ドバトは、カワラバトを人が飼育・家禽化した系統が、野外で暮らすようになったハトです。公園や駅前で群れをつくる、あの身近なハトが代表例。ドバトとカワラバトは、キジバトとの違いのように「別の種類の鳥」として見分ける関係ではありません。
見分けるときは、羽の色だけでなく、くちばしの付け根の白いろう膜、首の緑や紫の光沢、翼の模様に注目しましょう。この記事では、ドバトの名前の関係から鳴き声、白・黒・茶色の個体、オスとメス、ヒナの特徴まで、イラストとともに解説します。

ドバトとは?カワラバト・土鳩・イエバトの関係
「カワラバト」はもとの野生種の名前、「ドバト」はその飼育系統が野生化したハトを指す呼び名です。名前が違っても、別種のハトというわけではありません。

ドバトとカワラバトに「種類の違い」はある?
カワラバトの学名はColumba liviaです。人がカワラバトを飼うようになり、多様な羽色や性質を持つ飼いバトが生まれました。その系統のうち、人の管理を離れて野外で暮らし、繁殖するものがドバトです。
そのため、日本の公園にいる灰色のハトを「これはドバト、これは野生のカワラバト」と、翼の色だけで分けることはできません。原種に似た灰色の姿も、白や赤褐色の姿も、ドバトの群れに見られます。
| 呼び名 | 主に指すもの |
|---|---|
| カワラバト | 飼いバトの祖先となった野生種。ドバトと同じ種の系統です。 |
| ドバト(土鳩) | 飼いバトの系統が野生化し、街などで暮らすハト。 |
| イエバト・飼いバト | 人が飼育してきたカワラバトの系統。伝書鳩やレース鳩も含まれます。 |
| キジバト(山鳩) | ドバトとは別種のハト。茶色いうろこ模様と首の細かな縞が目印です。 |
「土鳩」の読み方は?山鳩とは違う?
土鳩は「ドバト」と読みます。日常的に「山鳩」と呼ばれることが多いのはキジバトです。「公園のハト」と「庭でデーデーポッポーと鳴くハト」の名前を整理したいときは、この対応を覚えるとわかりやすくなります。
山鳩の姿や暮らしは、キジバトとは?鳴き声・生息地・山鳩との関係で詳しく確認できます。
ドバトの特徴と見分け方|白いろう膜・首・翼を確認
ドバトの全長はおよそ33cm。小さな頭に、厚みのある胴体、短めの脚を持つハトです。成鳥を観察するときは、次の特徴を組み合わせて判断します。

| 見る場所 | 典型的な特徴 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| くちばしの付け根 | 白く盛り上がった「ろう膜」が見える | 若い個体では白さが弱いことがあります。 |
| 首 | 緑や紫に光る羽がある | 光の向きや姿勢によって目立ち方が変わります。 |
| 翼 | 灰色の翼に黒い帯が2本 | 色や模様の個体差が大きく、帯が目立たない個体もいます。 |
| 尾 | 原種に近い羽色では、先端に黒い帯 | 羽色の異なる個体では典型的な模様になりません。 |
| 脚 | 赤色から桃色 | 脚の色だけでは、ほかのハトと区別できません。 |
くちばしの白い部分は何?
くちばしの根元にある白い部分はろう膜と呼ばれます。「白い鼻こぶ」のように見える部分です。羽色が違っても確認しやすい目印ですが、遠距離や幼鳥では目立たないため、首と翼も一緒に見ましょう。
ドバトのオスとメスは見分けられる?
羽色だけでオスとメスを確実に見分けるのは困難です。オスのほうがやや大きい傾向はありますが、個体差や姿勢の影響があります。「灰色はオス、茶色はメス」という分け方はできません。
胸や喉を膨らませ、低く鳴きながら相手の周囲を歩く姿は、オスの求愛行動を考える手がかりです。ただし、短い観察で雌雄を断定せず、相手とのやり取りも見てみましょう。
ドバトの幼鳥は成鳥とどこが違う?
巣立って間もない若いドバトは、くちばしの付け根の白さが成鳥ほど目立たないことがあります。白いろう膜がはっきりしないことだけで、ドバトではないと判断しないのがポイントです。翼の模様、体形、近くにいる親鳥や群れの成鳥も確認しましょう。
ドバトの鳴き声は?「クルックー」とキジバトの聞き分け方
ドバトは「クルックー」「クックー」「グルル」と表される、低く喉を鳴らすような声を出します。求愛の場面では、胸や喉を膨らませ、おじぎをするように動きながら声を続けます。

