東京で野生のフクロウは見られるの?

大都会・東京にも、実は野生のフクロウが生息しています。近年はフクロウカフェなど人工的な場でもフクロウに触れ合えますが、東京都内の森林や公園でも野生のフクロウに出会うことが可能です。東京で観察できる代表的なフクロウ類は、50cmほどの大型種であるフクロウ、夏に飛来して繁殖するアオバズク、主に冬に現れるコミミズク、トラフズクの4種類です。それぞれ特徴や見られる季節が異なり、生息場所も限られています。本記事では初心者バードウォッチャー向けに東京でこれら野生フクロウに出会う方法を解説します。各フクロウの特徴や見分け方、季節ごとの行動パターン、東京都内の観察ポイント、初心者向けの観察のコツやマナーまで網羅しています。フクロウ観察のベストな時期や時間帯、必要な装備やマナーも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
フクロウ観察のベストシーズン・時間帯

フクロウ類は基本的に夜行性で、夕方から明け方にかけて活発に動きます。そのため観察する時間帯は日没前後から夜間、または早朝が最も適しています。夕暮れ時には狩りのために姿を現したり鳴き声が聞こえたりすることが多く、薄明薄暮も狙い目です。種類によっては昼間でも動くことがありますが、日中は多くのフクロウが木陰でじっと休んでいるため、発見は容易ではありません。
季節ごとの観察しやすさもポイントです。春先(3~5月)は留鳥であるフクロウの繁殖期で、ひなが孵る時期です。巣穴のある神社の林や巣箱を設置した公園では、親鳥や巣立ち前の雛が姿を見せることがあり、フクロウ観察は春がおすすめです。夏(6~8月)は夏鳥のアオバズクが東京都内に飛来・繁殖する季節で、雛への給餌が活発になる夜に観察の好機があります。逆に冬(12~2月)は冬鳥のコミミズクや、漂鳥のトラフズクの観察に適したシーズンです。コミミズクは冬の夕方、開けた草地で狩りをするため、比較的姿を見つけやすい野生のフクロウです。トラフズクも冬には複数羽で集まって樹上で休む習性があり、昼間にその塒(ねぐら)を観察できることがあります。
まとめると、春の夕方~夜間はフクロウが繁殖期で活動的、夏の夜はアオバズクのドラマが展開し、冬の夕暮れはコミミズクの狩りやトラフズクの塒で見られるチャンスが高まります。いずれの季節・時間帯でも、防寒・防暑対策をしつつ静かに待つ根気が大切です。特に夜間はフクロウの鳴き声(「ホーホー」という深い声や「グェッ」という鳴き声など)を耳を澄まして聞き取り、それを手掛かりに探すと発見率が上がるでしょう。
フクロウ観察のマナーと装備

野生のフクロウに出会うためにはマナー遵守と十分な準備が欠かせません。デリケートなフクロウたちを驚かせず、安全に観察するために、以下のポイントを守りましょう。
- 静かに観察する: フクロウは音や人影に敏感です。観察中は大声で話さず、足音も立てないようゆっくり行動してください。特に住宅地近くの公園などでは、近隣の迷惑にならないよう細心の注意を払いましょう。
- 距離を保つ: 双眼鏡や望遠カメラを利用し、フクロウとの適切な距離を保って観察します。近づきすぎるとストレスを与え、フクロウが場所を変えてしまう恐れがあります。巣穴や休息中の個体を発見しても、むやみに接近せず遠くから見守りましょう。
- 照明に配慮する: 夜間に懐中電灯を使う場合は、赤色フィルターを装着するなど弱い光で足元を照らす程度にとどめ、フクロウに直接光を当てないようにします。フラッシュ撮影は厳禁で、カメラのストロボ機能は必ずオフにしてください。強い光はフクロウの目を傷めたり行動に支障を与えます。
- 撮影マナー: カメラマンが多数集まっている場合は順番や周囲の人の視界に配慮して行動します。他の観察者と譲り合い、三脚の使用は場所により制限しましょう(狭い道路上では三脚は立てず手持ち撮影する等)。周囲に溶け込む地味な服装も望ましいです。
