
ミヤコドリは、白と黒にはっきり分かれた体と、赤橙色の長いくちばしが目立つ海辺の野鳥です。
海外の野鳥のような鮮やかな姿をしていますが、日本にも主に秋から春にかけて飛来します。ただし、全国の海岸で普通に見られるわけではなく、特定の湾や干潟、砂浜などに分布が偏っています。
そのため、「ミヤコドリは日本のどこにいるの?」「珍しい鳥なの?」「どの季節に探せばよいの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
この記事では、ミヤコドリの特徴、生息地、見られる季節、鳴き声、食べ物、渡りの仕組み、ユリカモメとの違いなどを、バードウォッチング初心者向けに詳しく解説します。
干潟でミヤコドリを見つけるポイントや、観察するときの注意点も紹介するので、海辺で野鳥観察を始めたい人も参考にしてください。
ミヤコドリとは?白黒の体が目立つ海辺の鳥

ミヤコドリは、チドリ目ミヤコドリ科に分類される野鳥です。
学名は「Haematopus ostralegus」、英名は「Eurasian Oystercatcher」といいます。
英名に含まれる「Oystercatcher」は、日本語にすると「カキを捕るもの」という意味です。実際にミヤコドリは二枚貝を好んで食べ、長く丈夫なくちばしを使って貝殻を開きます。
ただし、カキだけを専門に食べているわけではありません。アサリなどの二枚貝をはじめ、カニやゴカイなど、海辺で見つかるさまざまな生き物を食べます。
日本には主に冬鳥または旅鳥として飛来し、干潟、砂浜、砂利浜、岩礁のある海岸、河口などで生活します。全長は約45cmあり、小型のシギやチドリよりもかなり大きく、体つきもがっしりしています。
名前に「チドリ」と付いているため、コチドリのような小さな鳥を想像する人もいるかもしれません。しかし、ミヤコドリは一般的な小型のチドリよりもはるかに大きく、遠くからでも存在感があります。
日本で見られる小型のチドリについては、コチドリ完全ガイドでも詳しく解説しています。
ミヤコドリの特徴と見分け方

ミヤコドリは、ほかの日本の野鳥にはあまり見られない個性的な姿をしています。
基本的な特徴を知っていれば、遠くの干潟にいる場合でも比較的見つけやすい鳥です。
白黒にはっきり分かれた体
ミヤコドリの最も目立つ特徴は、白と黒にはっきり分かれた羽色です。
頭部、首の前側、胸、背中、翼の上面は黒く、腹部や体側は白くなっています。
黒い部分は光の当たり方によって、わずかに褐色味や緑色の光沢が感じられることもありますが、遠くから見るとほぼ黒色に見えます。
白い腹と黒い背中の境界がはっきりしているため、茶褐色のシギやチドリが多い干潟の中ではよく目立ちます。
「海辺に白黒の大きな鳥がいる」と感じたら、まずはくちばしの色と形を確認してみましょう。
赤橙色の長いくちばし
ミヤコドリを識別する最大のポイントが、赤橙色の長いくちばしです。
横から見ると太くて頑丈そうですが、正面から見ると左右に押しつぶされたように薄い形をしています。この形は、二枚貝の殻の隙間へ差し込み、中身を取り出すのに適しています。
色はニンジンのような赤橙色で、白黒の体によく映えます。
成鳥ではくちばし全体が比較的鮮やかですが、冬羽では先端に近い部分の色がくすんで見えることがあります。
幼鳥では、くちばしの先端が黒っぽく見えることがあり、成鳥よりも全体的に落ち着いた色合いです。
赤い目と桃色の脚
成鳥の目は赤色から赤橙色で、目の周囲にも赤みがあります。
脚は桃色から淡い赤色です。冬羽や幼鳥では、成鳥の夏羽ほど鮮やかではなく、薄い桃色や灰色がかった色に見えることもあります。
白と黒の体、赤橙色のくちばし、赤い目、桃色の脚という組み合わせは非常に特徴的です。
ただし、遠くにいる個体は逆光や陽炎の影響で色が分かりにくくなります。色だけに頼らず、大きさや体形、くちばしの長さ、羽の模様も合わせて確認しましょう。
ミヤコドリの大きさ
ミヤコドリの全長は約40~45cmです。
ハマシギやコチドリなどの小型のシギ・チドリ類と比べるとかなり大きく、体も太く見えます。首はそれほど長くなく、頭から背中にかけて丸みのある、頑丈そうな体形をしています。
干潟に複数の種類が集まっているときは、周囲のシギ・チドリよりも大きい白黒の鳥を探すと見つけやすいでしょう。
飛ぶと白い翼帯が目立つ
ミヤコドリが飛び立つと、翼に太い白い帯が現れます。
腰から上尾筒にかけても白く、尾は白色を基調として先端付近に黒い帯があります。
地上にいるときは黒い背中が目立ちますが、飛翔時には翼と腰の白色が広く見えるため、白黒のコントラストがさらに強くなります。
群れが一斉に飛び立つと、白と黒が交互に点滅するように見えることもあります。飛び去る鳥を見つけたときも、翼の白帯を確認してみましょう。
オスとメスの違い
ミヤコドリのオスとメスは、基本的に同じ羽色をしています。
雌雄でくちばしの長さや体格に一定の傾向があるとされますが、個体差もあるため、野外で1羽だけを見て性別を判断するのは簡単ではありません。
初心者の場合は、見た目だけで無理にオスとメスを区別する必要はありません。
白黒の体、赤橙色のくちばし、桃色の脚を確認できれば、ミヤコドリの識別としては十分です。
成鳥と幼鳥の違い
幼鳥は、成鳥に比べて黒い部分に褐色味があります。
背中や翼の羽には淡い色の縁取りがあり、全体的に少しうろこ状に見えることがあります。くちばしの先端は暗く、目の赤色や脚の桃色も成鳥より鈍い傾向があります。
成鳥と幼鳥が同じ群れにいる場合は、並べて観察すると違いが分かりやすいでしょう。
ただし、距離が遠い場合や光が弱い場合は、褐色味や羽縁を確認するのは困難です。初心者は無理に年齢を断定せず、「成鳥より色が淡く見える個体がいる」という程度に観察するのがおすすめです。
ミヤコドリとユリカモメの違い

