スズメよりも小さい野鳥8選:初心者向けバードウォッチング入門ガイド

スズメよりも小さい野鳥

身近な小鳥の代表であるスズメ。実はそのスズメよりも小さい鳥が日本には何種類もいるのをご存知でしょうか?小さな体で飛びまわる姿はとても可愛らしく、見つけられるとバードウォッチングがさらに楽しくなります。本記事では、日本で観察できるスズメより小さな野鳥8種の名前と特徴、生息地、そして観察のコツを初心者の方にもわかりやすく丁寧に紹介します。バードウォッチング初心者の入門ガイドとして、ぜひ参考にしてください。

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スズメの大きさはどれくらい?基準を知ろう

スズメよりも小さい野鳥 スズメ

スズメは日本中で見られる野鳥で、その大きさは全長約14〜15cmほどです。体重はおよそ20g前後で、これは一円玉20枚程度の重さに相当します。スズメは私たちにとって身近で小さな鳥の印象がありますが、日本にはこのスズメよりもさらに小さい野鳥が存在します。これから紹介する8種類は、いずれもスズメより短い全長を持つ小鳥たちです。その特徴や生態を知ることで、野鳥観察がもっと面白くなるでしょう。

※参考までにスズメと比較するときの“全長”とは、くちばしの先から尾羽の先までの長さを指します。鳥の図鑑などでは一般的にこの全長(cm)がサイズ表記として使われています。では、スズメより小さい野鳥たちを順に見ていきましょう。

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キクイタダキ

スズメよりも小さい野鳥 キクイタダキ

大きさと特徴

キクイタダキ日本最小の野鳥として知られ、全長は約10cmほどしかありません。体重もわずか5g程度と非常に軽く、1円玉数枚分という驚きの軽さです。見た目は黄緑がかった体色で、頭頂部に鮮やかな黄色(オスは橙色を含む)の羽毛があり、これがまるで菊の花びらのように見えることから「菊戴(キクイタダキ)」という名前がついています。丸みのある小さな体でせわしなく動き回り、枝先でホバリング(羽ばたきながら空中に留まる動き)して昆虫を捕まえる姿は、とても愛らしいです。スズメよりもずっと小さいその姿に、初めて出会うときっと驚くでしょう。

生息地

キクイタダキは主に針葉樹林に生息する鳥です。繁殖期の春〜夏には、北海道や本州中部以北の山地・亜高山帯に広がる針葉樹林で暮らしています。寒い地域や高い山の森がこの鳥のおうちです。冬が近づくと、平地や暖かい地域にも移動し、低地の公園や里山など針葉樹の多い場所でも姿が見られるようになります。日本全国で見ることができますが、特に冬場には市街地の公園のマツやスギの木でキクイタダキが観察されることもあります。ただし体がとても小さいため高い木の上にいると見つけにくく、鳴き声も高音でか細いので、注意深く探す必要があります。

キクイタダキが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事キクイタダキが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

キクイタダキを観察するコツは、まず針葉樹に注目することです。冬の時期に公園などでマツやヒノキの枝先をチョロチョロ動く小さな影を見つけたら、それがキクイタダキかもしれません。双眼鏡を使えば小さい体の模様も確認しやすくなるでしょう。混群(複数種の小鳥が混ざった群れ)の中で見られることも多く、シジュウカラなどのカラ類の群れに交じっていることがあります。カラ類の甲高い鳴き声が聞こえたら、その周辺をよく観察してみてください。さらに小さく素早く動く鳥がいればキクイタダキです。また、繁殖期以外は「チチチ・・・」という高い地鳴きで仲間同士連絡を取り合っていますので、その高音の声を手掛かりに探すのもポイントです。非常に小さい鳥なので見つけるのは難しいですが、その分姿を捉えられたときの感動もひとしおです。

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ミソサザイ

スズメよりも小さい野鳥 ミソサザイ

大きさと特徴

ミソサザイは全長10〜11cmほどの小さな茶色い野鳥です。キクイタダキとほぼ同じくらいの全長で、体もずんぐり丸くとても小柄です。全身は濃い褐色(茶色)で細かな斑模様があり、特に短い尾羽をピンと立てている独特の姿が目につきます。スズメより小さい野鳥の中でも日本で二番目に小さい鳥と言われ、その小さな体からは想像できないほど大きく美しいさえずりを響かせることでも有名です。さえずりは早口で複雑な節回しで、「チチチョチョ…」と雪解け水の流れる谷に負けない大音量で鳴きます。その姿から「森の声楽家」や「小さな歌い手」といった異名で呼ばれることもあります。雌雄同色で見た目の違いはありませんが、オスだけがこの美しいさえずりを披露します。