- フクロウのための配慮:フクロウをおびき出すために録音した鳴き声をスピーカーで流す行為はマナー違反です。フクロウ自身の生活リズムを乱す恐れがあるため、人為的な誘引は絶対に避けてください。
以上のマナーを守ることで、フクロウにも人にも優しい観察が可能になります。また、装備としては8~10倍程度の双眼鏡が必須です。夜間や夕方の薄暗い環境では明るいレンズの双眼鏡やヘッドライト(赤色光推奨)が役立ちますが、照射は最小限に控えてください。防寒具・雨具や、夏場なら虫除けも用意しましょう。メモ帳や野鳥図鑑があると観察記録を付けたり種類を確認したりできて便利です。カメラは高感度に強い機種や望遠レンズがあると写真撮影できますが、まずは双眼鏡で観察に集中することをおすすめします。フクロウとの出会いは貴重です。マナーと準備を整えて、安全にその感動を味わいましょう。
フクロウ – 東京で一年中見られる森のフクロウ

フクロウ(梟)は、日本に生息するフクロウ科の代表的な種で、一般に「フクロウ」と言えば本種(英名: Ural Owl)を指します。全長50cm前後のずんぐりした体型で、丸い頭に耳羽(羽角)がなく黒く大きな瞳が特徴です。体の羽毛は灰褐色のまだら模様で森林の木肌に溶け込みます。昼間は森の中でじっと目を閉じていることが多いですが、そのモフモフした姿は愛らしく、夜になるとネズミや小動物を狩るハンターに一変します
季節と東京での生息状況
フクロウ(梟)は留鳥として一年中ほぼ同じ縄張りに棲む習性があり、東京でも西部の森林を中心に通年生息しています。とはいえ夜行性ゆえに人目につきにくく、鬱蒼とした森の奥で静かにしていることが多いため、一年を通して出会える機会は多くありません。春(特に3~5月)は繁殖シーズンで、雛にエサを運ぶ親が活動的になるため観察チャンスが高まります。東京都内でも春先には、大木のある神社や森でフクロウ親子が目撃されることがあります。例えば関東近郊では栃木県の野木神社がフクロウ繁殖で有名ですが、東京でも西多摩地域の神社や公園で繁殖例が報告されています。夏以降は雛が巣立ち、親子が静かになるため発見は難しくなりますが、縄張り内には留まるので森の奥で暮らしています。秋・冬は落葉で見通しが良くなる反面、フクロウ自体の警戒心が強くなる時期です。
観察できる場所(東京)
東京でフクロウに出会うなら、西多摩地域の森林が最適です。奥多摩町や檜原村、秋川渓谷(あきる野市)などの広大な山林にはフクロウが生息しており、夜に山道で鳴き声を耳にすることもあります。ただしこれらの場所で実際に姿を見るのは容易ではありません。より初心者に現実的なのは、市街地近くの大きな森やフクロウの巣箱を設置している公園です。例えば、都心に比較的近い井の頭公園(武蔵野市)では、2025年に野生のフクロウが園内の林で観察され話題になりました。井の頭自然文化園(動物園)の敷地内に飛来した個体で、昼間に枝で休む姿が確認されており、「都会の公園にフクロウがいる!」と多くの人を驚かせました。ただしこのようなケースは稀で、継続的に見られる保証はありません。基本は自然度の高い森に足を運ぶのが近道です。都内では他に、昭和記念公園(立川市)や野山北・六道山公園(武蔵村山市)など緑地の広い公園で目撃例があります。また、里山的な環境が残るあきる野市の山里でも、比較的低い場所でフクロウが観察されています。運が良ければ、幹のうろから顔を出すフクロウ親子や、枝にとまって休む姿に出会えるでしょう。
初心者向け観察のコツ・マナー
- 春の夜は鳴き声を手がかりに: 繁殖期の春、特に日没後~深夜にかけてオスが「ホーホー…ゴロスケホッホー」と縄張り宣言の声を発します。この声を聞いたらライトを消し、静かに耳を澄ませましょう。声の方向に巣穴や留まり木がある可能性があります。声を頼りにそっと接近し、双眼鏡で探してみてください。