「ミヤコドリ」と聞いて、ユリカモメを思い浮かべる人もいるかもしれません。
日本の古典文学に登場する「都鳥」は、現在ミヤコドリという標準和名を持つ鳥ではなく、一般的にはユリカモメを指すと考えられています。
在原業平の歌で知られる「都鳥」も、隅田川周辺で見られたユリカモメを表しているとされます。
現在のミヤコドリとユリカモメは、見た目も分類も異なる鳥です。
ミヤコドリは白黒の体に長い赤橙色のくちばしを持ち、主に干潟や砂浜を歩いて貝類を探します。
一方のユリカモメはカモメの仲間で、白い体と淡い灰色の翼を持ち、冬羽では頭が白く、目の後ろに黒い斑点があります。夏羽になると頭部が黒褐色になります。
ユリカモメは海岸だけでなく、河川、池、港、市街地周辺などでも見られ、ミヤコドリよりも人の生活圏に現れる機会が多い鳥です。
ユリカモメの季節による変化については、ユリカモメの夏羽と冬羽の違い・見分け方も参考にしてください。
ミヤコドリは日本では珍しい鳥?

ミヤコドリは、日本全体で考えると観察できる場所が限られた珍しい鳥です。
日本各地の海岸で記録される可能性はありますが、どこの海岸にも普通にいるわけではありません。まとまった数が毎年越冬する地域は限られています。
そのため、内陸部に住んでいる人や、ミヤコドリの主な越冬地から離れた地域に住んでいる人にとっては、なかなか出会えない野鳥です。
一方で、毎年群れが渡来する地域では、条件が合えば一度に多くの個体を観察できることがあります。
つまり、ミヤコドリは「日本では局地的な鳥」であり、「全国的には珍しいものの、特定の地域では毎年見られる鳥」と表現するのが分かりやすいでしょう。
長期的な調査では、日本に飛来するミヤコドリは増加傾向が報告されています。特に東京湾では個体数の増加が目立ち、伊勢・三河湾や博多湾などでも越冬個体が確認されています。
ただし、個体数が増加しているからといって、日本全国で簡単に見られるようになったわけではありません。
分布が特定の干潟や湾岸部に偏っている点は変わらないため、観察するには生息環境と季節を選ぶ必要があります。
ミヤコドリの生息地|日本ではどこにいる?

