カンムリカイツブリが見られる生息地と探す際のポイント
カンムリカイツブリは主に冬鳥として、海岸沿いや湖沼にやってきます。「カンムリ」と名の付く通り冠羽とオレンジ色の飾り羽が特徴の野鳥です
派手な頭は夏羽のため、冬は少し地味な冬羽になります。
「カイツブリ」と名がついていますが、普通のカイツブリよりもかなり大きく、カルガモと同じくらいの大きさです。
カンムリカイツブリの生息地には他のカモなどの水鳥も多く、その群れの中に紛れていると見つけるのが少し難しくなります。
カンムリカイツブリはカモに比べて首が細長く、前の白い部分が目立つのですらっとしたスリムな印象の鳥を探すといいでしょう。
基本的には冬鳥として日本にやって来るカンムリカイツブリですが、近年では少数ですが各所で繁殖が確認されており、今後留鳥として観察できる場所が増えてくるかもしれません。
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葛西臨海公園【東京都】
東京都江戸川区にある葛西臨海公園には冬になると100羽を超えるカンムリカイツブリがやってきます。
カンムリカイツブリを観察する際は西なぎさから海上を見るのがおすすめです。カンムリカイツブリの群れは海上を広範囲に散らばっているので観察の際はフィールドスコープなどがあると便利です。
西なぎさは開園時間が9時から17時(季節により延長あり)と決まっており、朝早くには行けないので注意が必要です。早朝などに行く場合は、西なぎさと公園の間の水路を中心に探すといいでしょう。
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手賀沼【千葉県】
千葉県にある手賀沼には冬になるとカンムリカイツブリがやってきます。
手賀沼に多く生えているアシ原はカンムリカイツブリが隠れる場所にもなっているので、北側の手賀沼遊歩道あたりのアシ原近くではかなり近くまでやってきてくれることがあるのでおすすめです。
帰るのが遅い個体は春先まで残ることもあり、カモたちが帰った後の水鳥の少ない水面では大きなカンムリカイツブリは目立つので見つけやすくなります。
また、2016年には夏の間も残っていたカンムリカイツブリもおり、今後手賀沼で夏を越すカンムリカイツブリが増えるかもしれません。
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北印旛沼【千葉県】
千葉県北部にある北印旛沼には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。
北印旛沼は千葉県の中でも有数の水鳥と越冬地として有名な場所で、カンムリカイツブリの他にも多くの野鳥を観察することができます。
カンムリカイツブリを探す際は沼の南西側の堤防上から探すといいでしょう。水際にヨシがあるところはカンムリカイツブリとの距離が遠くなりがちなので、高倍率の双眼鏡などがあると便利です。
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ふなばし三番瀬海浜公園【千葉県】
千葉県船橋市にあるふなばし三番瀬海浜公園には冬鳥として多くのカンムリカイツブリがやって来ます。
干潮時には干潟が出現し、カンムリカイツブリとの距離が遠くなるので、カンムリカイツブリを探す際は、満潮時か東西にある堤防の上から堤防の外側を探すのがおすすめです。堤防の上から探す際は午前中は西側、午後は東側が順光になるためカンムリカイツブリを探しやすくなります。
三番瀬にはカンムリカイツブリと似た様に潜水を繰り返すスズガモやウミアイサ、ハジロカイツブリなどが生息しているので識別には注意しましょう。
また、三番瀬はカンムリカイツブリの他にも多くの水鳥が見られる探鳥地として非常に有名な場所なので、フィールドスコープや高倍率の双眼鏡があると多くの野鳥を観察することができるでしょう。
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日の出海岸【千葉県】
千葉県浦安市にある日の出海岸には、主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。視界を遮るもののない日の出海岸はカンムリカイツブリの観察にとても適した場所です。