- 巣穴を見つけても距離を保つ: フクロウは巣穴で子育てをします。大木のウロなどで親子を発見しても近寄りすぎないようにしましょう。遠くから双眼鏡で観察し、親が警戒していないか注意します。親が立ち去った隙に雛だけになった巣を覗き込むのも厳禁です。子育て中は親鳥が神経質になっています。
- 日中の休息場所を探す: 昼間に林内を歩く際、フクロウのフン(白っぽい汚れ)が地面や幹に付着している箇所や、吐き出したペリット(骨や毛の塊)が落ちている場所は要チェックです。頭上の枝にフクロウが休んでいるかもしれません。
アオバズク – 夏に東京へ渡ってくる小さなフクロウ

アオバズクは夏鳥として毎年渡ってくる小型のフクロウです。全長は約30cmでハト程度の大きさ。丸い頭に耳羽はなく、黄色い大きな瞳がクリッと目立つ愛らしい表情をしています。体色は褐色と白の縦斑模様で、木の幹に溶け込む保護色です。「アオバ(青葉)」の名が示す通り、新緑の季節にやって来ることからこの和名が付きました。英名ではBrown Hawk-Owlといい、鋭い目つきと細身の体つきをタカに例えられることもあります。夜になると「ホッホウ、ホッホウ」という独特のリズミカルな声で鳴き、夏の夜の風物詩となっています。
季節と東京での生息状況
アオバズクは夏鳥で、例年5月下旬頃に東南アジア方面から飛来します。ゴールデンウィーク明けの青葉が茂る頃、関東各地の神社や森林公園で姿が確認され始めます。東京でも5月末~6月にかけて、神社の森などでペアが営巣場所を探す姿が目撃されます。適した巣穴のある大木があれば、市街地の中の神社の境内でも繁殖するため、場所によってはとても身近なフクロウです。事実、かつては東京23区内でも毎年のようにアオバズクが繁殖していた記録があり、一時期都心での繁殖は減少しましたが、近年では23区内で久しぶりにアオバズクのヒナの巣立ちが確認されたケースもあります。主な繁殖地は多摩地域で、特に緑が多い八王子市や青梅市、町田市などで毎年観察例があります。8月中~下旬になると巣立った雛たちが親とともに南方へ旅立ち、東京で見られるのはせいぜい9月上旬までです。
観察できる場所(東京)
アオバズクは神社や寺院の林を好む傾向があります。東京では、武蔵野以西の神社に毎夏飛来するペアが知られています。八王子市や青梅市や奥多摩町の神社、府中市の神社など、社寺林の残る場所で繁殖するケースがあります。また、都心部でも公園内のご神木や学校林などで営巣した例が報告されています。
日中でも、アオバズクは巣穴付近の枝にとまっていることがあります。神社の境内を探す際は、まず大ケヤキやクスノキなど太い樹を見上げてみましょう。樹の下に白い糞が散らばっていたり、毛玉状のペリットが落ちていたりすれば、その上の枝に休むアオバズクを発見できるかもしれません。また夕方には狩りの準備で少し動きが出てくるため、日没前後に再度訪れてみると良いでしょう。
初心者向け観察のコツ・マナー
- まずは参拝から: アオバズク観察の多くは神社で行われます。私有地である神社ではマナーとして鳥見の前後にお参りをし、礼節を持って訪問しましょう。境内では走り回ったり大声を出したりせず、神聖な場所をお借りしている気持ちで静かに観察します。
- 昼間のうちに観察: 繁殖期のアオバズクは昼間でも巣の近くの枝で見られることがあります。明るい時間帯に木々を丹念に探して観察するといいでしょう。神社での夜の観察は厳禁です。
- 周囲への配慮: アオバズクは人里近くで繁殖するため、観察中のマナーが悪いと近隣から苦情が出たり、最悪の場合フクロウ自体が姿を見せなくなってしまうこともあります。真夏の夜は特に住宅街では物音が響きます。夜の観察は避け、複数人で行く場合もお喋りは控え、必要な時は小声で。
コミミズク – 冬の草原を飛ぶ短耳のフクロウ

