
日本には、コゲラやアカゲラなど、さまざまなキツツキの仲間がいます。キツツキは一種類の鳥の名前ではなく、キツツキ科の鳥をまとめた呼び方です。
見かけた鳥の名前を調べたいときは、まず大きさと体の色を確認しましょう。
- スズメほどの大きさで、茶色と白のしま模様ならコゲラが候補。
- 白黒の体で、下腹部が赤いならアカゲラやオオアカゲラが候補。
- 背中が緑色なら、本州・四国・九州ではアオゲラ、北海道ではヤマゲラが候補です。
この記事では、日本の主なキツツキ10種を紹介します。似た種類の違い、地域ごとの生息状況、鳴き声、観察のコツも解説します。
キツツキとは?コゲラ・アカゲラとの関係
コゲラ、アカゲラ、クマゲラは、いずれもキツツキの仲間です。「コゲラとキツツキの違い」は、別の種類同士の違いではなく、個別の鳥名とグループ名の違いです。
多くのキツツキは、木の幹に縦にとまり、くちばしで木をつつきます。足で木をつかみ、硬い尾羽も支えに使います。ただし、アリスイのように、こうした姿をあまり見せない仲間もいます。
キツツキは漢字で「啄木鳥」、英語では「woodpecker」といいます。名前のとおり木をつつく鳥ですが、その目的は餌探しだけではありません。
日本のキツツキの種類|主な10種
身近な種類から順に紹介します。
ここで紹介する10種は、国内で記録されたキツツキ科の全種を数えたものではありません。まれに飛来した種類や過去の記録まで含めるかによって、扱う種類数は変わります。また、紹介する鳥がどれも簡単に観察できるわけではありません。
大きさは、くちばしの先から尾の先までの「全長」の目安です。
コゲラ|公園でも見られる小さなキツツキ

コゲラは全長約15cm。スズメほどの大きさで、日本で見られる最も小さなキツツキです。茶色の背中に白い横じまが並びます。
全国に広く分布し、林だけでなく、樹木のある公園や庭でも見られます。太い幹に限らず、細い枝の先で餌を探すこともあります。
「ギー」という、少しかすれた声が手がかりです。雄には後頭部の左右に小さな赤い羽がありますが、普段は隠れていることも多く、赤が見えないだけでは雌と判断できません。
アカゲラ|白い肩と赤い下腹部が目印

アカゲラは全長約24cm。白黒の体と、赤い下腹部から尾の付け根付近が目立ちます。背中側から見たときの、肩にある大きな白い部分も重要な特徴です。
国内では北海道・本州を中心に見られ、森林や樹木の多い環境で暮らします。地域によって見られやすさが異なり、全国の公園で同じように出会える鳥ではありません。
成鳥の雄は後頭部が赤く、雌にはその赤い部分がありません。幼鳥では頭頂が赤いことがあるため、赤い位置だけで成鳥の雌雄を当てはめないようにしましょう。
雌雄を詳しく確認する場合は、アカゲラのオスとメスの違いと見分け方も参考になります。
アオゲラ|本州・四国・九州の緑色のキツツキ

アオゲラは全長約29cm。緑色の背中と、腹部にある黒っぽい横じまが特徴です。頭には赤い部分があります。
日本の固有種で、本州・四国・九州などに分布します。山の森林のほか、まとまった樹林のある環境でも見られます。
姿が葉に紛れていても、「ピョー、ピョー」というよく響く声で存在に気づくことがあります。北海道で緑色のキツツキを見た場合は、まずヤマゲラを確認しましょう。
オオアカゲラ|大きさより脇の縦斑を見る

オオアカゲラは全長約28cm。アカゲラより大きい種類ですが、離れている鳥の大きさは見誤りやすいため、模様も確認します。
見分けるポイントは、体の脇にある黒い縦斑と、アカゲラのような大きな白い肩斑がないことです。下腹部は赤みを帯びます。
北海道から九州にかけて分布し、森林で暮らします。西日本では山地の森林が主な生息環境になります。成鳥の雄は頭頂が赤く、雌は黒い頭をしています。
ヤマゲラ|北海道で見られる緑色のキツツキ

ヤマゲラは全長約30cm。国内では北海道に分布します。
背中は緑色で、頭や顔は灰色がかって見えます。アオゲラと違い、腹部に目立つ横じまがありません。雄は額に赤い部分があり、雌にはありません。
森林のほか、樹木のまとまった環境にも生息します。木の上だけでなく、地面でアリなどを探す姿が見られることもあります。
クマゲラ|黒い体をした日本最大のキツツキ