生息地

ミソサザイは森林の渓流沿いなど湿り気のある環境を好む鳥です。北海道から九州まで日本各地に分布しており、平地の森林から山地の森林まで幅広く棲んでいますが、特に谷筋の沢沿いの薄暗い林でよく見られます。苔むした岩や倒木があるような渓谷はミソサザイの格好の住みかです。留鳥または漂鳥として一年中日本にいますが、寒い季節には標高の低い場所へ移動する個体もいます。春の繁殖期になるとオスは縄張りを持ち、沢沿いの目立つ場所に出てきて盛んにさえずります。一方、普段は茂みの中や岩陰に潜んで生活しており、小さい体と保護色の羽毛のおかげで非常に見つけにくい鳥でもあります。

ミソサザイが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事ミソサザイが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

ミソサザイを見つける一番のコツは、その鳴き声に耳を傾けることです。春から初夏にかけて山間の沢沿いを歩くと、澄んだ大音量のさえずりが聞こえてくることがあります。それが聞こえたら付近の岩の上や倒木の先端などをじっと探してみましょう。小さな茶色い鳥が尾を立てて囀っていればミソサザイです。双眼鏡があると暗い林内でも姿をとらえやすくなります。繁殖期以外は茂みの中で「チッ、チッ」と地鳴きを発している程度なので発見は難しいですが、沢沿いでカサコソと落ち葉を動かす気配を感じたら注意深く観察してみましょう。なお、ミソサザイは人里近い低山の渓流でも見られることがあり、山菜採りや渓流釣りの最中に出会うこともあります。静かに周囲の音に耳を澄ませ、小さなさえずりを聞き逃さないことが観察成功のポイントです。

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ヒガラ

スズメよりも小さい野鳥 ヒガラ

大きさと特徴

ヒガラは全長約11cmほどの小さな野鳥で、スズメより一回り小さいサイズです。スズメ目シジュウカラ科の一種で、見た目は身近なシジュウカラ(スズメと同程度の大きさの野鳥)に少し似ています。頭部が黒く頬は白いコントラストのある顔立ちで、喉に小さな黒い三角形の模様(ネクタイ状の斑)があるのが特徴です。背中は灰色がかった黒、腹部は淡いオリーブ色を帯びます。また、後頭部に白い斑があること、そして冠羽と呼ばれる頭頂の羽毛がわずかに尖って見えることもヒガラならではの特徴です。シジュウカラに比べて体がかなり小さく、鳴き声も「ツィー、ツィー」と高い声で鳴きます。その愛らしい小型の姿から、漢字では「日雀(ヒガラ)」と書き、小さなスズメの仲間であることを表しています。

生息地

ヒガラは主に山地の針葉樹林で暮らす鳥です。日本では北海道から本州・四国・九州まで広く分布し、夏は亜高山帯を含む山岳地帯のモミやマツなどの針葉樹林で繁殖します。秋から冬にかけては平地の林や公園にまで降りてくることもありますが、それでも針葉樹のある環境を好んで集まります。常緑の針葉樹の高い梢付近によく姿を現すため、「そこにいるのはわかるけど高すぎて見えない…」ということも少なくありません。単独か小群で生活しますが、非繁殖期には他のカラ類(シジュウカラやコガラなど)やキクイタダキと混群を作ることもあります。山間部の明るい林や渓流沿いの林などで見られる機会が多いでしょう。

ヒガラが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事ヒガラが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

ヒガラを観察するには、まず標高の高い林や針葉樹の多い場所に行ってみましょう。夏であれば山地の涼しい針葉樹林、冬であれば平地の公園でもマツ林があるところで見つかる可能性があります。小さい上に木の上の方にいることが多いので、双眼鏡を使って樹冠付近を探すのがおすすめです。ヒガラは「ツィーツィー」という高く細い声で鳴いていますので、その声を耳にしたら頭上を注意深く観察してみてください。シジュウカラの群れに遭遇した際には、その中に混じっていないかもチェックしましょう。シジュウカラよりひと回り小さく、背中側に白いワンポイントが見えればヒガラです。また、野山では水場に現れることもあります。登山道沿いの小さな水たまりや湧き水ポイントで水浴びや水飲みに降りてくることがあるので、そうした場所をそっと遠くから待ってみるのも一つの手です。山歩きのついでに耳と目を凝らして探してみれば、きっと出会えるでしょう。