ミヤコドリは、海岸からあまり離れない野鳥です。
主な生息地は、潮の満ち引きによって地面が現れる干潟、砂浜、砂利浜、岩礁海岸、河口、浅瀬などです。
特に、二枚貝やカニ、ゴカイなどの食べ物が豊富な場所を好みます。泥だけの干潟に限らず、砂、砂利、岩などが混じった海岸でも見られます。
関東地方
関東地方では、千葉県、東京都、神奈川県の東京湾沿岸で観察される機会があります。
この地域には干潟、河口、浅瀬、砂浜などが残っており、冬になるとミヤコドリがまとまって飛来することがあります。
ただし、同じ都道府県内でも見られる場所は限られます。海がある県だからといって、すべての砂浜や港で見られるわけではありません。
東京都周辺でシギ・チドリ類を探す場合は、東京都のシギチドリおすすめ探鳥地も参考になります。
東海地方
東海地方では、愛知県や三重県の伊勢湾・三河湾周辺で越冬する個体が確認されています。
広い干潟や河口、砂浜などが残る沿岸部では、数羽から群れで見られる可能性があります。
関東地方と同様に分布は局地的で、海岸を歩けば必ず見つかるわけではありません。過去の観察情報だけを頼りにせず、その年の潮位や海岸の環境を確認することが大切です。
九州地方
九州地方では、福岡県の博多湾周辺などに毎年飛来する個体がいます。
福岡県では、ミヤコドリが冬の干潟を代表する野鳥のひとつとして親しまれている地域もあります。観察しやすい時期は、おおむね10月から翌年4月です。
そのほかの地域
北海道、本州の日本海側、近畿地方、中国地方、四国地方、南西諸島などでも記録されることがあります。
ただし、主な越冬地域以外では、1羽または少数が渡りの途中に立ち寄るだけの場合もあります。
「過去に記録がある都道府県」と「毎年安定して見られる都道府県」は同じではありません。遠征を計画する場合は、直近の観察情報や施設の公式情報を確認しましょう。
ミヤコドリが見られる季節

日本でミヤコドリを観察しやすいのは、主に秋から春です。
多くの個体は秋に日本へ渡来し、海岸や干潟で冬を越した後、春になると繁殖地へ向かって移動します。
主要な越冬地域では、10月ごろから翌年4月ごろまで確認されることが多く、特に冬は群れを見つけやすい季節です。
秋は渡来が始まる季節
秋になると、北方での繁殖を終えたミヤコドリが日本へ移動してきます。
早い個体は秋の比較的早い時期から姿を見せ、季節が進むにつれて越冬地に集まる個体が増えていきます。
渡来直後は群れが安定していなかったり、短期間で別の場所へ移動したりすることもあります。
秋はミヤコドリだけでなく、多くのシギ・チドリ類が移動する季節です。干潟に群れがいたら、白黒の大きな鳥が混じっていないか確認してみましょう。
シギ・チドリの渡りについては、渡りのシギ・チドリを観察する際のポイントでも詳しく紹介しています。
冬は最も観察しやすい季節
冬は、ミヤコドリが越冬地に滞在する時期です。
毎年まとまった数が渡来する地域では、干潟や砂浜で群れを観察できる可能性が高くなります。
干潮時には広がった干潟で食べ物を探し、満潮時には砂浜、岩場、浅瀬などに集まって休みます。
冬は北風が強く、海岸の体感温度が大きく下がることがあります。防寒着、手袋、帽子などを準備し、長時間観察する場合は無理をしないようにしましょう。
春は旅立ち前の姿を観察できる
春になると、ミヤコドリは繁殖地へ向かって移動を始めます。
冬を過ごした群れがしばらく残っていることもありますが、季節が進むにつれて数は少なくなります。
春はほかの渡り鳥が干潟に立ち寄る季節でもあるため、ミヤコドリとさまざまなシギ・チドリ類を一緒に観察できることがあります。
ただし、日によって鳥の数が大きく変わる時期でもあります。数日前まで群れがいた場所から、一斉に姿を消すことも珍しくありません。
夏に見られることはある?
日本で見られるミヤコドリの多くは、春になると繁殖地へ向かいます。
そのため、一般的には夏よりも秋から春のほうが観察しやすい鳥です。
ただし、一部の越冬地では、若い個体などが少数残り、夏にも観察される場合があります。
「ミヤコドリは夏には絶対にいない」とは言い切れませんが、初心者が初めて探すなら冬を選ぶのがおすすめです。
ミヤコドリはどこから渡ってくる?

