春から夏にかけて富士山では非常に多くの野鳥が見られます。
標高によって生息している野鳥が異なり、少し移動するだけで見られる野鳥の種類が変わります。
そのため、富士山には探鳥ポイントが数多くあります。
そこで今回は春から夏にかけて多くの野鳥が観察できる富士山の探鳥地の一部を紹介したいと思います。
富士山富士宮口五合目
アマツバメ・イワヒバリ・カヤクグリ・ビンズイ・ホシガラス・ミソサザイ・メボソムシクイ・ルリビタキ
富士宮口五合目からは宝永山遊歩道へ入ることができ、林の中を通って宝永山の火口に出ることができます。
駐車場周辺ではカヤクグリやビンズイがさえずっていることがあるので、まずは駐車場周囲で野鳥を探してみるといいでしょう。
宝永山遊歩道の林に入ると、メボソムシクイやミソサザイ、ヒガラなどが見られます。
途中にあるガレ場の崖下にはアマツバメが営巣しているので、ガレ場上空を飛び回る姿を見ることができるでしょう。ガレ場周辺ではホシガラスもよく見られるので、木々の上の方を中心に探してみるといいでしょう。
林を抜けると宝永山の火口に出ます。火口縁を登ると右手の岩場ではイワヒバリ、左手の林ではルリビタキやカヤクグリ、ビンズイなどが期待できます。このあたりでも上空をアマツバメが飛ぶことがあるので上空も要チェックです。
富士山須走口五合目
アカハラ・アマツバメ・カッコウ・ゴジュウカラ・コルリ・キセキレイ・ジュウイチ・ツツドリ・ヒガラ・ビンズイ・ミソサザイ・メボソムシクイ・ルリビタキ
静岡県側の須走口五合目には登山道の他に小富士方面と須走まぼろしの滝方面の二つの遊歩道があります。
小富士方面の遊歩道は林の中を歩くことができ、林の中ではコルリやメボソムシクイ、運が良ければホトトギスやジュウイチなどを見ることができるでしょう。小富士は周囲の木々の上部を見渡せるポイントなので、樹上でさえずるルリビタキやビンズイを探してみるといいでしょう。
須走まぼろしの滝方面の遊歩道は入り口付近の林を抜けると、開けた砂利道を歩くことができます。低木の枝先ではビンズイなどが観察しやすく、まぼろしの滝周辺では上空をアマツバメが飛び回ることがあるので、探してみるといいでしょう。
高鉢
キバシリ・キビタキ・コマドリ・コルリ・ヒガラ・ミソサザイ・メボソムシクイ・ルリビタキ
富士山の静岡県側、富士山スカイラインの途中にある高鉢には駐車場があり、そこから遊歩道に入ることができます。
遊歩道は下草が茂る林の中を歩くことができ、コルリやコマドリを見ることができます。林の木々ではキバシリやキビタキも見られます。
遊歩道の途中にはいくつか沢があり、沢沿いではミソサザイがさえずっていることがあるので、声を頼りに探してみるといいでしょう。
遊歩道をしばらく進むとメボソムシクイがよく見られるようになります。斜面林を上の方から見て木々の上の方を飛び回るメボソムシクイを探してみましょう。
関連記事:高鉢で見られる野鳥と観察ポイント
水ヶ塚公園
アカハラ・キビタキ・コガラ・ゴジュウカラ・コルリ・ヒガラ・ミソサザイ・ヤマガラ・ルリビタキ
水ヶ塚公園は広い駐車場と食事もできる森の駅富士山がある富士山の静岡県でバードウォッチングをする際の拠点となるポイントです。
水ヶ塚公園では駐車場の周囲で多くの夏鳥を見ることができます。特にコルリを気軽に観察できるポイントになります。コルリは駐車場に隣接するふれあい広場周辺で探すといいでしょう。ふれあい広場周辺はコルリの他にもキビタキやアカハラなども期待できます。
ふれあい広場の周囲はクロスカントリーのコースになっているので、ランナーが多い場合は腰切塚の遊歩道で野鳥を探すといいでしょう。
道路を挟んで反対側には富士山自然休養林歩道があり、比較的人が少ないため、ゆっくりとバードウォッチングを楽しみたい場合はこちらがおすすめです。
水ヶ塚公園までは富士山のマイカー規制時にも自家用車で行くことができますが、駐車場は有料になるので注意しましょう。
関連記事:水ヶ塚公園で見られる野鳥と観察ポイント
西臼塚
アオバト・キビタキ・コルリ・トラツグミ・ビンズイ・マミジロ
西臼塚では駐車場を中心に東西に遊歩道が伸びています。