クマゲラは全長約46cm。日本で見られるキツツキの中で最も大きく、ほぼ全身が黒い鳥です。
雄は頭頂に広く赤い部分があり、雌の赤い部分は後頭部に限られます。黒い体と明るい色のくちばしも目印です。
国内では北海道と本州北部に生息します。大きな木のある森林と関わりが深く、身近な公園で普通に見られる種類ではありません。
鳴き声や詳しい特徴は、クマゲラの生息地・鳴き声・見分け方で紹介しています。
コアカゲラ|北海道にすむ小型の白黒のキツツキ

コアカゲラは全長約16cm。コゲラに近い小ささですが、背中は褐色ではなく、黒と白の模様が基本です。アカゲラのように下腹部が赤くなることもありません。
国内では北海道に分布し、疎らな林や河畔林などで見られます。ただし、分布は局地的で、コゲラほど身近な種類ではありません。
成鳥の雄は頭頂が赤く、雌には赤い部分がありません。大きさだけでコゲラと決めず、背中の色や模様を確認します。
ノグチゲラ|沖縄県にすむ希少な固有種

ノグチゲラは全長約31cm。沖縄県に限られた分布をもつ、日本の固有種です。
体は暗い褐色を基調とし、翼には白い模様があります。成鳥の雄は頭頂が赤く、雌の頭頂は黒褐色です。
生息できる森林が限られる、保全上重要な鳥です。観察のために巣や繁殖場所を探し回らず、立ち入りの案内や保護上のルールを守りましょう。
ミユビゲラ|北海道で記録される希少な種類

ミユビゲラは全長約22cm。黒と白を基調としたキツツキで、雄の黄色い頭頂が特徴です。
名前は足の指が3本であることに由来します。ただし、野外で足指を数えて見分けるのは簡単ではありません。
国内では北海道で記録されていますが、記録は限られ、生息状況には不明な点があります。初心者が観察先として探す種類というより、日本にも記録のある希少な仲間として知っておきたい鳥です。
アリスイ|地上でも餌を探すキツツキの仲間