コミミズク(耳の短いフクロウ)は、冬になると北方から渡ってくる冬鳥のフクロウです。全長38cmほどでフクロウ科では中型、大きな丸顔に小さな羽角(耳に見える羽束)がちょこんとあります。羽角は興奮時に立ち上がりますが、リラックス時はほとんど見えないので無帽のようにも見えます。目は鮮やかな黄色で、黒いアイリング(目の縁取り)が表情を引き締めています。体の羽毛は砂地に枯草の斑模様で、地上や草むらに伏せるとまるで枯れ葉の塊のように周囲に溶け込みます。英名をShort-eared Owl(短い耳のフクロウ)といい、その名の通り小さい羽角がチャームポイントです。コミミズクは他のフクロウに比べ日中や薄明時にも活動するため、観察しやすい種類として知られています。
季節と東京での生息状況
コミミズクは冬季限定の訪問者です。関東では毎年11月末~12月頃に初認があり、3月頃まで各地のヨシ原(葦原)や草原で過ごします。東京都内ではかつて江戸川や荒川の河川敷などに冬になると飛来し、比較的頻繁に目にすることもできました。しかし近年は都市化で草地が減ったこともあり、23区内からはその姿をほとんど消してしまいました。それでも運が良ければ東京にも飛来します。例えば2025年1月、葛西海浜公園(江戸川区)でコミミズクが確認され、バードウォッチャーの間で大きな話題となりました。このように、都内でコミミズクに出会えるかはタイミング次第ですが、春先までその場に滞在する可能性もあるため、冬の間は注意しておくとよいでしょう。
より確実にコミミズクを観察したいなら、都下の郊外エリアを狙うのがおすすめです。特に西多摩地区の広大な草地などではコミミズクの観察例があります。他にも、東京都境付近の多摩川沿いの原っぱや、秋川流域の河川敷など、人の少ない広い草地でひょっこり姿を現すことがあります。東京都外になりますが近郊では茨城県稲敷市や栃木・群馬県境の渡良瀬遊水地が有名飛来地です。都内で情報が乏しい場合は、思い切ってこうしたスポットに遠征するのも手でしょう。
観察できる場所(東京)
前述の通り東京23区内でコミミズクが見られることは非常に稀になりましたが、ごく稀な飛来地として葛西海浜公園(江戸川区)や東京港野鳥公園(大田区)が挙げられます。葛西海浜公園では東なぎさのヨシ原で見られることが多く、東京港野鳥公園では東淡水池のヨシ原で見られることがあります。どちらの公園もコミミズクが見られた際はブログで情報が発信されるので、各公園のブログはチェックしておくといいでしょう。さらにお隣の埼玉県や神奈川県との都県境周辺(狭山丘陵や多摩川下流域)でも記録があり、東京都心から少し離れた郊外に注目すると良いでしょう。
コミミズクは夕方遅めの時間帯に活動を始めます。日中は草地の地表や藪の中でじっと休んでいるため、探してもなかなか見つかりません。ところが午後3~4時を過ぎて日が傾く頃になると、突如ヨシ原や草地の上をヒラヒラと飛び回り始めます。獲物のネズミを探して低空をフワフワと飛ぶ独特の飛翔は、他の猛禽類にはないコミミズクならではの光景です。そのため観察は日没前後の1~2時間に集中します。うまくいけば、狩りの途中に杭や枯れ木にとまり休憩する姿を間近に見ることもできます。一度お気に入りの狩場を見つけると、個体は毎日ほぼ同じ場所で狩りを繰り返す習性があります。つまり、そこにコミミズクが飛来していると分かれば、その冬の間は継続的に観察を楽しめる可能性が高いということです。
初心者向け観察のコツ・マナー
- 夕方の早め行動: コミミズク狙いの場合、現地にはできれば午後遅く(15時頃)には到着し、双眼鏡を構えて待ちましょう。日没直前になると飛び始めることが多いので、空が薄明るいうちからヨシ原や草地の上を注意深く見張ります。飛び出す瞬間を見逃さないようにしましょう。