ミヤコドリはユーラシア大陸の広い範囲に分布しています。
日本に渡来する個体は、北方の繁殖地から南下し、日本の海岸で冬を過ごすと考えられています。
標識調査では、ロシアのカムチャツカ半島西岸で標識を装着されたミヤコドリが、後に日本で確認されました。
この発見によって、日本に渡来するミヤコドリの少なくとも一部が、カムチャツカ半島周辺で繁殖していることが分かりました。
ただし、すべてのミヤコドリが同じ繁殖地から来ているとは限りません。
日本の越冬地に集まる個体が、どの地域を通り、どこで休息しながら移動しているのかについては、まだ分かっていない部分があります。
脚に付けられた色付きの標識を遠くから読み取る調査は、渡りのルートを明らかにするうえで重要です。
標識を付けた個体を見つけても、捕まえたり追いかけたりしてはいけません。可能な範囲で文字や色を記録し、写真を撮影できた場合は、鳥類標識調査の窓口などへ情報を提供します。
ミヤコドリの鳴き声

ミヤコドリは、「ピュイー」「ピュイッ」「ピッピッピッ」などと聞こえる、よく通る声で鳴きます。
高く澄んだ声で、群れが飛び立つときや、仲間同士で連絡を取り合うときに鳴くことがあります。
海岸では波や風の音が大きいため、近くにいても鳴き声を聞き逃すことがあります。
反対に、姿が遠くて見つけられないときでも、鳴き声によって群れの存在に気づく場合があります。
声が聞こえたら、干潟の上だけでなく、海上や上空にも目を向けてみましょう。白い翼帯を見せながら飛んでいる群れが見つかるかもしれません。
ただし、鳴き声の聞こえ方は、鳥との距離、風向き、個体差などによって変わります。文字で表した声だけで判断せず、姿も確認して識別しましょう。
ミヤコドリの食べ物

ミヤコドリの主な食べ物は、アサリなどの二枚貝です。
そのほかにも、カサガイ類、カニ、ゴカイ、ヒトデやウニなどの棘皮動物を食べることがあります。
干潮になって海底が現れると、干潟や砂浜を歩きながら食べ物を探します。
長いくちばしで貝を開く
ミヤコドリは、二枚貝の殻の間にくちばしを差し込み、こじ開けるようにして中身を食べます。
貝が殻を閉じる前に素早くくちばしを差し込む必要があるため、採食の様子を観察すると、非常に器用な鳥であることが分かります。
捕まえた貝を安定した場所へ運び、向きを変えながら食べることもあります。
英名の「Oystercatcher」は、このように貝を捕まえて食べる習性に由来しています。
カニやゴカイも食べる
貝類が主な食べ物ですが、カニやゴカイなども食べます。
砂や泥の中にくちばしを差し込んで探したり、地表に現れた小動物をつまみ上げたりします。
餌の種類は、海岸の環境や季節によっても変わります。貝が豊富な場所では二枚貝を多く食べ、岩礁や砂浜では別の無脊椎動物を利用することがあります。
同じ干潟で見られるイソシギの生態については、イソシギ完全ガイドも参考にしてください。
ミヤコドリの暮らしと行動

ミヤコドリの一日の行動は、潮の満ち引きと深く関係しています。
海辺の鳥を観察するときは、時刻だけでなく、干潮と満潮の時間を確認することが重要です。
干潮時は干潟で食べ物を探す
潮が引くと、それまで海水に覆われていた砂や泥が現れます。
ミヤコドリは干出した場所へ移動し、歩きながら貝、カニ、ゴカイなどを探します。
餌を探しているときは、地面を見ながら一定方向へ歩いたり、同じ場所でくちばしを何度も動かしたりします。
広い干潟では鳥との距離が遠くなることがありますが、自然な採食行動を観察するには適した時間帯です。
満潮時は群れで休む
潮が満ちて干潟が水に覆われると、ミヤコドリは採食を中断し、砂浜、岩場、堤防周辺の安全な場所などへ移動します。
満潮時には複数の個体が集まり、同じ方向を向いて休んでいることがあります。
群れがまとまるため見つけやすくなりますが、休息中の鳥へ近づくのは避けましょう。
干潮時に十分な餌を食べた鳥にとって、満潮時は羽を休める大切な時間です。人が接近して何度も飛び立たせると、必要以上に体力を消耗させてしまいます。
群れで行動する
ミヤコドリは、同じ種類で群れを作ることが多い鳥です。
数羽程度で行動することもあれば、越冬地ではより大きな群れになることもあります。
ハマシギ、ダイゼン、ミユビシギなど、ほかのシギ・チドリ類と同じ干潟を利用しますが、ミヤコドリだけでまとまっている場合も少なくありません。
群れが飛んだときは、白い翼帯と腰の白色が一斉に見え、地上にいるときとは違った美しさを楽しめます。
初心者向け・ミヤコドリの見つけ方