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コガラ

スズメよりも小さい野鳥 コガラ

大きさと特徴

コガラは全長約12cmで、スズメより少し小さいサイズの野鳥です。その名の通り「小雀(こがら)」と書き、小さなスズメに似た鳥という意味合いがあります。実際の見た目はスズメよりもシジュウカラ(四十雀)によく似ており、黒いベレー帽をかぶったような黒色の頭部と、白い頬・喉が特徴です。喉元には小さな黒い斑点があり、背中は灰褐色、腹部はオフホワイトに近い色合いです。全身の色味が地味で、シジュウカラのような派手なネクタイ模様(腹の黒帯)はありません。同じ仲間のヒガラよりは体が大きいですが、それでもシジュウカラよりは明らかに小柄です。鳴き声は「ツツ、ニーニーニー」と甘えるような優しい声でさえずり、地鳴きでは「チー、チー」と高い声を繰り返します。人によってはその声がどこか可愛らしく聞こえるでしょう。

生息地

コガラは森林性の小鳥で、日本では北海道から九州まで分布しています。ただし平地で見られることは少なく、本州以南では主に標高の高い山地の森に生息します。落葉広葉樹林や針葉樹林のどちらにも姿を現し、特にカラマツやシラカバなどが混じる山林でよく見られます。留鳥・漂鳥として一年を通して同じ地域で生活するため、冬になると少し標高の低い里山まで降りてくることもあります。他のカラ類と比べると人里近くにはあまり下りてこない印象ですが、山麓の林や公園で餌台(バードフィーダー)を設置するとシジュウカラに混じってコガラが飛来することもあります。自然界では、自分で朽ち木に穴を掘って巣を作る習性があり、そのために枯れた木が残るような原生的な森を好む面もあります。

コガラが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事コガラが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

コガラはヒガラやシジュウカラと混同されやすい野鳥です。観察の際には、体の模様や大きさに注目しましょう。例えばシジュウカラの群れに出会ったとき、その中に腹部に黒い線のない地味な小鳥がいればコガラの可能性があります。ヒガラとの見分けポイントは、コガラにはヒガラのような後頭部の白斑が無く、全体に丸みを帯びたシルエットであることです。観察するならば、初夏から夏にかけて山地の林を散策してみてください。木々の新緑が茂る中、「チーツーチー…」と高音でさえずる声が聞こえたらコガラが近くにいるサインです。双眼鏡を使って梢から中層あたりの枝を丹念に探してみましょう。秋から冬にかけては混群に加わるため、カラ類の集団やエナガの群れに出会った際に、一緒に移動していることがあります。小さな群れで移動するコガラを見つけたら、急がず静かに追いかけてみましょう。枝から枝へ器用に渡り歩く姿を観察できるかもしれません。静かな森の中で耳と目を働かせれば、きっとその可愛らしい姿に出会えるでしょう。

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エナガ

スズメよりも小さい野鳥 エナガ

大きさと特徴

エナガは全長約14cmほどですが、その半分近くが尾羽というユニークな体型の野鳥です。実際、体自体のサイズはスズメよりずっと小さく、丸いお団子のようなふわふわの体に長い尾がちょこんと付いているように見えます。体重もわずか8g前後と非常に軽量です。羽色は白と黒と薄いピンク色の組み合わせで、顔は白くて目の周りに黒い線(過眼線)が入ります。まるで小さなお菓子のような可憐な見た目から、写真映えする野鳥としても人気です。特に北海道に生息する亜種はシマエナガと呼ばれ、頬の黒い線がなく真っ白い顔をしているため「雪の妖精」というニックネームで親しまれています。鳴き声は「ジュリリ…ジュリリ…」と澄んだ声で、仲間同士で頻繁に鳴き交わしながら行動します。