ドバトの鳴き声にはどんな意味がある?
相手に近づき、体を膨らませて鳴いているときは、求愛の場面かもしれません。相手を威嚇するときにも、鳴きながら体を大きく見せる動きをします。驚いたときには短い声を出すこともあります。
声の文字表現だけを読んで意味を決めるより、鳴いている相手、体の向き、喉の膨らみ、歩き方を合わせて見ると、どんな場面なのかを捉えやすくなります。
「デーデーポッポー」と鳴くハトはドバト?
低い「デーデーポッポー」という節を繰り返すのは、主にキジバトです。ドバトの声は、喉を鳴らすような「クルックー」「グルル」と聞こえることが多く、代表的な鳴き方のリズムが違います。
| 鳥 | 代表的な表し方 | 聞くときの手がかり |
|---|---|---|
| ドバト | クルックー、クックー、グルル | 喉を鳴らすような低い声と、相手に向けた動きを確認。 |
| キジバト | デーデーポッポー、デデッポポー | ひと続きの節を繰り返すリズムに注目。 |
ただし、キジバトも求愛時には普段の節と違う声を出します。短い「クー」だけでは種類を決められません。何回か続けて聞き、姿が見えたら首と翼も確かめましょう。
朝や夜に聞こえる声の正体を詳しく調べたい方は、キジバトの鳴き声の意味と、朝・夜に聞こえる理由も参考になります。実際の録音は、記事末尾の参考資料にある「Rock Pigeon Sounds」で確認できます。
ドバトとキジバトの違い|茶色だけで決めず、首と翼を見る
ドバトとキジバトは別種です。どちらも全長約33cmなので、大きさだけでは見分けにくく、首と翼の模様が頼りになります。

| 比較する特徴 | ドバト | キジバト |
|---|---|---|
| 羽色と翼 | 灰色、白、黒、赤褐色、まだらなど多様。典型的な個体には黒い翼帯が2本。 | 茶褐色で、背中と翼にうろこのような模様。 |
| 首 | 緑や紫の光沢が見えることがある。 | 側面に青灰色と黒の細かな横縞。 |
| くちばしの付け根 | 成鳥では白いろう膜が目立つ。 | ドバトのような白い盛り上がりは目立たない。 |
| よく見る姿 | 公園や広場の地面で群れをつくる。 | 庭や木の枝などで、1羽や2羽でいることが多い。 |
キジバトも群れになることがあり、ドバトが1羽でいることもあります。群れ方は補助的な手がかりです。また、キジバトの幼鳥では首の縞が弱いことがあるため、翼のうろこ模様も見てください。
翼・顔・幼鳥の違いをさらに詳しく比べるなら、キジバトとドバトの違い・見分け方へ進むと確認しやすくなります。
白い・黒い・茶色いドバトがいるのはなぜ?
ドバトの羽色が多様なのは、飼いバトの系統にあった色や模様を受け継いでいるためです。同じ群れに、灰色、黒っぽい個体、白い個体、赤褐色、まだら模様の個体が混じっていても不思議ではありません。
白いハトはドバト?シラコバト?
白いドバトや飼いバトはいます。白い羽だけで別種やアルビノと判断することはできません。体形やくちばしの付け根、ほかのハトとの行動も確認しましょう。
名前が似ているシラコバトは、淡い灰褐色の体と、首の後ろ側の黒い半首輪が特徴の別種です。見比べたい方はシラコバトの特徴とドバトとの違いへ。ハト以外も含めて白い鳥の名前を探すなら、日本で見られる白い鳥の一覧と見分け方が役立ちます。
黒いハトや、まだら模様のハトもドバト?
黒っぽい個体や、白と灰色が混じったまだら模様も、ドバトの羽色の変異として見られます。翼の黒い帯が見えにくい場合は、ろう膜、首、体形を順番に確認してください。黒いことだけで別種と決めるのは早計です。
茶色いハトはすべてキジバト?
ドバトにも赤褐色や茶色っぽい個体がいます。キジバトか迷うときは、色そのものより翼に細かなうろこ模様があるか、首の横に縞があるかを見ます。
ハトの仲間かどうかも迷う場合は、茶色い鳥の一覧を大きさと模様で比べると候補を絞れます。
ドバトはどこにいる?日本の生息地と見られる季節
ドバトは北海道から沖縄まで広く見られ、市街地の生活に適応しています。駅前、公園、寺社、広場、農耕地などで、地面を歩きながら食べ物を探す姿に出会えます。

ドバトは渡り鳥?冬もいる?
ドバトは日本では基本的に一年中見られる留鳥です。冬だけ海外から来る鳥や、夏になると一斉にいなくなる鳥ではありません。見かける数が変わったときは、食べ物や休息場所、周囲の環境の変化も考えてみましょう。
公園や建物の周りに多いのはなぜ?
祖先のカワラバトは岩壁などを利用する鳥です。建物のくぼみやひさし、橋の構造物などは、休息や営巣に使える場所になります。街には採食できる地面もあるため、人の暮らす環境で生活しやすいのです。
住宅地でほかの鳥の名前も知りたい方は、庭に来る鳥の一覧と名前の調べ方をご覧ください。地面を歩く鳥の識別には、駐車場で見られる身近な鳥の見分け方も使えます。
ドバトの食べ物・巣・卵・ヒナの育ち方