アリスイは全長約17.5cm。灰褐色の細かい模様があり、木の枝や枯れ草に紛れやすい鳥です。
ほかのキツツキのように幹に縦にとまって木をたたく姿は一般的ではありません。地上などでアリを探し、長い舌を使って食べます。
北海道や東北北部では主に夏、本州以南では主に冬に見られ、地域によって観察できる季節が異なります。
詳しい生態は、アリスイの特徴と生息地で解説しています。
キツツキの見分け方|色・模様・大きさを確認
種類を判断するときは、体の色だけでなく、肩・腹・頭の模様を組み合わせます。見た地域も大切な手がかりです。
アカゲラとオオアカゲラの違い
どちらも白黒の体で、下腹部が赤みを帯びています。まず次の2点を確認しましょう。
- 肩の大きな白い部分が目立つ:アカゲラ
- 体の脇に黒い縦斑がある:オオアカゲラ
大きさは補助的な手がかりです。1羽だけを遠くから見て「大きかったからオオアカゲラ」と決めないようにします。
写真で比較したい場合は、アカゲラとオオアカゲラの違いと見分け方をご覧ください。
アオゲラとヤマゲラの違い
緑色の背中をもつ2種は、地域と腹部の模様を確認します。
- 本州・四国・九州などで、腹部に横じまがある:アオゲラ
- 北海道で、腹部に目立つ横じまがない:ヤマゲラ
どちらにも頭が赤く見える個体がいるため、「赤い頭だからアオゲラ」とは判断できません。
赤い頭だけで種類や雌雄を決めない
頭に赤い部分があるキツツキは複数います。アカゲラ、オオアカゲラ、クマゲラなどでは、赤い部分の位置や広さが雌雄の手がかりになります。
ただし、幼鳥では成鳥と違う出方をすることがあります。特にアカゲラの幼鳥は頭頂が赤く、成鳥の雄の「後頭部が赤い」という特徴とは区別が必要です。
まず体の模様から種類を絞り、その後に頭を確認しましょう。
木を登る鳥がすべてキツツキとは限らない
木の幹で餌を探す鳥には、ゴジュウカラやキバシリもいます。
ゴジュウカラは頭を下にして幹を降りる動きが特徴的です。キバシリは細く下に曲がったくちばしをもち、幹をらせん状に登りながら餌を探します。
「木に縦にとまっていた」という情報だけではなく、くちばし、尾、体の模様、動き方も見てみましょう。
生息地と季節|日本のどこで、いつ見られる?
北海道で探す場合
身近な林ではコゲラやアカゲラが候補になります。緑色のキツツキはヤマゲラです。
クマゲラ、オオアカゲラ、コアカゲラなども生息しますが、必要な環境や見られやすさは異なります。北海道に分布するからといって、どの公園でも見られるわけではありません。
本州・四国・九州で探す場合
初心者が最初に探しやすいのは、樹木のある公園や林にすむコゲラです。関東や関西でも、市街地のまとまった緑地が入り口になります。
アオゲラは本州・四国・九州などで候補になります。アカゲラは北海道・本州が中心で、九州でも同じように普通にいるとは考えない方がよいでしょう。
オオアカゲラなどを探す場合は、単に木があるかではなく、森林の広がりや地域の生息状況も確認します。
沖縄県で見られる種類
沖縄県にもコゲラの仲間が生息します。また、限られた森林にはノグチゲラがいます。
ノグチゲラは特に保護への配慮が必要な種類です。具体的な巣の位置を調べたり、観察記録の位置情報を頼りに繁殖場所へ集まったりすることは避けましょう。
多くは留鳥。アリスイは季節によって移動する
コゲラやアカゲラなど、多くの種類は、同じ地域で一年を通して暮らす「留鳥」です。ただし、季節に応じて標高や行動範囲が変わることもあります。
一方、アリスイは移動をする鳥です。北海道などでは夏鳥、本州以南では冬鳥として見られる地域があります。
初心者には、落葉樹の葉が少なくなる秋冬も探しやすい季節です。春は声やドラミングに気づきやすくなりますが、繁殖の妨げにならないよう注意します。
鳴き声と木をたたく音の違い
身近な種類の鳴き声
最初は次の声を目安にすると探しやすくなります。
- コゲラ:「ギー」という、かすれたような声。
- アカゲラ:「キョッ」「ケッ」と聞こえる短く鋭い声。
- アオゲラ:「ピョー、ピョー」と繰り返す、よく響く声。
鳴き声の文字表現は、人によって聞こえ方が違います。また、同じ鳥でも状況によって声を使い分けます。声だけで確定せず、姿や生息環境と合わせて判断しましょう。
木をたたく目的は餌探し・巣作り・合図
キツツキが木をたたく主な目的は、次の3つです。
- 木の中や樹皮にいる餌を探す。
- 巣に使う穴を掘る。
- 相手への合図として音を響かせる。
合図のために素早く連続して木などをたたく行動を「ドラミング」といいます。これは喉から出す鳴き声ではありません。
木をつつく音がすべてドラミングというわけでもありません。餌を探しているときや穴を掘っているときにも音が出ます。
食べ物・巣・子育て
昆虫やアリ、木の実などを食べる
キツツキの食べ物は、種類や季節によって異なります。
樹皮のすき間や木の中にいる昆虫・幼虫を食べる種類が多く、アリをよく食べる仲間もいます。秋冬には木の実などを食べる種類もいます。
いつも幹の内部から虫を掘り出しているわけではありません。枝や葉の周辺、地面で餌を探す姿も見られます。
木の穴で繁殖する種類が多い