生息地

エナガは日本全国の平地から山地まで、幅広い環境に適応して暮らしています。市街地の公園や街路樹でも見かけることがあり、また山林や里山、河川敷の林など様々な場所に生息します。留鳥として一年中同じエリアで過ごすため、季節を問わず観察できる身近な小鳥です。特に雑木林や河辺のヤナギ林、里山の林縁部など、木々が程よく茂った環境を好みます。繁殖期の春には樹上に苔や動物の毛を使って丸いボール状の巣を作り子育てします。秋から冬にかけては繁殖した家族単位が合流し、10羽以上の群れで生活するようになります。エナガはこの群れでの行動が特徴的で、群れで移動する際には他のシジュウカラ類(シジュウカラ、ヤマガラなど)やコゲラ(キツツキの一種)なども一緒に連なって混群になることがあります。

エナガが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事エナガが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

エナガは群れで行動するため、見つけやすい野鳥の一つです。公園や林を歩いていて、頭上から「ジュルジュル…」という可愛らしい声が聞こえてきたら、エナガの群れが近くにいる合図です。姿を探すときは、一羽だけでなく複数の小鳥が行列のように木から木へ渡っていく様子に注目しましょう。小さく白っぽい鳥が次々と枝を移動していたら、それがエナガの群れです。群れは移動が素早いですが、餌を探しながら進むのでゆっくりついていけば比較的長い時間観察できます。双眼鏡がなくても肉眼で見えることも多いですが、やはり詳細を見るには双眼鏡があると便利です。エナガは人里の公園にも現れるので、バードウォッチング初心者にも出会いやすい存在でしょう。例えば冬の公園で葉が落ちた木の枝先を眺めていると、突然小さな群れが現れることがあります。そのときは慌てずに静かに観察し、チャンスがあれば写真も撮ってみましょう。丸い体に長い尾、仲間同士で鳴き交わす微笑ましい姿をじっくり見ることができれば、きっと心が和むはずです。

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メジロ

スズメよりも小さい野鳥 メジロ

大きさと特徴

メジロは全長約12cmの小鳥で、鮮やかな黄緑色の体と目の周りの白いアイリングが特徴です。この白い縁取りが「目白(メジロ)」という和名の由来になっています。喉元は明るい黄色で、お腹から下は白っぽく、脇腹に淡い茶色味があります。細くとがったくちばしを持ち、花の蜜を吸いやすい形状をしているのもポイントです。春先にはウメやサクラの花に顔を突っ込んで蜜を吸う可愛らしい姿がよく見られます。その黄緑色の体色から、野鳥に詳しくない人はウグイス(鶯)と間違えてしまうことも多いですが、ウグイスは実際には茶色っぽくて藪の中に隠れて鳴く鳥です。花の蜜を吸いに堂々と姿を見せる黄緑色の小鳥はメジロである場合がほとんどなので、覚えておきましょう。メジロのさえずりは澄んだ優しい音色で、「チー、チュルチュル…」と春の訪れを感じさせる鳴き声です。

生息地

メジロは日本全国(北海道の一部を除く)に広く分布し、山地から平地まで様々な環境で暮らしています。雑木林や果樹園、都市部の公園や庭先など、身近な緑地でもよく見られる野鳥です。留鳥として一年中その地域にいますが、季節によって標高を移動し、夏は山地の林(標高1000m前後までの落葉広葉樹林)に多く、冬になると低地や市街地の公園・庭にも頻繁に姿を現します。花の蜜、果実、昆虫となんでも食べる雑食性で、特に冬から春にかけてはサザンカやツバキ、ウメ、サクラなどの花蜜を好んで吸います。秋には柿や木の実をついばんでいる姿も見られます。都会の真ん中でも街路樹の並木にやってきたり、ベランダに置いた果物に寄ってきたりすることもあり、非常に適応力の高い小鳥と言えます。

メジロが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事メジロが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

メジロはバードウォッチング初心者にとって最も身近で観察しやすい野鳥の一つです。観察のコツとしては、花が咲いている木や果実が実っている木をチェックすることです。例えば、早春のウメやサクラが咲く公園では、メジロが蜜を求めて群れでやって来ます。木の枝にぶら下がるようにして花の蜜を吸う姿はとても可愛らしく、比較的人に慣れているので近くからでも観察できます。また、夏場は葉が生い茂る森の中で見つけにくいこともありますが、「チー…チュルチュル…」というさえずりが聞こえたら近くにいる証拠です。双眼鏡で葉陰を探せば黄緑色の羽が陽に当たってちらっと見えるでしょう。秋から冬にかけては柿の木やピラカンサの実を食べに来ることが多いので、果実のなる木にも注目です。どんな環境でも見つけやすい反面、ウグイスとの見間違いが多い鳥でもありますので、先述の体の色と目の白リングを手掛かりに間違いなく識別しましょう。可愛らしい姿と鳴き声で、きっとあなたを和ませてくれるはずです。