ドバトは何を食べる?
ドバトは種子、穀類、豆類などの植物性の食べ物をよく食べます。木の実や芽などを食べることもあり、地面で一つずつついばむ姿がよく見られます。人の食べ物を口にすることもありますが、それだけが本来の食事ではありません。
観察では餌を使って集めず、その場で何をついばんでいるか、群れの中でどのように動くかを見てみましょう。
ドバトの繁殖期はいつ?卵は何個?
ドバトは条件が整えば一年を通して繁殖し、通常は白い卵を2個産みます。春、とくに4〜5月に繁殖が多いとされていますが、春だけの鳥ではありません。
建物の棚状の部分などに、小枝やわらを使った簡素な巣をつくります。オスとメスが抱卵し、ふ化までの目安は約16〜18日です。期間は資料や観察条件によって幅があります。
ドバトのヒナは何を食べる?ピジョンミルクとは
ふ化したばかりのヒナには、親鳥がそのう(食べ物を一時的にためる器官)でつくる「ピジョンミルク」を与えます。哺乳類の乳とは異なり、オスもメスもヒナに与えます。成長すると、親が吐き戻した食べ物も受け取るようになります。
ハトの赤ちゃんを街であまり見ないのはなぜ?
ドバトのヒナは、巣の中で成長してから外へ出るためです。巣は建物の高い部分やくぼみなど、人の目に入りにくい場所にもつくられます。ヒナが巣立つまでの目安は、ふ化から約4〜5週間です。
巣から出た若いハトは、すでに羽に覆われていて、小さな裸の「赤ちゃん」の姿とは違います。街で成鳥に混じる幼鳥に気づくには、くちばしの付け根の白さや、親鳥との行動に注目してみましょう。巣やヒナを見つけたときは、親鳥の出入りを妨げない距離から見守ります。
ドバトのよくある疑問
ドバトは外来種?日本にもともといたハト?
日本のドバトは、人が持ち込んだカワラバトの飼育系統に由来する外来のハトです。長い間街で暮らしてきましたが、日本に自然分布するキジバトとは来歴が異なります。日本へ入った正確な時期には不明な点があるため、一つの年代に断定しないほうが適切です。
ドバトと伝書鳩・レース鳩は違う種類?
どちらもカワラバトを祖先とする飼育系統です。伝書鳩やレース鳩は人が飼育し、能力などを選んできたハト。ドバトは、そのような飼育系統が野外で暮らすようになったものを指します。見た目だけで飼育中か野生化した個体かを確実に分けることはできません。
ドバトが首を前後に動かして歩くのはなぜ?
歩くときの頭の動きには、周囲の景色を安定して見る働きがあります。頭の位置を一時的に保つ動きと、素早く前へ動かす動きを繰り返すため、首を前後に振っているように見えます。
ドバトの首だけ緑色ならアオバト?
ドバトの首にある緑や紫の金属光沢と、アオバトの緑色の体は別の特徴です。アオバトは全体に黄緑色系の羽を持つ、別種のハト。首だけでなく体全体を見て、アオバトの特徴と緑色の羽の見分け方と比べましょう。
観察するときに確認したい3つのポイント

- まず、くちばしの付け根を見る。成鳥の白いろう膜を確認します。
- 次に、首と翼の模様を比べる。首の光沢、翼の黒帯、キジバトの縞とうろこ模様を見ます。
- 最後に、声と行動を合わせる。群れ方や求愛の動きも、見分ける手がかりになります。
急に近づいたり追いかけたりせず、立ち止まって一羽ずつ見てみましょう。灰色だけでなく白や黒、茶色のドバトにも気づくと、同じ群れでも羽の模様が違うことがわかります。
ドバトの識別は「色だけで決めず、ろう膜・首・翼を合わせて見る」のがコツ。公園のハトの名前がわかったら、庭や住宅地で出会う鳥にも目を向けてみてください。
参考資料
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「ドバト」
- バードリサーチ 生態図鑑「ドバト(カワラバト)」
- バードリサーチニュース「ドバト(カワラバト)」PDF版
- Cornell Lab of Ornithology「Rock Pigeon Identification」
- Cornell Lab of Ornithology「Rock Pigeon Sounds」
- Cornell Lab of Ornithology「Rock Pigeon Life History」
- サントリーの愛鳥活動 日本の鳥百科「キジバト」
- Head-bobbing in pigeons: how stable is the hold phase?


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