満潮時の方がカンムリカイツブリが堤防の近くまでやってくる可能性が高いので、できれば満潮の時間帯に行くといいでしょう。
日の出海岸は午後に順光となるので、カンムリカイツブリを探しに行くのは午後がおすすめです。
また、日の出海岸ではカンムリカイツブリの他に、ハジロカイツブリ、ミミカイツブリ、アカエリカイツブリが見られる探鳥地としても有名な場所なので、カイツブリ類の識別の練習や観察にはうってつけです。
茜浜緑地【千葉県】
千葉県習志野市のある茜浜緑地には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。茜浜緑地は東京湾に面しており、東京湾の海上にカンムリカイツブリの群れがやって来ます。
茜浜緑地は堤防沿いに歩道が通っており、東京湾を一望することができます。カンムリカイツブリの群れは沖の方にいることも多いので観察する際はフィールドスコープがあると便利です。
東京湾は緑地の南側に面しており、晴れの日の昼間は逆光で観察しにくいので、曇りの日か早朝や夕方などが観察しやすくおすすめです。
また、茜浜緑地の東側に隣接する海浜公園や習志野親水護岸も茜浜緑地と同じようにカンムリカイツブリの観察が期待できるポイントなので、茜浜緑地でカンムリカイツブリが見つからない場合はこちらも探してみるといいでしょう。
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養老川臨海公園【千葉県】
千葉県市原市にある養老川臨海公園には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが飛来します。
養老川臨海公園には駐車場が二つあります。野球場側の駐車場前に展望広場があり、養老川の河口を見渡すことできるので、広場からカンムリカイツブリを探すといいでしょう。
養老川の河口には干潮時に干潟が出現し、カンムリカイツブリが水際から遠くに行ってしまうことが多いので、カンムリカイツブリを探しに行く際は満潮の時間を狙っていくといいでしょう。
展望広場は人気の釣りポイントでもあり、休日には釣り人で賑わうのでカンムリカイツブリを探しに行く際は人の少ない平日がおすすめです。
展望広場の西側の通路は立入禁止なので、誤って立ち入らないように注意しましょう。
多摩川河口付近【神奈川県】
神奈川県側の多摩川の河口では、冬に川沿いの歩道からカンムリカイツブリを観察することができます。
歩道は堤防の上にあるため視界がよく開けており、昼間には順光になるのでカンムリカイツブリを見つけやすいおすすめの場所です。
河口付近にはヨシ原も広がっており、ヨシ原がある場所はカンムリカイツブリとの距離が遠くなるので、ヨシ原のない殿町第2公園あたりで探すのがおすすめです。
ただし、干潮時は広大な干潟が出現するため、干潟に上がってこないカンムリカイツブリは遠くなってしまいます。そのため、カンムリカイツブリを目的に行く場合は満潮時を狙っていきましょう。
寒川取水堰【神奈川県】
神奈川県を流れる相模川下流域にある寒川取水堰周辺には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。
寒川取水堰の下流には神川橋が架かっているので、相模川の両岸からカンムリカイツブリを探すことができます。東側には取水口があり水辺までは距離があるので、水際の近くまで出られる堰上流の西側から探すのがおすすめです。西側の水際には林や藪があるので、それらをうまくブラインド代わりに利用すればカンムリカイツブリを近くで観察することができるでしょう。
また、寒川取水堰周辺にはカンムリカイツブリと同じく潜水を繰り返して採餌を行うカワアイサが見られる探鳥地としても有名な場所なので、カンムリカイツブリと併せて探して見るといいでしょう。
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彩湖【埼玉県】
埼玉県の荒川沿いにある彩湖には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。湖の周囲を歩いて一周することができるので、太陽の位置に合わせて順光になる場所で探すといいでしょう。
彩湖はとても広いので、場所によってはカンムリカイツブリとかなり距離があることも多いので高倍率の望遠鏡などがあるといいでしょう。