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ヤブサメ

スズメよりも小さい野鳥 ヤブサメ

大きさと特徴

ヤブサメは全長約10〜11cmの小さなウグイスの仲間です。スズメよりずっと小さく、茶褐色の地味な体色をしているため一見目立ちません。最大の特徴は極端に短い尾羽で、和名の「薮雨(ヤブサメ)」は藪に降る雨のような鳴き声に由来すると言われます。上面(背中側)はオリーブブラウンで、下面(お腹側)は淡い灰白色。目の上にははっきりとした白い眉斑(まゆげ模様)があり、顔つきはウグイスに似ていますが、ウグイスよりも全体的に小型で尾がとても短いことで区別できます。鳴き声は非常に高音域で、「シシシシシ…」と虫の声のように聞こえるさえずりです。このさえずりは人間の可聴域ぎりぎりの高さで、特に年配の方には聞こえにくい場合もあるほどです。地鳴きは「チッ、チッ」という小さな声ですが、繁殖期になるとオスはこの高音さえずりを盛んに繰り返します。

生息地

ヤブサメは夏鳥として春に日本に渡来し、繁殖する野鳥です。北海道から九州、屋久島にかけて広く分布し、主に初夏から夏にかけて森林に姿を現します。生息環境は平地〜山地の森林(特に下生えが茂った場所)で、常緑広葉樹の林や落葉広葉樹林の藪が濃いエリアを好みます。谷あいの暗い林内や、林床に起伏があって苔むした環境などでよく繁殖しています。渡り鳥であるため、秋になると東南アジア方面へ南下し、日本から姿を消します。そのため、日本でヤブサメを見られるのは主に4月〜9月頃の季節です。森の中でも地表近くで生活しており、小さな昆虫やクモを探して落ち葉の間をちょこちょこと動き回ります。非常に警戒心が強く、物音や人の気配ですぐ藪陰に隠れてしまうため、生息地に行っても声はすれども姿はなかなか見えない鳥として知られています。

ヤブサメが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事ヤブサメが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

ヤブサメの観察は、正直なところ上級者向けです。しかしポイントを押さえれば、姿を見るチャンスもあります。まず一番の手掛かりは鳴き声です。初夏の森で「シシシシ…」という虫が鳴いているような高音が一定のリズムで続いて聞こえたら、それはヤブサメのさえずりです。声のする方向の足元付近、茂みの中を双眼鏡でゆっくり探してみましょう。運が良ければ、小さな鳥が地面すれすれの高さで動いているのが見えるかもしれません。ヤブサメはさえずっていても姿は藪の中にいて見えないことが多いので、声に近づきすぎず少し離れた場所から静かに観察するのがコツです。人の気配で鳴き止んでしまった場合は、しばらくその場でじっと待ってみましょう。再びさえずりが聞こえ始めたら、まだ近くにいる証拠です。また、渡りの時期には思わぬ場所に現れることもあります。春や秋に公園の植え込みから「チチッ」と小さな地鳴きが聞こえたら、ヤブサメが立ち寄っている可能性もあります。とても小さく見つけづらい鳥ですが、見えたときの喜びは格別なので、根気よく耳と目を働かせてみてください。

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センダイムシクイ

スズメよりも小さい野鳥 センダイムシクイ

大きさと特徴

センダイムシクイは全長約12.5〜13cmほどの野鳥で、スズメよりも少し小さいサイズです。羽色は上面がオリーブグリーン、下面が白く、お腹から脇にかけて淡い黄色味があります。頭頂部には薄い灰白色の筋(頭央線)が通り、目の上には白い眉斑がくっきりあります。全体に地味な配色ですが、新緑の季節には木々の中でその黄緑色が美しく映えるでしょう。名前に「センダイ」とつきますが、日本各地で見られる鳥で、特に仙台周辺だけにいるわけではありません。鳴き声は耳に残る独特なもので、さえずりは「チヨチヨチヨビー」と聞こえる明るい節を繰り返します。野鳥愛好家の間では、その声を「焼酎一杯グイー」と人間の言葉にたとえて表現することも有名です。高く澄んだ声量のあるさえずりで、繁殖期の森に響き渡ります。