ミヤコドリは分布が局地的ですが、環境と季節を絞って探せば、初心者でも見つけられる可能性があります。
秋から春に海岸を探す
まずは、秋から春にかけて海岸へ出かけましょう。
森林、山地、市街地の公園などを探すよりも、干潟、砂浜、河口、浅瀬がある海岸を選ぶことが重要です。
特に、過去に冬鳥として継続的な記録がある都道府県では、観察できる可能性が高くなります。
ただし、年によって飛来数や利用する場所が変わることがあります。前年に見られたからといって、同じ日に必ず見られるわけではありません。
潮見表を確認する
海岸へ行く前に、必ず潮見表を確認しましょう。
干潮前後は、広がった干潟で採食する姿を観察しやすくなります。一方、満潮前後は、砂浜や岩場などの休息場所に群れが集まる可能性があります。
初めて訪れる場所では、干潮時に鳥が遠くなりすぎることもあります。
干潮と満潮のどちらが観察しやすいかは、海岸の形や観察場所によって異なります。現地の案内や過去の観察記録も参考にしましょう。
白黒の大きな鳥を探す
干潟全体を双眼鏡でゆっくり確認し、白黒の大きな鳥を探します。
最初から細かな羽の模様を見ようとする必要はありません。
まずは次の特徴に注目します。
- 周囲の小型シギより大きい
- 背中と頭が黒い
- 腹が白い
- くちばしが長く赤橙色
- 脚が桃色
- 飛ぶと翼に白い帯が出る
複数の特徴が一致したら、ミヤコドリの可能性が高いでしょう。
双眼鏡と望遠鏡を使う
干潟では、鳥までの距離が数百メートルになることがあります。
8倍から10倍程度の双眼鏡があれば、白黒の模様や赤いくちばしは確認できますが、幼鳥と成鳥の違いや細かな採食行動を見るには、フィールドスコープが便利です。
スマートフォンやカメラで大きく撮影するために、鳥へ近づくのは避けましょう。
画面いっぱいに写すことよりも、警戒させずに自然な行動を観察することを優先してください。
鳴き声と飛ぶ群れにも注意する
地上だけを探していると、上空を通過するミヤコドリを見逃すことがあります。
「ピュイー」と聞こえる声がしたら、海上や空も確認しましょう。
飛んでいるときは白い翼帯が目立つため、地上より発見しやすい場合もあります。
ミヤコドリを観察するときの注意点

ミヤコドリが利用する干潟や砂浜は、人のレジャーや散歩、釣りなどにも使われる場所です。
鳥と人が同じ海岸を利用するためには、観察者が距離を守ることが大切です。
群れに近づきすぎない
ミヤコドリがこちらを見続ける、首を伸ばす、歩いて離れる、鳴きながら飛ぶといった行動を見せた場合は、人を警戒している可能性があります。
それ以上近づかず、ゆっくり距離を取りましょう。
一度飛び立った鳥が近くへ降りたからといって、再び追いかけてはいけません。
鳥と海の間に入らない
砂浜や干潟の端で休んでいる鳥を観察するときは、鳥と海の間に入らないようにします。
退路をふさがれたと感じると、鳥は早い段階で飛び立つことがあります。
海岸線に沿って接近するのではなく、十分に離れた位置から双眼鏡や望遠鏡を使いましょう。
満潮時の休息を妨げない
満潮になると採食場所が水に覆われるため、鳥が休める場所は限られます。
その貴重な場所へ人が入り込むと、ミヤコドリは別の休息場所を探して飛び回らなければなりません。
特に冬は、体力を保つことが重要な季節です。休んでいる群れを見つけたら、静かに短時間で観察しましょう。
犬を近づけない
犬が走って近づくと、ミヤコドリだけでなく、周囲にいるシギ・チドリ類が一斉に飛び立つことがあります。
犬を連れて海岸を歩く場合は、地域のルールを守り、野鳥の群れへ近づけないようにしてください。
餌を与えない
ミヤコドリは自然の干潟で貝類などを探して生活しています。
人の食べ物を与える必要はありません。餌付けをすると人へ近づくようになったり、本来とは異なる行動を取ったりする可能性があります。
自然な採食行動を遠くから観察することが、ミヤコドリの魅力を最もよく知る方法です。
ミヤコドリについてよくある質問