彩湖にはミコアイサやハジロカイツブリなど、カンムリカイツブリと同じように潜水を繰り返す野鳥も多いので識別には注意しましょう。
また、彩湖は埼玉県でも有数の探鳥地である秋ヶ瀬公園と隣接しているので併せて訪れてみるのをおすすめします。
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渡良瀬遊水地【栃木県他】
栃木県他4県にまたがる渡良瀬遊水地では、主に遊水地内にある谷中湖にカンムリカイツブリが冬鳥としてやって来ます。
太陽の位置に合わせて順光になる場所で谷中湖を見渡しながらカンムリカイツブリを探すといいでしょう。少し高くなっている谷中湖に架かる北橋、東橋、西橋の上から探すのが特におすすめです。谷中湖は広いのでレンタサイクルで自転車を借りて1周するのもいいでしょう。
谷中湖は2月の上旬になると干し上げを行い水位が下がり、カンムリカイツブリが観察しづらくなるので、カンムリカイツブリを探しに行く際は干し上げ前がいいでしょう。
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牛久沼【茨城県】
茨城県龍ケ崎市にある牛久沼には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。
牛久沼でカンムリカイツブリを観察する際は、牛久沼の南端にある牛久沼水辺公園から始めるといいでしょう。牛久沼水辺公園には駐車場とトイレがあり、常磐線の龍ケ崎市駅からも徒歩圏内と牛久沼でのバードウォッチングの拠点としておすすめのポイントです。牛久沼水辺公園には牛久沼を見渡せる観察デッキがあるので、まずは観察デッキからカンムリカイツブリを探してみるといいでしょう。
また、牛久沼水辺公園からは牛久沼の西側の堤防の上を歩くことができるので、堤防の上の目線が高く生る場所からカンムリカイツブリを探すのもおすすめです。
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涸沼【茨城県】
茨城県中部にある涸沼には主に冬鳥としてカンムリカイツブリが生息しています。
涸沼は茨城県内でも有数の水鳥の越冬地としてカンムリカイツブリの他にも多くの野鳥を観察することができます。涸沼はかなり広いので、高倍率の望遠鏡やフィールドスコープがあると便利です。
北東の涸沼川へ続いている辺りは対岸との幅が狭く、カンムリカイツブリが近くで見られる可能性も高くおすすめです。周囲の田んぼでも併せて探鳥をする場合は、この北東の辺りか、西側を中心に探すといいでしょう。
涸沼駅からも徒歩圏内なので車がなくてもカンムリカイツブリを探しに行くことは可能です。
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山中湖【山梨県】
富士山麓の山梨県側にある山中湖には主に冬鳥としてカンムリカイツブリがやって来ます。
山中湖の周囲には駐車場が各所にあるのでそれらの駐車場を回りながらカンムリカイツブリを探すといいでしょう。時間帯によって順光の位置になる駐車場から探すのがおすすめです。
冬の山名湖は湖の周囲にヤドリギが多く生えており、そのヤドリギを目当てにヒレンジャクなどがやって来ることでも有名なので、各ヤドリギのポイントからヒレンジャクが来るのを待ちながらカンムリカイツブリを探すのもいいでしょう。
また、山中湖はカンムリカイツブリと少し似ているカワアイサが冬鳥として見られる探鳥地としても有名なので併せて探してみるといいでしょう。
鳥屋野潟【新潟県】
新潟県新潟市にある鳥屋野潟では少数のカンムリカイツブリが繁殖しており、一年を通してカンムリカイツブリを観察することができます。
冬にはハクチョウを初めとした多くの水鳥で賑わう鳥屋野潟ですが、夏なると水面に水鳥の姿はほとんど見られないため、カンムリカイツブリを見つけるのは比較的簡単です。
夏にカンムリカイツブリが観察できる探鳥地は全国的にもあまり多くないので、繁殖中のカンムリカイツブリを観察したいバードウォッチャーにとって、鳥屋野潟はとてもおすすめの場所です。
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管理人がカンムリカイツブリを観察した探鳥地一覧
城南島海浜公園【東京都】
狭山公園【東京都】
城山湖【神奈川県】
養老川臨海公園【千葉県】
千波湖【茨城県】
山中湖【山梨県】