生息地

センダイムシクイは夏鳥として春に日本にやって来て繁殖するムシクイの仲間です。北海道から九州まで広く分布し、4月頃に渡来して各地の森林に入り、初夏にはいたる所でさえずりが聞こえるようになります。生息環境は落葉広葉樹を主体とした明るい林で、山地の林だけでなく平地の林や大きな公園の林にもよく現れます。特に新緑の季節の里山や山間部の林道沿いでは、センダイムシクイのさえずりが頻繁に聞かれるでしょう。繁殖期が終わると、7〜8月頃から南へ渡る準備に入り、秋には日本を離れます。一部は渡りの途中で都市部の林や河川敷の林に立ち寄ることもあり、意外な場所で観察されることもあります。夏の間は大変普通に見聞きできる鳥で、林の中では昆虫やクモなどを活発に捕食しています。他の小鳥との関わりでは、秋口に混群を形成することが知られており、シジュウカラ類やコサメビタキなどと一緒に移動している姿が観察されます。

センダイムシクイが観察できる生息地は以下の記事で解説しています。

関連記事センダイムシクイが見られる生息地と探す際のポイント

観察のコツ

センダイムシクイは鳴き声から存在に気づくことがほとんどです。明るい緑の葉が茂る中で小さな体を見つけるのは難しいですが、「チヨチヨチヨビー!」というさえずりが頭上から聞こえたら双眼鏡の出番です。声のするあたりの枝を根気強く探すと、葉陰を動く小さな影が見つかるでしょう。さえずっているときは同じ枝に留まって繰り返し鳴くこともあるので、そのタイミングで姿を確認できる可能性が高いです。見つけても動きが素早く、枝から枝へ飛び移りながら餌を探すため、すぐ見失ってしまうかもしれません。その場合も慌てずに、再び「チヨチヨ…」という声が聞こえた方向を追いかけてみましょう。双眼鏡の視界に入ったら、特徴である白い眉斑や体の色をチェックします。初心者にとっては姿を見るのが少し難しい鳥ですが、まずは声だけでも覚えておくと良いでしょう。夏の森で「あ、この声は聞いたことがある!」と気付けば、バードウォッチングがさらに楽しくなります。なお、秋の渡りの時期には意外と低い藪の中や市街地の林でも観察されることがありますので、季節外れの場所で小さな緑色の鳥を見かけたらセンダイムシクイかもしれません。身近な公園でも一度探してみてください。

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観察のコツ全般

ここまで、スズメよりも小さい8種類の野鳥についてそれぞれ観察のコツを紹介してきました。最後に、これらの小さな野鳥全般に共通する観察のポイントをまとめます。

  • 双眼鏡を活用する:小さい鳥ほど肉眼で捉えるのが難しいため、バードウォッチングでは双眼鏡が必須アイテムです。視野が広くピントの合わせやすい双眼鏡を使うと、小鳥の素早い動きにも対応しやすくなります。最初は見失っても構いませんので、諦めずに何度も双眼鏡を向けてみましょう。
  • 鳴き声を覚える:小鳥たちは姿が見えなくても鳴き声で存在を知らせてくれます。例えば、ミソサザイの澄んだ高歌放吟やセンダイムシクイの「チヨチヨチヨビー」という声を知っていれば、フィールドでそれを手掛かりに探すことができます。図鑑や野鳥アプリで鳴き声を事前に聞いておくと、観察の成功率がぐっと高まります。
  • 動きに注目:小さな野鳥は大きな鳥に比べて動きが速く、枝から枝へ飛び移ったり、葉の陰をちょこまか走り回ったりします。遠くから全体を探すより、「何か葉が動いた」「小さな影が横切った」という瞬間を見逃さないようにしましょう。特にエナガの群れなど、一度に複数の小鳥が移動する場合は発見しやすいです。
  • 混群を探す:秋から冬にかけて、小鳥たちは種類を越えて混群(こんぐん)という集団を作ることがあります。シジュウカラを中心に、コガラ・ヒガラ・エナガ・キクイタダキ・コゲラなどが一緒に移動する混群は、出会えば一度に多くの野鳥を観察できるチャンスです。林の中でシジュウカラの地鳴きやエナガの声が聞こえたら、混群が近くにいる証拠なので注意深く辺りを見回してみましょう。
  • 時間帯と季節:野鳥観察全般に言えることですが、小鳥は朝方に活動が活発です。早朝の森や公園はさえずりや動きが盛んで、小鳥を見つけやすいでしょう。また季節によって見られる鳥は変化します。夏にしか見られないヤブサメやセンダイムシクイ、冬に平地で探しやすくなるキクイタダキなど、それぞれの種ごとの最適なシーズンがあります。事前に「いつ・どこで見られるか」を調べ、その時期にフィールドに出かけることも大切です。
  • 静かにゆっくりと:小さな野鳥ほど警戒心も強い傾向があります。茂みをバサバサかき分けたり、大声を出したりすると、せっかく近くにいても逃げられてしまいます。足音や服の擦れる音も意外と響くので、静かに歩きましょう。双眼鏡で見るときも大きく手を振り上げず、そっと構えるようにします。焦らずゆっくり探すことが成功への近道です。
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バードウォッチング初心者向けアドバイス

