ミソサザイが見られる生息地と探す際のポイント
ミソサザイはキクイタダキと並んで日本で最も小さい野鳥です。
主に留鳥や漂鳥として山林の沢沿いなど水辺の近くに生息しており、冬には都市部の公園で見られることもあります。
水辺を好むため、山地の遊歩道が整備された渓谷などを探すのがおすすめです。
ミソサザイは小さいうえに茶色で保護色になりやすく、すばしっこいので観察するのは大変ですが、さえずるときは枝先や開けた岩場の上など、見やすい位置にいることが多いので、ミソサザイを探す際はさえずりを頼りに枝先などを探してみるのがおすすめです。
また、ミソサザイは渓谷沿いの岩場や、枝の隙間などに巣を作るので渓谷沿いでは春に巣材になる苔をせっせと運ぶ姿を見ることができるでしょう。
八王子城跡【東京都】
東京都八王子市にある八王子城跡には主に留鳥としてミソサザイが生息しています。
八王子城跡でミソサザイを探す際は城跡の方へは登らず、御主殿跡へ続く城山川沿いを探すのがおすすめです。川沿いに木のない開けた場所や城山川に架かる橋の上などからミソサザイを探していくといいでしょう。城山川沿いは背の高い木々が多く、曇りの日はかなり暗くなるので、晴れた日に行くのがおすすめです。
また、八王子城跡はサンコウチョウが観察できる探鳥地としてとても有名なので、サンコウチョウが飛来する春から初夏にかけては多くのバードウォッチャーで賑わいます。そのため、ミソサザイを目的に行く場合は、春から初夏は避けた方がいいでしょう。
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東高根森林公園【神奈川県】
神奈川県川崎市にある東高根森林公園には冬に園内を流れる小川沿いにミソサザイがやってきます。
自然観察広場や湿生植物園辺りから古代芝生広場側を探してみましょう。
藪の中を動き回っていることが多いですが、木道の上で待っていれば開けた場所に止まってくれるでしょう。
ただし、木道は幅が狭い場所も多いで観察する際は他の公園利用者の方の邪魔にならないように注意しましょう。
早戸川林道【神奈川県】
神奈川県丹沢にある宮ヶ瀬湖沿いを通る早戸川林道には主に留鳥としてミソサザイが生息しています。
早戸川林道は一般車両は通行禁止のため、舗装された道をゆっくりと歩いてミソサザイを探すことができます。アップダウンもほぼなく、宮ヶ瀬湖畔園地の駐車場から直結しているので気軽にミソサザイを探しに行けるポイントです。宮ヶ瀬湖畔園地側の入り口から早戸川橋までの区間で探すといいでしょう。
ミソサザイを探す際は林道沿いに何か所かある沢の近くで探すといいでしょう。沢には橋が架かっているため、橋の上から沢を見渡して探すのがおすすめです。
早戸川林道周辺はヤマビルが多いことで有名な場所なので、ミソサザイを探しに行く際はヤマビルの活動が活発になる前の3月あたりがおすすめです。
栃木県民の森【栃木県】
栃木県矢板市にある栃木県民の森では森林展示館の駐車場のすぐ脇を流れる宮川渓谷でミソサザイを見ることができます。宮川渓谷は渓谷沿いに遊歩道が整備されており、ミソサザイを探すにはうってつけです。
渓谷沿いにはミソサザイと共にカワガラスも生息しているので合わせて探してみるのもおすすめです。県民の森周辺にはツキノワグマも生息しているので念のためにクマ除けの鈴などを携帯しておくといいでしょう。
また県民の森近くの尚仁沢湧水も県民の森と同じく渓谷沿いに遊歩道が整備されており、ミソサザイを観察するのにおすすめの場所です。
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井戸湿原【栃木県】
栃木県鹿沼市にある井戸湿原では主に春から秋にかけてミソサザイを見ることができます。
ミソサザイは湿原周囲の五段の滝などの水場の近くで見られるのでまずは湿原を一周できる遊歩道を歩きながらミソサザイのさえずりを頼りに探すといいでしょう。
ミソサザイの観察におすすめのポイントは五段の滝周辺に岩場で、岩の上でさえずってくれれば視界を遮るものはほとんどなく、じっくりと観察することができます。周辺の岩場はコマドリの観察ポイントとしても有名な場所なので併せて探してみるといいでしょう。
五段の滝周辺は春先はまだ葉が茂っておらず、比較的明るいのでミソサザイの観察におすすめの時期です。
もちろん、五段の滝周辺以外にもミソサザイが観察できるポイントはいくつもあるので、さえずりを頼りに井戸湿原とその周囲の遊歩道で探してみるといいでしょう。
だだし、一番近い前日光ハイランドロッジの駐車場からも20分ほど歩かなければならず、足場の悪い場所も多いので足腰に自信のない場合は注意しましょう。
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柳沢峠【山梨県】
山梨県にある柳沢峠では笠取林道沿いにある複数の沢でミソサザイを観察することができます。柳沢峠ではミソサザイの個体数が多いでかなり高い確率でミソサザイを見ることができます。
ミソサザイは林道の沢沿いならどこでも見られる可能性がありますが、コマドリやコルリが見られる初夏は林道の入り口から3つ目のカーブあたりまではカメラマンが沢山いてミソサザイの観察には不向きなので、時期をずらすか林道の上の方の沢でミソサザイを探すといいでしょう。
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嵯峨塩深沢林道【山梨県】
山梨県の嵯峨塩深沢林道では、柳沢峠と同じく林道沿いの沢でミソサザイを見ることができます。林道には沢が複数あるので、入り口から一つずつ沢沿いを探していきましょう。