- 広範囲を見渡せる場所で: 草原の中に入り込むとコミミズクがいても気づけません。必ず少し離れた堤防の上や開けた場所から観察します。東京近郊の有名地では堤防道路から双眼鏡で探すスタイルが一般的です。広い範囲を見渡せる場所を選び、360度どこから飛び出しても対応できるようにしましょう。
- 接近しすぎない: 獲物を探しているコミミズクに人間が近づきすぎると、狩りの邪魔になります。飛んでいる個体をカメラで追いかけて草地に踏み込む人がいますが絶対にやめましょう。コミミズクが驚いて狩場を変えてしまい、結局自分たちのチャンスも減ります。数十メートル以上の距離を保ち、静かに見守ってください。
- 寒さ&暗さ対策: 冬の河原や干潟は日が沈むと非常に冷え込みます。観察に熱中していると手足の感覚がなくなるほど寒くなるので、防寒は万全に。薄手の手袋をしていても双眼鏡のピント合わせはできます。日暮れ後は暗闇になりますから、懐中電灯を携行し、帰路の安全にも気を配りましょう。観察が終わったら早めに引き上げるのも大切です。
トラフズク – 冬に団体で現れる虎模様のフクロウ

トラフズクは“虎斑木菟”とも書き、虎のような斑紋とウサギのような耳(羽角)を持つフクロウです。全長は約35cmで、中型のフクロウに属します。大きなオレンジ色の目と、ピンと立った羽角が顔にアクセントを加えています。羽色は茶色と黒の縞模様で、松の木肌や枯れ枝に非常によく馴染むカモフラージュ効果があります。実際、トラフズクは危険を感じると体を細く縦長に伸ばして針葉樹の幹に貼り付き、自身を木の一部のように見せかける擬態行動をとります。夜になるとフクロウらしく敏捷なハンターとなり、主にネズミやモグラなど地表性の小動物を捕食します。日本では留鳥および漂鳥で、繁殖する個体もいれば、冬季だけ飛来する個体もいます。
季節と東京での生息状況
トラフズクは通年関東地方に生息していますが、特に冬に観察される機会が増える鳥です。夏場は森林でひっそり暮らしていて滅多に出会えませんが、冬になると落葉などに伴って塒(ねぐら)の場所が判明しやすくなります。また寒い地域から飛来する個体が加わることで、冬は個体数自体が増える傾向があります。東京都でも、年間を通じて西部の山林に少数が生息していると推測されますが、はっきり目撃されるのは冬季(11~2月)が中心です。特筆すべきなのは、トラフズクが数羽~十数羽のグループで一箇所に集まって寝る習性があることです。これまでに東京近郊でトラフズクのねぐらが確認された例が多数あります。近年では多摩川近くの林に複数のトラフズクが集団で休んでいた例があります。このように「意外な都会の一角」に突如現れることもあるのがトラフズクの興味深い点です。もちろん常にそうした群れが見られるわけではなく、大半の個体は気づかれないまま森で暮らしています。繁殖期は春で、東京近郊の山林でヒナが見つかることもありますが、フクロウほど繁殖が目立たないため観察機会は限られます。
観察できる場所(東京)
トラフズクは河川敷や公園の常緑樹林での目撃が多いフクロウです。東京都内でこれまでに観察例が多いのは、やはり多摩川・秋川など河川に隣接した林です。おすすめは多摩川中流のエリアで、冬になると川沿いの林に飛来していることがあります。さらに、近隣の立川市や日野市の公園でも冬にトラフズクが記録されたことがあります。23区内では非常に稀ですが、練馬区の石神井公園で過去に観察例がありました。しかし基本的には郊外の林を狙ったほうが良いでしょう。なお、関東全域で見れば茨城県の渡良瀬遊水地は通年トラフズクが繁殖・生息しており、春には家族連れの姿も見られるほどです。東京近郊でなかなか会えない場合は、そうした有名地を訪れるのも一つの手です。