最後に、バードウォッチング初心者の方へいくつかアドバイスをまとめます。小さな野鳥たちを上手に観察するために、ぜひ参考にしてください。

  • 身近な場所から始めましょう: いきなり深い山奥に行かなくても、近所の公園や庭先で小鳥を探すことができます。メジロやエナガなどは都会の公園にも現れます。まずは身近で観察しやすい小鳥から始めてみましょう。
  • フィールドガイドを用意する: 野鳥図鑑やスマホアプリなど、観察した鳥の名前を調べられるツールがあると便利です。今回紹介した小鳥の名前や特徴もガイドで再確認し、「あの鳥はこの種類だったんだ」と答え合わせをすると知識が深まります。
  • 双眼鏡に慣れておく: 双眼鏡はぜひ用意してほしい道具ですが、使いこなすには練習が必要です。事前に家の窓からスズメやハトで練習したり、公園のリスや遠くの看板を見るなどしてピント合わせや視野の動かし方に慣れておきましょう。
  • 早朝や午前中を狙う: 鳥たちは朝に活動することが多いため、観察はできるだけ午前中(できれば朝早く)が狙い目です。特に夏場は朝しか鳴かない鳥もいますし、冬場も朝のほうが群れに遭遇しやすい傾向があります。
  • 服装・持ち物に注意: 野鳥観察の基本として、目立たない色の服装(グリーンや茶系)で出かけ、音の出ない装備を心がけましょう。靴も歩きやすいものを選びます。また、寒い季節の早朝は冷え込むので防寒を忘れずに。双眼鏡のほか、小さなメモ帳やカメラがあると記録も楽しめます。
  • 記録をつけてみる: 出会えた鳥の名前や日付、場所、感じたことなどをメモしておくと、自分だけの野鳥ノートができます。初心者のうちは「スズメより小さい鳥を3種類見つけられた!」など、小さな達成を書き留めるだけでもモチベーションアップにつながります。
  • マナーを守る: 鳥たちにとって過ごしやすい環境を保つために、観察時のマナーも大切です。大声を出さない、巣やヒナに干渉しない、ゴミは持ち帰るなど、自然に配慮した行動を心がけましょう。野鳥も私たちも気持ちよく過ごせるようにすることが、長くバードウォッチングを楽しむコツです。
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まとめ

スズメよりも小さい野鳥たちは、その小ささゆえに見つけづらいこともありますが、ひとたび出会えばその可愛さと健気さに心奪われることでしょう。キクイタダキやミソサザイのように日本最小クラスの鳥から、エナガやメジロのように身近で愛らしい小鳥、そして夏の森を彩るヤブサメやセンダイムシクイまで、8種類それぞれが個性的な魅力を持っています。初心者の方でも、鳴き声を手掛かりにしたり双眼鏡を使ったりすることで、少しずつ小さな野鳥の世界が見えてくるはずです。

最初は「小さい野鳥の名前なんて覚えられるかな?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。実際に自分の目で見て、その鳥の仕草や鳴き声を体験すれば、不思議と名前も特徴も頭に入ってきます。身近な公園でメジロの群れを観察したり、山歩きの途中でエナガの行列に出会ったりと、日常の中で小鳥たちとの出会いをぜひ楽しんでください。

スズメよりも小さな鳥たちは、一見目立たない存在ですが、彼らに気付けるようになると自然観察の楽しみがぐっと広がります。小さな体で懸命に生きる野鳥たちの姿を見守りながら、バードウォッチングを思い切り満喫しましょう。あなたの野鳥観察ライフが素敵なものになりますように!

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