ミヤコドリは日本では珍しい鳥ですか?
日本全体では分布が局地的で、観察できる場所が限られているため、珍しい鳥といえます。
ただし、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、福岡県などの一部には、毎年まとまった数が飛来する地域があります。
そのような地域では、冬に群れを観察できることがあります。
ミヤコドリは日本のどこにいますか?
主に太平洋側や九州北部の干潟、砂浜、河口、岩礁海岸などで見られます。
代表的な地域を都道府県単位で挙げると、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、福岡県などです。
それ以外の都道府県でも記録されることがありますが、飛来は一時的な場合があります。
ミヤコドリは何月に見られますか?
日本では秋から春に見られ、主な時期は10月ごろから翌年4月ごろです。
冬は越冬地に滞在する個体が多く、初心者にも探しやすい季節です。
渡来や旅立ちの時期は、地域や年によって前後します。
ミヤコドリは夏にも見られますか?
多くの個体は春になると北方の繁殖地へ移動しますが、一部の地域では少数が夏まで残ることがあります。
ただし、夏の観察例は冬より少ないため、初めて探すなら秋から春がおすすめです。
ミヤコドリは何を食べますか?
主にアサリなどの二枚貝を食べます。
そのほか、カサガイ類、カニ、ゴカイ、ヒトデ、ウニなどを食べることがあります。
長いくちばしを貝殻の隙間へ差し込み、中身を取り出します。
ミヤコドリはどんな声で鳴きますか?
「ピュイー」「ピュイッ」「ピッピッピッ」などと聞こえる、高くよく通る声で鳴きます。
群れが飛び立つときや、仲間同士で連絡を取るときに声を出すことがあります。
ミヤコドリのオスとメスは違いますか?
オスとメスはほぼ同じ羽色です。
体格やくちばしの長さに傾向があるとされますが、野外で見た目だけから性別を判断するのは簡単ではありません。
ミヤコドリとユリカモメは同じ鳥ですか?
ミヤコドリとユリカモメは別の鳥です。
現在のミヤコドリは白黒の体と長い赤橙色のくちばしを持つミヤコドリ科の鳥です。
古典文学に登場する「都鳥」は、一般的にはユリカモメを指すと考えられています。
なぜオイスターキャッチャーと呼ばれるのですか?
英名の「Oystercatcher」は、「カキを捕るもの」という意味です。
ミヤコドリが長いくちばしを使って二枚貝を開き、中身を食べる習性に由来しています。
ミヤコドリを見るなら干潮と満潮のどちらがよいですか?
採食する姿を観察したい場合は、干潟が現れる干潮前後がおすすめです。
群れで休む姿を探す場合は、満潮前後に砂浜や岩場などを確認します。
ただし、どちらが見やすいかは観察場所によって異なります。
まとめ|ミヤコドリは秋から春の干潟で探そう

ミヤコドリは、白黒の体と赤橙色の長いくちばしが特徴的な海辺の野鳥です。
日本では主に旅鳥または冬鳥として、秋から春にかけて飛来します。
干潟、砂浜、砂利浜、岩礁海岸、河口などに生息し、長いくちばしを使って二枚貝やカニ、ゴカイなどを食べます。
日本全体では分布が局地的な珍しい鳥ですが、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、福岡県などの一部には、毎年越冬する群れが見られる地域があります。
ミヤコドリを探すときは、秋から春に海岸を訪れ、潮見表を確認しましょう。
干潮時には干潟で食べ物を探す姿を、満潮時には砂浜や岩場などで休む姿を観察できる可能性があります。
見つけたときは近づきすぎず、双眼鏡や望遠鏡を使って遠くから静かに観察してください。
白黒の体、赤いくちばし、白い翼帯、よく通る鳴き声に注目すれば、初心者でもミヤコドリの魅力をじっくり楽しめるでしょう。


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