トラフズクの塒はしげみの中に隠れているため、見つけるのが難しい部類です。観察成功のコツは、カラスなど他の鳥の反応に注目することです。日中、カラスがある木を取り囲んで騒いでいる場合、その木にはフクロウ類がとまっている可能性があります(カラスはフクロウを嫌って集団で追い払おうとする習性があります)。そのような場面に遭遇したら、その木の枝を双眼鏡で慎重に探してみましょう。また地面を見れば、足元にペリット(未消化物の塊)や白いフンがポトポトと落ちていることがあります。それも塒のヒントになります。一度姿をとらえれば、あとは毎日その木を観察することで、冬の間ずっと観察を楽しめるでしょう。
初心者向け観察のコツ・マナー
- 冬の塒探しは根気強く: トラフズクは枝葉に紛れて本当に見つけづらいです。諦めずいろんな角度からその木を見上げてください。一つ発見できれば、その木に何羽も潜んでいることもあります。
- 刺激を与えない: 集団で休んでいるトラフズクに大声を出したり、フラッシュ撮影することは絶対にやめましょう。1羽が飛び立つと他の個体も連鎖的に飛んでしまい、最悪場合によっては塒ごと放棄してしまいます。写真を撮る際も、物音を立てないよう静かにシャッターを切ります。カメラの連写音にも注意が必要です。可能なら電子シャッターで無音撮影すると良いでしょう。
- 周囲の環境を守る: 河川敷や公園では、公園管理者や他の利用者への配慮も忘れずに。
- 夜間の観察は慎重に: 基本的にトラフズクは昼に見つけて観察し、夜はそっとしておくのがマナーです。
東京都内フクロウ観察スポット一覧(種類別と季節)
| 種類(和名) | 見られる主な季節 | 東京都内の主な観察スポット例 |
|---|---|---|
| フクロウ | 通年(春先に観察好機) | 西多摩地域の山林(奥多摩・秋川渓谷など)、大きな森のある公園(例:井の頭公園で飛来記録あり) |
| アオバズク | 夏(5月下旬~8月) | 神社の社叢林 ※23区内でも年によって繁殖例あり |
| コミミズク | 冬(12月~3月) | 河川敷や草地 埋立地の草地(例:葛西海浜公園) |
| トラフズク | 通年(冬にまとまって飛来) | 河川敷の常緑樹林、 郊外の雑木林 |
※上記は代表的な例です。フクロウ類の生息状況は年によって変化します。最新の観察情報も参考にしてください。
まとめ:東京でフクロウに出会うために
東京にも確かに野生のフクロウたちが生息しており、季節ごとの工夫とマナーを守った観察によって、私たちもその姿を目にすることができます。初心者の方はまず、今回紹介したような各種フクロウの特徴と旬の季節を押さえておきましょう。春の森ではフクロウが子育てをし、夏の神社林ではアオバズクが雛を育て、秋から冬の原っぱにはコミミズクが舞い、冬の林にはトラフズクがひっそりと集います。それぞれのフクロウにあった場所と時間帯に狙いを定めることで、出会える確率はぐっと高まります。
とはいえ、相手は野生動物ですので「必ず見られる」保証はありません。フクロウは忍者のように気配を消して私たちのすぐそばに潜んでいることもありますし、逆に大勢が見守る中で堂々と姿を現すこともあります。大切なのは、焦らず自然のリズムに合わせて観察することです。フクロウに出会えない日が続いても落胆しないでください。その過程で森の空気や夜の静けさ、季節の移ろいを感じ取るだけでも、きっと豊かな体験となるでしょう。
最後に、フクロウ観察はマナーがすべてと言っても過言ではありません。フクロウが安心して東京に棲み続けられるよう、そしてこれからも多くの人がその姿に感動できるよう、私たち人間側ができる配慮を忘れずにいましょう。静かに見守り、そっとその場を去る——その積み重ねが、野生のフクロウとの信頼関係を築きます。東京という大都市で出会うフクロウは、ひときわ神秘的で心に残るものです。ぜひマナーと初心を大切に、東京の野生のフクロウとの出会いを楽しんでください。その瞬間はきっと、都会の喧騒を忘れる特別な思い出になることでしょう。

コメント