嵯峨塩深沢林道は冬季に通行止めになるため、ミソサザイの観察は車の通行がなく安全な冬季に行うようにしましょう。
また、嵯峨塩深沢林道は多く冬鳥のメッカでもあるため、運が良ければオオマシコやイスカ、ヒレンジャクなども観察することができます。
吐竜の滝【山梨県】
山梨県北杜市にある吐竜の滝では、滝がある川俣渓谷にミソサザイが留鳥として生息しています。
渓谷沿いには遊歩道が整備されており、駐車場から吐竜の滝まで10分ほどで行けるので、駐車場から滝の間を往復しながら探すといいでしょう。小海線の鉄道橋周辺が開けており、ミソサザイを探しやすいポイントになっています。
吐竜の滝は観光地としても人気の場所なので、滝周辺や遊歩道に人が多い場合は、吐竜の滝よりも上流方向に足を延ばしてみるといいでしょう。ただし、滝より上流は岩場を歩いたりと足場がかなり悪くなるので足元には十分注意しましょう。
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西臼塚【静岡県】
富士山の静岡県側にある西臼塚では、主に春から初夏にかけてミソサザイが見られます。
西臼塚でミソサザイを探す際は、駐車場~西臼塚間の遊歩道で探すのがおすすめです。駐車場から遊歩道に入って少し進んだ辺りにミソサザイが好む倒木が多く、運が良ければ遊歩道の近くの倒木でさえずるミソサザイを観察することができます。
駐車場~西臼塚間の遊歩道はミソサザイがよく見られるポイントですが、人が多いこともあるので、その場合は西臼塚の裏手の方の遊歩道でミソサザイを探すといいでしょう。こちらの遊歩道は人がほとんどおらず、ミソサザイを始めとした野鳥をゆっくりと探し観察することができます。
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高鉢【静岡県】
富士山の静岡県側にある高鉢では遊歩道沿いの林でミソサザイが見られます。
遊歩道には高鉢駐車場から入ることができます。登山道ではないので、急な勾配は少なく、軽装備でも十分探鳥をすることができます。
遊歩道の途中には沢がいくつかあるので、沢沿いを中心にミソサザイを探すといいでしょう。沢近くの岩場や枯れ木などミソサザイのソングポストとなるポイントを探していくのがおすすめです。
高鉢にはミソサザイの他に夏鳥としてコルリやコマドリも藪の中にいるので、ミソサザイと併せて探してみるといいでしょう。
高鉢に自家用車で行く場合はスカイラインが開通している期間内でマイカー規制が行われていない時のみなので、注意しましょう。
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富士山御殿場口新五合目【静岡県】
富士山の静岡県側にある富士山御殿場口新五合目では主に五合目の駐車場が利用できる春から秋にかけてミソサザイを見ることができます。
ミソサザイは登山道ではなく、駐車場から幕岩へ続く遊歩道で見ることができます。遊歩道は等高線に沿って続いているので登山道ほどアップダウンはありませんが、各所に少し急な場所があります。
ミソサザイは遊歩道沿いの林の中の地面付近を鳴きながら飛び回っていることが多いので、地面が目線の高さに来る遊歩道の山頂側の方の林を中心に探していくといいでしょう。遊歩道の途中にある枯れた沢の周辺が特におすすめのポイントです。
遊歩道は野鳥を観察しながら幕岩まで行くと駐車場に戻ってくるまでに往復3時間以上かかることがあり、途中にトイレもないのである程度の場所で引き返すのがおすすめです。
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軽井沢野鳥の森【長野県】
長野県軽井沢町にある軽井沢野鳥の森にはミソサザイが留鳥として生息しています。
ミソサザイは湯川沿いや、ミソサザイの沢など水辺の近くでよく見られます。
「ミソサザイ」と名の付く通りミソサザイの沢はミソサザイを近くで観察することができるおすすめのポイントです。湯川沿いの野鳥の森の入り口からミソサザイ休憩場までを往復しながら探すといいでしょう。ミソサザイの沢ではさえずらずに水際を飛び回っていることも多いので、声が聞こえなくても注意して探しましょう。
湯川沿いの小瀬林道もミソサザイが観察できるポイントになっており、斜面林にミソサザイがいれば見下ろす形でミソサザイを観察することができます。
人の少ない時には村民食堂の方の湯川沿いでも見られることがあるので野鳥の森に入る前にチェックしてみるといいでしょう。
戸隠森林植物園【長野県】
長野県長野市にある戸隠森林植物園では園内の林にミソサザイが留鳥として生息しています。
園内には複数の遊歩道が整備されており、一部はバリアフリー化もされているので、それらの遊歩道を回りながらミソサザイを探すといいでしょう。小川の小径など、水辺の近くを歩ける遊歩道で探すのがおすすめです。
人がいない場所なら木道の近くに来たり、木道のロープなどに止まっていることもあるので、水場の近く以外でも人の少ない場所は積極的に探してみるといいでしょう。
戸隠森林植物園はキビタキやノジコ、コルリなどの夏鳥と、秋の渡りの時期に見られるムギマキやマミチャジナイで有名な探鳥地です。そのため、留鳥のミソサザイを観察しに行くのは初夏か秋がおすすめの季節になります。
管理人がミソサザイを確認した場所一覧
丹沢湖【神奈川県】
伊香保森林公園【群馬県】
富士山精進口登山道【山梨県】
富士山御殿場口新五合目【静岡県】