西臼塚に向かう西側の遊歩道ではコルリやキビタキなどが見られます。西臼塚の周りを1周できる遊歩道を中心に探していくといいでしょう。吊り橋方面も野鳥が多くおすすめです。
東側の遊歩道ではクロツグミ、マミジロ、トラツグミなどが見られるので地面を中心に探していくといいでしょう。木々の上の方ではアオバトやキビタキなども見られます。
野鳥を探す際は低木林を抜けた先にある林が明るくおすすめです。
関連記事:西臼塚で見られる野鳥と観察ポイント
富士山須山口登山歩道
アカゲラ・イカル・カッコウ・キビタキ・クロツグミ・コサメビタキ・コルリ・サンコウチョウ・センダイムシクイ・ソウシチョウ・ホオアカ・ホトトギス・ヤブサメ
富士山須山口登山歩道は水場が少ない富士山の中でも貴重な水場があるポイントです。
富士山資料館の裏手から登山道に入ることができ、しばらくは明るい林を歩くことができます。
林の中ではイカル、コサメビタキなどが期待できます。小さな水場もあるので、水場の近くを中心に探すのもいいでしょう。林の右手には自衛隊の演習場の草原が広がっており、ホオアカなどの草原性の野鳥や、カッコウなどが見られます。
登山道をしばらく進んでいくと弁当場の水場があります。水場付近は非常に野鳥が多いポイントで、コルリやキビタキ、センダイムシクイにクロツグミなどが期待できます。水場近くの沢沿いではヤブサメがさえずっていることもあります。
また、運が良ければサンコウチョウが見られることもあるのでさえずりに耳を澄ましてみるのもいいでしょう。
富士山吉田口登山道
アオバト・アカゲラ・アカハラ・キビタキ・コサメビタキ・コルリ・センダイムシクイ・ノジコ・ビンズイ・ミソサザイ・ヤブサメ
富士山吉田口登山道で夏鳥を観察する場合は中ノ茶屋から馬返しまでの間がおすすめです。
中ノ茶屋やフジザクラの群生地周辺ではノジコやヤブサメ、ビンズイなどが期待できます。この辺りはアップダウンもなく気軽にバードウォッチングを楽しむことができます。
中ノ茶屋から登山道を登っていくと、大石茶屋跡があります。この辺りはコルリがよく見られるポイントなので、さえずりを頼りに探してみるといいでしょう。
大石茶屋跡からしばらく登ると馬返しに着きます。中ノ茶屋から馬返しの区間では標高によって見られる野鳥が変わるので、往復して探してみるといいでしょう。
奥庭・御庭・御中道
ウグイス・ウソ・キクイタダキ・カヤクグリ・コルリ・ヒガラ・ホシガラス・ビンズイ・メボソムシクイ・ルリビタキ
奥庭・御庭・御中道は富士山の山梨県側、スバルラインの五合目手前にあります。瓢湖が高く、ウソ、キクイタダキ、カヤクグリ、ホシガラス、メボソムシクイ、ルリビタキなどの亜高山帯に生息する野鳥は一通り見ることができます。
奥庭には様々な野鳥が水浴びにやって来ることで有名な奥庭荘の水場がありますが、水場の前は平日でも多くのカメラマンで賑わっているので、ゆっくりと野鳥を探したい場合は奥庭荘から展望台までの遊歩道で探すといいでしょう。
奥庭と御庭は勾配のキツイ坂道を歩く必要があるので、足腰に自信のない方は、最初の短い階段以外は平坦な道が続く、スバルラインの五合目から入れる御中道で野鳥を探すのがおすすめです。
朝霧高原
オオヨシキリ・カッコウ・キビタキ・コムクドリ・コヨシキリ・サンショウクイ・セッカ・センダイムシクイ・ノビタキ・ホオアカ・ホトトギス
富士山の西側にある朝霧高原は広大な草原地帯で、草原性の野鳥はもちろんのこと、周囲の林では森林性の野鳥も多く見られます。朝霧高原には道の駅朝霧高原があるので、ここを拠点に野鳥を探していくといいでしょう。
草原ではノビタキやホオアカなどの高原の野鳥の代表種に加え、セッカやオオヨシキリ、コヨシキリなども見られます。高原の中心を通る国道沿いの歩道から草原を見渡して探していくといいでしょう。ノビタキは国道沿いの電線に止まっていることもあるので要チェックです。
道の駅周辺や朝霧高原の西側にある東海自然歩道の林ではキビタキやセンダイムシクイなども見られます。林縁ではコムクドリの群れが見られることもあるので林縁を広く見渡せる場所から探してみるといいでしょう。
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