もあわせて確認すると、ムクドリやヒヨドリとの区別に役立ちます。
身近な2種|ハシブトガラスとハシボソガラス

ハシブトガラス|太いくちばしと盛り上がる額
ハシブトガラスは全長約56cm。上くちばしが太く湾曲し、横から見ると額が高く盛り上がります。森林性の性質をもちますが、市街地、海岸、農耕地などにも適応しています。声は「カァー」と比較的澄んで聞こえることが多く、地上では両足をそろえて跳ねる姿も目立ちます。詳しい生態や季節はハシブトガラスの完全ガイドで解説しています。
ハシボソガラス|細いくちばしとなだらかな額
ハシボソガラスは全長約50cm。ハシブトガラスよりくちばしが細く、上面の湾曲が弱いため、額からくちばしへなだらかにつながって見えます。農耕地や河川敷など開けた環境で見かけやすく、地面を歩きながら食べ物を探します。声は「ガァー」と濁って聞こえ、鳴くときに頭を上下させることがあります。さらに詳しい識別点はハシボソガラスの完全ガイドをご覧ください。
ただし、声や環境だけで断定はできません。個体差があり、両種が同じ場所にいることもあります。最初に横顔のくちばしと額を見て、次に大きさ、声、地上での動きを組み合わせるのが確実です。
冬や北日本で見られる黒いカラス3種

ミヤマガラス|灰白色のくちばし基部
ミヤマガラスは全長約47cmで、主に冬鳥として渡来します。成鳥は細く尖ったくちばしの基部が灰白色に見え、頭頂が平らです。農耕地や河原で大きな群れをつくることがあります。若鳥はくちばしの基部が黒い羽毛に覆われるため、ハシボソガラスとの区別が難しくなります。群れの季節や見分け方はミヤマガラス完全ガイドで確認できます。
コクマルガラス|ハトほどの小さなカラス
コクマルガラスは全長約33cmで、黒いカラス類の中では明らかに小型です。全身が黒い暗色型と、後頭部から腹にかけて白灰色の淡色型、その中間の羽色があります。冬にミヤマガラスの群れへ混じることが多く、短いくちばしと「キョン、キョン」という高めの声が手がかりです。羽色の違いはコクマルガラス完全ガイドで詳しく紹介しています。
ワタリガラス|太いくちばしをもつ最大級の種類
ワタリガラスは全長約61cmで、ここで紹介する黒いカラス類では最大です。くちばしは太く長く、喉の羽が長く見えます。日本では冬に北海道へ少数が渡来し、海岸や岩礁地、山地の森林などで見られます。「カポ、カポ」など、身近な2種とは印象の異なる声も出します。
冬の農耕地で群れを探す基本は、冬のバードウォッチング完全ガイドにもまとめています。
黒くないカラス科の仲間5種

カケス|褐色の体と翼の青い縞
カケスは全長約33cm。褐色を基調に、翼の青・黒・白の細かな縞が目立ちます。森林で一年を通して暮らし、秋から冬には低地でも見つけやすくなります。「ジャーッ」という声に加え、ほかの鳥や機械のような音をまねることもあります。季節ごとの探し方はカケスの生息地・鳴き声ガイドが参考になります。
ルリカケス|群青色と赤褐色の日本固有種
ルリカケスは全長約38cm。頭、胸、翼、尾の群青色と、背や腹の赤褐色が鮮やかです。鹿児島県の限られた島々に生息する日本固有種で、国の天然記念物にも指定されています。「シャー」「ガー」といった力強い声を出します。
オナガ|青灰色の長い尾
オナガは全長約36cm。黒い頭、淡い灰白色の体、青灰色の翼、長い尾をもち、群れで行動します。本州中部から北部で見られ、人家に近い林や公園にも現れます。姿は優雅ですが「ゲェーイ」というしわがれた声も特徴です。写真で詳しく比べるならオナガ完全ガイドや日本で見られる青い鳥たちも役立ちます。
カササギ|白黒の体と長い尾
カササギは全長約45cm。頭から胸、背は黒く、肩と腹は白色で、長い尾をもちます。佐賀県を中心とする地域のほか、北海道などでも記録があります。樹上や電柱に球形の大きな巣をつくり、「カシャ、カシャ」と鳴きます。
ホシガラス|黒褐色の体に白い斑点
ホシガラスは全長約35cm。黒褐色の全身に白い斑点が散り、くちばしは細長く見えます。四国以北の亜高山帯から高山帯の針葉樹林で暮らし、冬はやや低い場所へ移動します。針葉樹の種子を運んで蓄える習性も特徴です。外見とハイマツとの関係はホシガラス完全ガイドで詳しく解説しています。
鳴き声・歩き方・環境で見分けるコツとよくある疑問

黒いカラスを最短で見分ける順番は?
- まず大きさを見る。ハトほどならコクマルガラス、非常に大きければワタリガラスが候補です。
- 横顔のくちばしと額を見る。太く湾曲して額が出るならハシブトガラス、細くなだらかならハシボソガラスです。
- くちばしの基部を見る。成鳥で灰白色ならミヤマガラスの可能性が高まります。
- 最後に声、地上での動き、季節、群れ方、環境を組み合わせます。
カラスは何種類いますか?
数え方は「カラス属だけ」か「カラス科全体」か、迷鳥や外来種を含めるかで変わります。日本で身近に見られる黒いカラス類としては、この記事の5種を押さえると実用的です。カラス科全体では、色や形の異なる仲間も含めて考えます。
カラスはすべて黒いのですか?
すべてが黒いわけではありません。オナガは青灰色、カケスは褐色、ルリカケスは群青色と赤褐色、カササギは白黒、ホシガラスは白斑のある黒褐色です。コクマルガラスにも白灰色が目立つ淡色型がいます。
鳴き声だけで種類を断定できますか?
鳴き声だけでの断定はおすすめできません。同じ種類でも声に幅があり、状況によって違う声を出します。できれば姿を双眼鏡で確認し、声、くちばし、額、体の大きさ、季節を一緒に記録しましょう。観察の始め方はバードウォッチング初心者におすすめの野鳥たちも参考になります。
カラスは身近だからこそ、比較する機会の多い野鳥です。まずはハシブトガラスとハシボソガラスの横顔を見比べ、冬には群れの中の小さなコクマルガラスや嘴の白いミヤマガラスを探してみてください。黒い鳥だけでなく、カケスやオナガまでカラス科だと分かると、身近な景色の見え方が少し変わります。
参考資料



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