多くのキツツキは木に穴を掘り、その中で卵を産んで子育てをします。繁殖は主に春から初夏ですが、時期は種類や地域で異なります。
雌雄で抱卵や給餌を分担する種類が多く、使われなくなった穴は、ほかの鳥や動物が利用することもあります。
一方、アリスイは自分で本格的な巣穴を掘らず、既存の穴などを利用します。
穴のある木を見つけても、中をのぞいたり、木をたたいて鳥を出したりしないでください。
キツツキの見つけ方と観察マナー
まず声を聞き、幹と枝を探す
樹木のある公園や林に着いたら、少し立ち止まって音を聞きます。
「ギー」という声や、木をつつく音が聞こえたら、その方向の幹と枝をゆっくり探しましょう。コゲラは細い枝にもいるため、太い幹だけに視線を固定しないことが大切です。
鳥が幹の裏へ回ったら、追い回さず、その場で待ちます。自分から移動して姿を見せることがあります。
姿・場所・季節を記録する
見分けられなかったときは、次の情報を残すと後から調べやすくなります。
- スズメやハトと比べて、どのくらいの大きさだったか。
- 背中は茶色、白黒、緑色、黒のどれだったか。
- 肩や腹にどんな模様があったか。
- 頭のどこが赤かったか。
- どの都道府県で、何月に見たか。
写真を撮る場合も、近づくことより全体の模様を記録することを優先します。準備する道具は、バードウォッチングの必需品・持ち物で確認できます。
巣に近づかず、音で呼び寄せない
観察では、次の点を守りましょう。
- 観察のために鳴き声を再生して呼び寄せない。
- 巣穴の前で待ち続けない。
- 枝を切ったり、樹皮を剥がしたりしない。
- 立ち入り禁止の場所や私有地に入らない。
- 希少種や巣の位置がわかる情報を公開しない。
餌をくわえた親鳥が近くで待っている場合は、自分が巣への出入りを妨げている可能性があります。その場を離れ、鳥が行動できるようにしましょう。
キツツキについてよくある質問
コゲラやアカゲラとキツツキは違う鳥ですか?
コゲラもアカゲラもキツツキの仲間です。「キツツキ」はグループ全体の呼び方で、コゲラやアカゲラは個別の種類の名前です。
キツツキは珍しい鳥ですか?
種類によります。コゲラは樹木のある公園や庭でも見られます。一方、ノグチゲラやミユビゲラなどは分布や記録が限られます。すべてのキツツキが珍しいわけではありません。
キツツキはどこにいますか?
多くは森林や樹木のある場所にいます。初めて探すなら、公園や林のコゲラが身近です。緑色の種類は、本州・四国・九州ではアオゲラ、北海道ではヤマゲラが候補になります。
頭が赤いキツツキは何という鳥ですか?
アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、クマゲラなど、複数の候補があります。赤い部分の位置だけでなく、体の色、肩や腹の模様、見た地域を合わせて判断します。幼鳥では赤い部分の出方が成鳥と違うこともあります。
キツツキは渡り鳥ですか?
コゲラやアカゲラなど、多くは一年を通して同じ地域にいる留鳥です。ただし、アリスイのように移動する仲間もいて、地域によって夏鳥・冬鳥として見られます。
夏と冬で羽の色は変わりますか?
この記事で紹介した種類では、夏羽・冬羽の大きな違いよりも、種類、雌雄、幼鳥か成鳥かを先に確認する方が識別に役立ちます。羽の摩耗や光の当たり方でも色の印象は変わります。
キツツキの寿命は何年ですか?
キツツキは複数の種類を含むため、共通の平均寿命を一つの年数では示せません。野生で確認された長寿記録も、平均寿命とは異なります。種類や調査条件が明らかでない「○年」という数字は、目安としても慎重に扱う必要があります。
まとめ|身近な種類から見分けよう
日本のキツツキを調べるときは、大きさ、体の色、肩や腹の模様、見た地域を組み合わせると候補を絞れます。
初めて探すなら、樹木のある公園でコゲラの「ギー」という声に耳を澄ませてみましょう。白黒で下腹部が赤い鳥ならアカゲラ類、緑色なら地域に応じてアオゲラやヤマゲラを確認します。
珍しい種類を追うより、身近な1羽の特徴をゆっくり観察することが、見分け方を覚える近道です。
参考資料
種類ごとの特徴・分布・生態は、以下の資料を参照して確認しました。
- 日本野鳥の会:みんな大好き! キツツキの秘密を探ろう(キツツキの仲間、木登り、ドラミングなど)
- サントリー「鳥のふしぎQ&A」:「キツツキ」という名前の鳥は、実はいないの?(総称としてのキツツキ、種類数、木をたたく理由)
- サントリー「日本の鳥百科」:アカゲラ、アオゲラ、オオアカゲラ、アリスイ(大きさ、識別点、分布、鳴き声、食べ物)
- 林野庁 中部森林管理局:コゲラ(特徴と生態)
- 北海道立総合研究機構 林業試験場:鳥類図鑑(北海道のキツツキ類の特徴と分布)
- 小清水町:ヤマゲラ(大きさ、雌雄の特徴、生態)
- 環境省:ノグチゲラ(特徴、分布、保護の取り組み)
- 環境省 生物多様性センター:ミユビゲラ(国内の分布と生息状況)
- 日本野鳥の会「BIRD FAN」:キバシリ、サントリー「日本の鳥百科」:ゴジュウカラ(キツツキ以外の木を登る鳥との違い)
資料確認日:2026年9月6日


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